知らせ
自宅に戻った川田。携帯が鳴った。
(愛子かな?)
携帯を見ると知らない番号から着信だ。
電話に出る、川田。
「誰ですか?」
「久しぶりだな、川田。逃げられると思っていたか?」
絶句する川田。
「俺たちの世界から、足を洗ったつもりでも、やはり、お前のことは誰も良く思っていないよ。俺の回りはな。川田、また俺たちと仕事しろよ。お前には、それしか、ないんだよ」
何も言い返せない川田。
川田は、少し前までアンダーグラウンドで、凌ぎを削っていた人間だった。
しかし、嫌気がさして、姿を消した。しかし、闇の奴等に、また見つかったのだ。
「もう勘弁してくれ!頼む!」
そう電話で話す川田。
相手が言う。
「それは、無理だよ、川田。もう無理なんだ。お前には、戻るしかないんだ」
その声だけが、残酷に川田に突きつけられていた。
1年後ー
愛子は、一人で町を歩いていた。
川田は、一年前に音信不通になり、それっきりになった。
川田のことを忘れられないこともあるが、パッとする男もいない。
だから、今は彼氏もなしだ。
これから、職場の同僚と映画を見る予定だった。
映画館の前で、愛子が待っていると同僚が来た。
同僚が、じゃあ、何を見ようか?と聞く。
その時、映画館から出る人の中に、川田のような人を見た。
大きな声で、名前を呼び、手を振る愛子。
しかし、その男は振り向かなかった。
決して、振り向かなかった。
男は、外に出た。今日もイイ天気だ。
しかし、自分の今からの仕事を考えると、憂鬱になる。
(最後に、愛子と会ったのも、こんな季節の、こんな日だったかな・・)
男は、そう思い、空を見上げる。
太陽は、遥か昔から、あった。太陽がないと地球も成り立たない。
でも、太陽は、果たして、地球のことなんて考えているのか?
いつか、太陽は燃え尽きるらしい。
それは、もう決まりきっているのが通説である。
(終わり)
筆者の作品の中では、おそらく初めてのバッドエンドな小説でした。「取り返しのつかない過ち」を架空の設定で、描いたのですが、やはり、何を感じてもらえるかは、読んでくださった方の自由だと思います。最後まで読んでくだり、ありがとうございました!




