とある帝国と勇者の招集
本日2回目の投稿です。
俺は達也。
勇者召喚にてクラスメイトと勇者として召喚されてはや1年。
この平日にティファイン帝国が勇者を招集した。
久し振りにクラスメイトだけが揃う。
「相変わらずの絨毯だな!」
「我、我はこの中で一番のパーフェクトマジシャン!」
「どこだ!愛しのマリーはどこだ!」
相変わらず騒がしい生徒達だ。
「皆、静かに!皇帝はもう少しで来るらしい」
久し振りに先生が声を出し、みんなをまとめる。
余談だが、先生も学園で色々と学んでいるらしい。
そして、久しぶりにタップンが姿を現す。
「皆のもの!静まれ!」
そう叫んで偉そうに入ってくる。
残念ながら、もうそのセリフは先生によって意味を成していない。
その後に、皇帝、ティロンが入ってきた。
場が緊張に包まれる。
「皆、聞け」
そんな中、皇帝が口を開く。
「魔王が後にこの国を攻めてくる」
その言葉に一瞬皆ざわつく。
だが、皇帝の眼力に黙る。
「だから、攻めてくる前に攻めるとする。聞いたところによると、お前ら勇者の平均レベルは50らしいではないか。王女は60。お前達なら勝てるはずだ。我が兵を引き連れ、魔王の討伐に向かってもらいたい」
皇帝の言葉に俺達は息を飲んだ。
とうとう、魔王を....倒せば地球へ帰れる。
そんな空気になっている。
もはや、魔王に負けるなど頭にはない。
皇帝はニヤリと笑って言った。
「残念ながら、魔王は海の向こうの大陸。行くには時間がかかる。だから、手始めに隣国のトアル王国を攻めよう」
「トアル王国!?魔王じゃないのか!?」
誰かが驚いたように言った。
俺も同じ気持ちだ。
「トアル王国は魔王と同盟を組んでいる。すなわち、魔王側の国だ」
皇帝の言葉に再びざわつく。
「トアル王国は、帝国の東側。少し海を渡って着く島国だ。その海の中間に小規模の無人島がある。そこへ渡って、準備を整え、国へと渡れ」
皇帝は決まりとばかりにそう言った。
「あんな小国、勇者の1人でも圧勝なはずだ。念のため、全員投入する。一ヶ月後までに学園の荷物を片付けておけ」
そう言って、皇帝は部屋を出ていった。
ティロンもその後ろを着いていく。
しばらくすると、誰かが話し始めた。
「おいおい、戦争か?」
「....俺達は勇者だ。魔王を倒すために、戦うことも大事だ」
誰だ、勇者のセリフ吐いてるやつ。
見れば、佳祐だった。
お前っすか、そうすっか。
「その前に学園とお別れかぁ」
誰かがそう呟いた。
しんとする、部屋。
フランともお別れか....。
あいつは魔法以外すごいやつだった。
魔法以外な。
「達也、後でフランに何か買おうぜ」
いつの間にかこっちに来ていた佳祐がそう言って笑った。
「だな」
俺はそう言って曖昧に笑った。