元風俗店員が迷う
依頼・・・依頼・・・依頼・・・休息・・・依頼・・・
ぬぁ!?冒険者の仕事単調すぎるだろ!?
ランクが低いから仕方ないっちゃ仕方ないが・・・
薬草採取に魔獣の調査に低レベルの魔獣狩り隣の村の教会の修復作業に炭鉱での掘削作業・・・何でも屋か!?
う〜ん、低ランクだと金も上手く貯まらないし、この村に留まるのも限界か・・・
お世話にはなったがレベルも一応5になったし(目標レベルには全く届いてないが・・・)そろそろ大きな都市に行く頃合いか。
この世界に来て1ヶ月ある程度の知識も得て独り立ちしてもそろそろ大丈夫だろう。
それによく考えれば金は俺の魔法でレアな鉱石を作って売ればいくらでも手にはいるやん。
なんで気がつかなかったし俺。
よし早速上京しよう!今の持ち金は20万Kぐらいあるからなんとかなるだろ。
最悪、装備売れば暫く生きていけるだろう。
まずはいろいろ挨拶回りだな。
1ヶ月もいると知り合いも居て流石に挨拶もなしに行くのは気が引ける、まずはご近所回りだな。
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この村はホント良くしてくれた人ばかりでここは第2の故郷といってもいいな。うん。
最後にマイセンのとこに挨拶行って酒場でマスターとジョディに話そう。
マイセンのとこに行くと丁度休憩に入ったところでマイセンとニアスがお茶をしていた。
「そうか、元の世界に戻る方法を探すのか・・・やはりな・・・、タケシが居なくなると寂しくなるな。」
マイセンがしみじみと言う。
同い年と言うこともあって俺とマイセンとマスターは良く酒を飲んでいたので飲み友達が居なくなるのが寂しいのだろう。
村の人やみんなには元の世界に戻る旅に出ると言ってある、上京して風俗王を目指すなんて恥ずかしくて言えない。
それにそんな理由だともう少しレベルを上げてから行けと言われそうだ。
雑談をかわしつつ明日には旅に出ることを伝える。
酒場に戻りマスターとジョディに話す。
2人は笑いながら一緒に酒を飲んでくれた。
途中マイセンも加わり夜遅まで酒盛りは続いた。
いやーお前は異世界人にしとくにはもったいないだの、どうせなんか企んでるだろだの、たまに嫌らしい笑いするんだよねだの、もし帰る手段が見つからなかったら戻って来いだの、大した付き合いでもなかったのに言ってくれて嬉しかった。
なんでも俺が来たことによって田舎の村が少しでも賑やかになって嬉しかったようだ。
明日からはまた変わらず未熟な冒険者が行き来するのどかな田舎に戻るだろうと少し寂しげに笑っていた。
文無しの俺をここまで良くしてくれた村だそこは俺がいずれとびっきりの刺激をここにも届けようと心に誓う。
もちろん男も女もだ。とびっきりのをな!!フハハハハハハハハハ・・・・・こうして夜は更けて行く。
朝方、酒場ではマイセンとマスターとジョディがまだ寝ている。
起こさないように俺はそっと出て行く。
どうせまたここにもデリバリーを開通する予定だ別れはいらないだろう。
いざ商業都市へ!!
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「タケシってなんか恥ずかしい感じの性格よね・・・」
「あれは格好つけなんだろう・・・」
「見てるこっちがたまらんわい・・・」
と酒場の中でまた酒盛りをはじめる3人であった。
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さてとのんびりと歩いて旅をするなんて初めてだなあ。
必要最低限のものしか持ってきてないがまぁ俺の今の体力なら3日もあれば見えてくるだろう。
街道沿いを歩いていけば徒歩だと6日、馬車だと2日の距離だ、最短ルートの森を突っ切れば大丈夫だろう。
商業都市ハーインへは大きな森を迂回する形で向かうのが主流である。
だが森を突っ切れば移動距離を大幅に短縮出来ると考えた。
森の中には魔獣がいるが問題ないだろう、レベルは5だがステータス的にはジョディを上回っている。
森の魔獣ぐらいどうとでもなるし、一人での戦闘の練習にもなる。
最初はできるだけ穏便に事を進めていくつもりだがいずれは揉め事も出てくるだろう。
最悪、商業都市の裏の連中と揉める事を考えると力はつけておいたほうがいい。
さて、まずは何から始めようか・・・まず拠点となる住処がいるよな・・・色々ものも揃えなくてはいけないから金稼ぎにまた冒険者家業を少しやらないと・・・まぁ大きな都市やから大きな仕事もあるやろしレア鉱石を1つでも見つけれりゃあとは魔法で変換すりゃそこそこの金になる。
やりすぎにだけは気を付けないと値崩れや余計な連中に目をつけられるかもしれないしな。
森に入って3日大きな樹を見つける。
立派な樹で高さはパッと見50メートルぐらいで太さは5メートル以上有りそうだ。
その立派な樹の根に腰を下ろし煙草に火をつける。
こちらの世界にも煙草が有って助かった。
地球と違い種類も3種類しかないのだが味は悪くなかった。
少し割高ではあるがヘビースモーカーであった俺には大変ありがたい誤算であった。
煙草を吸いながら空を見上げる・・・いい天気だ・・・煙をはきながらつぶやく・・・迷った・・・。
まっすぐ突っ切れば直ぐかと思ったが、なかなかどうしてうまくいかないもんだ。
