とある学園の魔法試験
この話は二話前のとある少女と、とある勇者の次の日となっております。
俺は地球から勇者としてやってきた。
名前は佳祐。
現在、ギガント学園というところで色々学ぶこととなっている。
これは、とある魔法試験の内容を記した日記だ。
俺は、入学式の次の日、あてがわれた宿から出てきた。
朝だ。
「よお、佳祐。夢じゃねえんだな」
達也がそう言って、手を挙げた。
俺達はハイタッチをした。
「そうみたいだね。夢だと思ったんだけど」
「....そういや、フランとか言う女子可愛かったな」
達也が遠い目をしてそう言った。
達也は大丈夫なのか?
「....そうだね。そういえば、剣術もすごかったよね」
「自重しても余裕レベルな。あんなレベル表記見たことねえ」
俺も....そう言おうとして、俺は思い出した。
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ランラン(偽名)
20歳(嘘)
Lv.測りたくありません
スキル
開示許可がありません
魔法
開示許可がありません
特殊
いや〜見ないで(笑)
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....いたな。
何から何まで嘘の塊だった奴が。
こんなこと思っていると、
「そんなわけないよ〜」
とか言いながら出現しそうな軽そうな奴だった。
たしか、勇者には言ってもいい的なことを言っていた気が....。
「どうした?」
達也が俺に不思議そうに話しかけてきた。
俺は考えた末、話すことにした。
「達也、実はかれこれこういう訳で(以下略)」
「ほう、そんなことがあったのか。面白いことになってるな。で?フランはトアル王国の出身なのか?」
そういえば....フランが自国を話しているのを聞いたことがないな。
「っと、遅刻する。とりあえず、話しながら行こうぜ!」
達也にそう言われて、俺は考えながら学園へと向かった。
登校すると、フランはもう席に付いていた。
机に広げてあるのは魔法書だ。
「おはよう、ケイスケ」
俺に気づいたフランが笑顔で挨拶をしてきた。
「おはよう」
俺はそう言い、席に着いた。
さて、とりあえず、観察するべきか。
しばらく、フランはずっと魔法書を読んでいたが、ふとパタンと閉じた。
どうしてだ?
そう思うと同時に、先生が入ってきた。
「おはよう。皆さん」
すぐに、SHLが始まる。
「今日は例のとおり、魔法試験を行う」
そういうわけで、訓練所へとやってきた俺達。
例のとおり、俺の出番。
「好きな魔法を言ってみてください。失敗しても構いません。とりあえず、適性を探しましょう」
先生がそう言い、俺は魔法書を片手に詠唱を始める。
まずは小手調べ。
火魔法の『火球』からだ。
「空気よ。我が呼応に反応したまえ、燃焼なる聖なる火の玉よ。現れろ!『火球』!」
手を前にかざすと、火の玉が現れた。
「火魔法は使えるようですね。中級をどうぞ」
中級は....俺は魔法書をめくる。
あった。
『炎延』という魔法だ。
「炎天の空の元、大地揺らめく陽炎を。天より来る生命の息吹よ。我今ここに召喚する。大地よ、燃えろ。我ここに炎を送る『炎廷』!」
大きな炎がぶわぁっと広がった。
「....おお、流石です。できるようですね。では、上級をお願いします!」
先生がテンション高めに言った。
次は、ページに出てきたのは『爆炎』。
っていうか、詠唱長っ!
「低低弱弱、煌々恐々、低くを得て、高くを得ず、天に届かぬ地獄の怒り、爛々呪古来阿吽の呼吸也、嘆く魂、地獄の叫び、今日をして今日を得ず。明日はなくならんとする天の声。抑揚あるように叫ぶ、踊る、空へと呼ぶ。我が心持ちを強くあらんとし、我が御心を精進す。天へ届くは我が魂。我が身心は天へと届き、地獄を幸せの地とする。我、ここに祝をあげ、花火を散らさんとす。いでよ『爆炎!』」
一瞬手が光、ものすごい虚脱感に襲われた。
「....ダメですか。では、水の初級を」
....きっと上級はかなりの難易度なのだろう。
先生は大して気にもせずに、次を促す。
次は、『水芸』。
「水よ。我が力に反応したまえ、手に集中せし我に味方したまえ『水芸』」
水が手から出た。
水の適性もあるのか....。
「ええと、これ以上のこともやって欲しいのですが事情もありますので、次の方、フランシェさん」
俺は、達也の隣へ行き、座った。
魔法のせいか、妙にだるい。
「次が、フランだな」
達也が興味津々にフランを見ている。
さあ、あいつの魔法はどうなんだか。
「フランシェさんは、火、水、風、土、治療術の魔法が使えると申告してありますね」
ほお、そんなに使えるのか。
フランは集中して、魔法を唱え始める。
もちろん、申告してあるため、魔法書の使用許可は許されていない。
「空気よ。我が呼応に反応したまえ、燃焼なる聖なる火の玉よ。現れろ!『火球』!」
ぼっ。
マッチのような火が指の先から出た。
「........。....はい。とても頑張りましたね。次は、水行きましょうか」
先生が驚いた後、優しげな声で言った。
まあ、そりゃあそうだ。
下手すぎる。
フランはめげすに水魔法を唱える。
「水よ。我が力に反応したまえ、手に集中せし我に味方したまえ『水芸』」
ピシャリ。
先生の顔に水しぶきがかかる。
「「「「....」」」」
誰も何も言えなかった。
先生は静かに顔を拭きながら、次を促す。
フランはため息を吐いて次へと取り掛かる。
「風よ。大地を蹴りあげ、今我と共に。空へと駆け抜け、力を貸してくれ『風刃』」
先生にそよ風が吹く。
「おお、これは気持ちいいですね。....風刃のはずなんですがね」
「....すみません」
「次は土魔法ですね」
「母なる愛しき大地よ。天の恵みを豊饒したまえ。天の神よ、我が心に共鳴したまえ!『砂立ち《サンドスタンド》』」
土が若干舞い上がった。
....。
「えっと、これは土が盛り上がるのでは?....まあ、いいでしょう。次は治療術ですか?」
「....先生、私に使える治癒術は、口内炎を治すくらいしかありません!!」
この瞬間、クラスが凍りついた。
先生は口を開けて何も言えていない。
フランは自分のスカートを握りしめて、突っ立っている。
しばらくして、先生が口を開いた。
「....お疲れ様でした」
そう言い、フランは下を向いて次の人と変わった。
放課後。
「いや、フランには驚きだったな」
達也が唐突に言った。
「確かにな、どうやらあの嘘臭いやつと関連性はなさそうだ」
俺は達也とその結論に達した。
「よし、とりあえず、明日から授業、頑張るぞ」
「ああ」
そう言い、俺の1日は終わった。
まさかの口内炎ww
フランちゃんはおちゃめですな(笑)
というのが、この話を思いついた時の私の頭の中です