世界が終わるその時に
「もしも明日、世界が終わるとしたら、あなたはどうしますか?」
もしも明日、世界が終わるとしたならば。
僕はどうするんだろうか。
絶望で泣き明かす?最後の一日だからとめいっぱい遊ぶ?
親孝行をする?欲望の限りを尽くす?
「わからない」
その時になってみないと、わからない。
「・・・?いきなりどうしたのよ、愁。やけに真面目なカオして」
隣で歩いていた幼馴染の静が、怪訝そうな顔をして聞いてきた。
「や、ちょっと考え事してただけ」
「考え事って?」
「別に、大したことじゃないよ」
「そんなこと言われると、余計に気になるんですけどー?」
口を尖らせる静。
ずっと前から、この幼馴染のことが好きだった。
好きになったきっかけは覚えていない。
ずっとずっと、昔のこと。だけど、自然なことのように思う。
静は、僕と同い年なのにお姉さんみたいだ。
生まれるのがたった数ヶ月早かっただけなのに、すごく大人びている気がする。
ぽやんとしてる僕と違って、はきはき喋る。声もよくとおってる。
クラスの女の子達みたいに可愛い物が好きというわけじゃないし、あんなに甘ったるい喋り方でもないけど、静らしくていいなと思う。
ふと思った。
もしも明日、世界が終わるとしたならば。
静なら一体、どうするのだろうか。
「ねぇ、静」
「ん?何」
いつの間にか、僕の数歩先を歩いていた静。
話しかけると、くるりと僕の方をむいた。
「もしも明日、世界が終わってしまうとしたら」
足を止めてくれた静に、尋ねた。
「静ならどうする?」
静は、腕を組んだ。
そして、少し考えてから答えた。
「好きな人に、想いを伝える。かな」
好きな人に、想いを、伝える。
「えっ?静、好きな人いたの!?」
思わず大きな声をだす。
「え、あ、ちが、そうじゃなくて。おとーさんとかおかーさんとか、レイナちゃんとかミクちゃんにだよ!」
「なんだ・・・びっくりした」
ほんとに、びっくりした。
静に好きな男の人がいるんだと思ったよ。
「そっかぁ・・・好きな人に、想いを伝える・・・静らしいや」
両親や友人を大切にする、静らしい答えだ。
「じゃあさ、逆に聞くけど。愁は?もしも明日、世界が終わるとしたら愁はどうする?」
「・・・・・・わからない」
もしも明日、世界が消えるとしたならば、僕は何をするのだろうか。
やっぱり僕にはわからない。
「ふーん。愁のことだから、好きな人と一緒にいるとか言いそうだと思ったんだけどな」
「好きな人と?・・・・それも、いいかもしれない」
「でしょ?おとーさんやおかーさんとか、大切な人と一緒」
僕は。
「静と、いたいな」
自然に、声にでていた。
「静と一緒にいたい」
地球最後の日を、大好きな君と。
「なっ」
顔を赤くする静に、笑顔になる。
世界が終わるその時は、君と一緒にいたいんだ。