怪しげな木の実や果物に水は自分で作りなんとかなるが終わりが見えないのは精神的に宜しくない。
こんなことなら馬車をつかっとけばよかった。
などと考えながら空をぼんやりとながめる。
休憩を終えて動き出そうとした時、遠くで煙が上がってるのが見える。
あれ?誰かが火をつかってる?冒険者か!?助かった、道を聞ける!!煙の方に向かって早足で歩き出す。
近づくに連れて人の気配を感じる、こちらが気づいたのだ向こうにも気づかれたであろう。
だが動く気配が無い・・・徐々に近づいていくと2人見える・・・格好からすると冒険者のようだが1人は歴戦の戦士風の男もう1人はローブのような物を羽織った女だ。
ここは営業スマイルで近づいて道を聞くか都市まで連れって言ってもらおう。
「こんちは。ちょっと道に迷ってしまって・・・できれば街道に出る道を聞きたいのですが。」
にこやかな営業スマイルを浮かべ近づいていくと急に後ろから声をかけられる。
「何者だ?」
後ろからおそらく剣を突きつけられたのか背中に尖ったものが当たる。
なッ!?3人いたのか!?全く気付かなかった。
動けないので姿は見えないが若い男のようだ。
「え~と・・・只の迷子なんですが・・・怪しく見えます?」
「そうだな、気持ちの悪い笑顔で近づいてくれば怪しさは大爆発だな。」
「気持ち悪いって・・・傷つきますよ?」
「それとも、巧妙な偽装まで施した強力な装備に身を包みこんな森で迷子などと抜かすやからが怪しくないとお前は思うのか?」
「・・・!?え~・・・その件については色々ございまして・・・俺としてもまさか迷子になるとは思ってもいなかった訳で。」
あら?これはやばいな、偽装が見破られるとは・・・これじゃ怪しさ全開じゃないか。
他には仲間は居ないっぽいんだがこの3人強そうだな、ジョディと同じかそれ以上な気がするな。
ジョディよりステータス上は上だが如何せん経験が違う、この1ヶ月幾度となく模擬戦をしたが勝てることは一度もなかった。
この3人は同じ匂いがする。
だがどうする、怪しさ全開でも迷子以外に説明ができない。本当に迷子なんだから。
「いや、怪しいのは認めるけどホンマに迷子やねん・・・ほんで貴方たちに1人で喧嘩売る程高レベルでもないのも事実やねん・・・そや!!この装備はマグナッドのマスターとジョディに貰ってん。」
マスターとジョディの名前を出してみる。
近くの村のBランクの冒険者だ知っている可能性が高い!!加工はしたがもらったのは事実だ!!
「なんだその取ってつけたような言い分は。ジョディか・・・何度か仕事をしたことがあるな。」
「どうやら盗賊とかじゃないみたいね周りに誰もいないようだし、胡散臭いのは確かだけど1人で私たちに挑んでくるとも思えないし悪い人にも見えないし。」
「・・・・・・。」
どうやら、わかってくれたらしい、後ろの男がローブの女に話しかけ戦士風の男が頷く。
「ありがとう、いやほんまに困っとってん。全く道わからんし3日も迷っとってん。木の実とか果物しか食ってへんから腹減っとってん。」
丁度食事をするところだったらしくご馳走になる。
野うさぎの丸焼きに少し固めのパンを頂きつつ話をする。
「高レベルっぽいのになんでこないな森に来てるの?ここって割と低レベルの冒険者が多いって聞いたけど?まぁおかげで助かったけど。」
「この森に瘴気溜りが出来たのを浄化して帰るところだ。」
「そう、最近瘴気溜りが多いのよねこの森で2つ、湖の方に大きなのが出来たみたいだし先月はコスス山にも出来てたし最近おかしいのよね。」
「・・・・・・。」
この3人でパーティを組んでいつも仕事をしているようで今回は神官がほかの場所の浄化に行っていた為仕事が回ってきたとのことだ。
このローブの女はレアな職業とスキルの持ち主で神官ではないが小さい瘴気溜りなら浄化できるらしい。
名前はローレライといいスラっとした長身で髪は金髪ショートボブにスリーサイズは上から85〈E〉・59・83といったなんとも素晴らしいスタイルをしていた。
伊達に元風俗店店長はやっていないぱっと見れば大体のサイズは分かる、誤差は±1cmほどだ。
あまり外したことがないのが自慢だ。
俺の後ろを取っていた男はショーンといい装備的には盗賊といったところか。動きやすそうな服に部分鎧をつけている。
黒髪の長髪を後ろで束ねスラっとした体型、あっちの世界にいればホストでも通用しそうなイケメンでクールな雰囲気を漂わしている。
最後に戦士風の男はライドウといい、生まれつき声が出せないらしく名前はローレライが教えてくれた。
右目の上に大きな傷が有り短く刈り揃えた髪に男臭くそれでいて優しさのにじみ出ているよう顔つきに筋骨隆々な体は見るからに戦士といった感じだ装備も一番重厚な装備をしている。
ローブの女の職業がわからないのでなんとも言い難いがバランスの取れたパーティのようだ。
皆、同じ村の出身で幼馴染みだそうだ、幼馴染とか羨ましい。
とにかくハーインに戻ると言うことなので一緒に連れって行ってもらえることになった。
ようやく森を抜けることが出来る長かった・・・。
なんの経験もなければ迷子になります。
森などではすぐに方向感覚がなくなり痛い目にあいます(笑)
ようやく森を抜けることが出来そうです。
いつになれば都市につくのか・・・。