元風俗店員が都市に着く
森はその日の夜に抜けることが出来た森を出たところで野営をする。
こんなにすんなり出れるとは・・・。
森を出たところに小さな小川が流れておりその小川のそばで野営することになった。
テキパキと野営の準備をするローレライたち、俺もジョディに少しは教わったがなれてる人たちは効率がいいな。
そして遅めの夕食は川魚の塩焼きに野菜のスープだ。美味い。
ショーンが魚を獲ってライドウが調理するのがいつものパターンらしい、ローレライは料理が苦手なようで一切手伝わない、と言うか手伝わせてもらえない。
なんでもシチューを作ると爆発するそうだ・・・鍋が。
料理が下手とか言うレベルではないと思うがあっちの世界にも壊滅的に料理下手というのは居たし某大型掲示板にはスレもあるぐらいなのでこっちでは爆発ぐらいはするんだろう。
見張りは最初はローレライとライドウで交代でショーンと俺と言う組み合わせになった。
3日間森で彷徨っていた時は1人なので熟睡できずにいたので飯を食ってすぐに深い眠りに俺は落ちた。
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「おい、起きろ交代だ。」
むさ苦しい声で起こされる。
久しぶりに熟睡することができた体の疲れも取れた気がする。
「よくこの状況で熟睡できるなお前は。俺たちが新人狩りだったらお前身ぐるみ剥がされて死んでるぞ。」
呆れた声でショーンが言ってくる。
そういえばそうだな、見ず知らずパーティで熟睡なんてしたら殺されても文句は言えない。
迂闊だったか・・・つい人に会えた嬉しさで気を抜いてしまった。
これからは気をつけよう。
これから朝までは俺たちが見張りだ。
といってもこの辺りに魔獣はあまり出てこないので念のためだ。
見張りをしてる間に聞いた話によると・・・
ショーン達は全員25歳で冒険者になって10年目だそうだ。
ジョディとも何度か仕事をしたことが有りパーティに誘ったこともあったがやる事があると断られたそうだ。
ハーインについて聞くと娼館や酒場はやはり裏の人間がまとめていて、ヤザ商会というハーインでも3本の指にはいる大商会が元締めだそうだ。
教会や多数の貴族達ともつながりのある商会らしい。悪い噂などもちらほらと聞くらしい。
やはり、まずはコネ作りだな。
教会を敵に回すのはあまり良くないので教会にもコネを作らないとな。
この3人は余り信仰深くないようだ、ハーインを拠点に仕事をしていて、今回の仕事は余り稼ぎにならなかったので次は大きな仕事にいくそうだ。
それなりに顔が効くようで拠点を探しているなら不動産屋を紹介してくれると、見た目イケメン中身もイケメンとなんとも面倒見のいい男だ。
俺が店をやる時にスタッフとして働いてくれないだろうかなどと考えているとローレライとライドウが目を覚ましてきた。
「おはよー。朝食にしてささっと戻りましょう、今出れば夕方までには着くでしょう」
「・・・・・・。」
ライドウはささっと朝食の支度をする。
朝食はパンと目玉焼きに野菜スープだ。
彼らは大きめのアイテムボックスを持っており食材に調味料、調理器具を充実させていた。
アイテムボックスは高価な魔術道具で大きさはウエストポーチぐらいなのに大量の物を入れておけるうえ食材などの劣化を防ぐことの出来る超便利アイテムだ。
四次元ポ○ットみたいなものだな、かなり欲しいアイテムの1つだが高価なのでまだ持っていない。
マグナッド村ではそもそもジョディとマスターしか持っていなかった。
朝食を終えハーインに出発する。ローレライたちがなぜ馬車を使ってないかと聞くとショーンがバツが悪そうな顔をした。
なんでもショーンは乗り物乗ると吐いてしまうそうだ。
残念な目でローレライとライドウがショーンを見つめる。
乗り物酔いか・・・とりあえずショーンに酔わないポイントを教える。
乗り物の揺れによって三半規管が揺らされて酔うことと景色の動きに眼球がついていけず脳の処理が追いつかない事を教えて身体を締め付けずにカーブなどではカーブに添って身体を傾けたり視線を落とさずに近くを見るのではなく遠くを見ることや少量のアルコールを飲んだり糖分を摂ったりすると酔いにくくなるとうる覚えの知識で教えてやる、彼には不動産屋を紹介してもらう予定だし助けてくれたのだ、これで乗り物酔いがマシになればこれからの移動が楽になるだろう。
ローレライにライドウが目を大きく見開いてこちらを見てくる。
ショーンも驚いたように聞いてくる。
「さんはん・・きかん・・?脳の処理?えっ?なにそれ?」
あれ?この反応はなに?
「タケシは医者かなにかなの?それとも魔術研究の類の仕事?聞いたことない言葉だわ・・・さんはんきかん?」
ローレライが何やら疑わしげな目で見てくる。
おや・・・?この世界はまだ乗り物酔いがなんなのかわかっていないのか?そんなアホな・・・。
いや異世界だし向こうの常識は通じないのか・・・じゃあなんだと思っているんだ?
呪い・・・まじか・・・この世界ではわけのわからないものは呪いなんだそうだ。
治癒魔術で治らないもの医学で解明できていないものなどは呪いで片付けられるのか。
これはやばい・・・?ごまかせるか・・・
「あー・・・医学と呪いの研究を少ししていて、まだ発表はしていないけど丁度この前その研究をしていたんだ、まだはっきりと答えは出ていないが耳の奥に三半規管と言うものがあってこれは平衡感覚を司るものでショーンはバランス感覚悪くない?片足立ちどのぐらいできる?」
と片足立ちをして見せて聞いてみる。
ショーン達にやってもらうとショーンはすぐにフラフラとし直ぐに足をついてしまう。
ローレライとライドウはしっかりしたものでバランス感覚は抜群にいいようだ。
「この平衡感覚が良くないので乗り物の揺れで気分が悪くなり吐いてしまうんだ。平衡感覚を鍛えれば克服もできるんじゃないかな?」
「鍛えることが出来るのか!?」
ショーンの食い付きが半端ない・・・そりゃそうか移動が徒歩と馬車などではスピードが段違いだ。
えーとなんだったっけな・・・何かのサイトで見た記憶が・・・
「えーと直ぐに鍛えられるものじゃないんで頑張って。両足をピタッとくっつけて立つ事。それができたら片足を上げて立つ事。これが左右出来たら安定していないところで同じ事をする。これを毎日空いた時間にやれば少しづつ鍛えられるよ。(多分・・・)」
うろ覚えの知識を教える。
「そういえばショーンて結構転けるはね・・・それが原因かしら?」
「それもあるかもね・・・」
うまく話を逸らして誤魔化せたかな・・・こりゃ迂闊にモノいえねぇな・・・。
などと話していると遠くに何やら塀のようなものが見えてきた。
どんどん近づいていくと物々しい石塀が都市を囲んでいる。
魔獣が入ってこないように大きな都市などはこう言った石塀で囲われていると言う話だ。出入り口は東西南北の計4箇所。こちらの世界も東西南北である。
いま俺は西の門の前にいる・・・すげー!!でけー!!しかも結構混んでる!?なんで!?
門の前には結構な人だかりができている。
門番に荷物検査をされているようだ。
危険な物を持ち込まないかの検査だそうだ。
都市の出入りには検査があるのか・・・石塀を見るとかなり遠くまで続いているように見える。
予想していたものよりかなり大きな都市のようだ。
こりゃ案外チョロそうだな・・・これだけ大きいと裏の組織もいくつかあるだろうから小さめの組織に狙いを絞って組織ごと乗っ取れば・・・もしくは大きい組織同士を潰し合わせれば・・・
クックックック・・・この世界に今までにない快楽を味あわせてやろう・・・クックックック・・・
これからどんどんと元風俗店員が風俗店員らしくなっていきます(笑)