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来ヶ崎愛歌は日本女児である。  作者: 岡村 としあき
急:激突! 来ヶ崎愛歌、まかりこしてそうろう!
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明日香のゴミ箱

「九条院センタービル。明日香さま達人質が囚われているのは、我が九条院家が経営するデパートなのよ。そして、そこでは現在地下二階で明日香さまのアイテムを高額買取中ですの! ……もっとも、まだ何一つ買い取れておりませんが」


「それと秘密の侵入通路と、どう関係がある?」


「よくぞ聞いてくれたわ! せっかく買い取った明日香アイテムが火事で燃えてしまったら、あらたいへん! 凶悪なテロリストが明日香さまの衣服を目当てに侵入するとも限りません。明日香さまの持ち物には莫大な価値があるのですから! く、ふふ」


「お、お嬢。口からおつゆが……」


 背後に控えていた蛇祭がハンカチで命のよだれを拭うと、元の位置に戻った。


「そこで。わたくしは緊急時にいつでも明日香アイテムを持ち出せるよう、地下二階に続く通路をこっそり作らせたの。ちなみに、これは非公式なので見取り図のどこにも載っていないわ。テロリストどもが事前に見取り図を入手していたとしても、そこはノーマーク。確実に奇襲できるでしょう」


「そこから侵入すると? しかし……警察に任せたほうがよいのではないか? いささか無謀というか、ヘタなことをして犯人どもを刺激すると、人質の命が危ないのでは?」


「国家権力どもに任せてなどおられません。確かにテロリストどもは、身代金を払えば人質は解放するといいました。が、人質すべてが解放される保証などありません。わたくしなら金をもらえば一部、といわずとも、せめて一人は残して他は解放しますわね。自分の安全が確認できれば最後の一人を解放するか、もしくはその場で……。そうなったとき、扱いやすいのは女子供。抵抗されても成人男性よりも御しやすい。世間の同情も引けるでしょう。テロリストもろとも殲滅など愚行を働けば、マスコミの大バッシング。そして、わたくしがテロリストならば、まず間違いなく明日香さまを選びますわ。あの可憐で天使のようなあどけない顔に魅了されぬわけがありません。ああ、わたくしも明日香さまを誘拐したい。九条院家の地下に監禁して、毎日二人で大貧民をして遊ぶの。く、ふふ」


「お、お嬢。またまた口からおつゆが……」


 背後に控えていた蛇祭が再度ハンカチで命のよだれを拭うと、元の位置に戻った。 


「なるほど。途中、お前のほうがテロリストよりも危険だと判断したが、まあそれは横に置いておこう。もう一つ確認したいのだが……何故お前はそんなかっこうなのだ? 確かに戦闘時動きやすそうではあるが」


 愛歌は命の体操服を指差した。


「決まっているじゃない! どんなに凶悪なテロリストでも、目の前にブルマの女子高生がいたら、心を揺さぶられ、冷静な判断ができなくなりますわ。ふふ。さらには明日香さまの性欲も刺激し一石二鳥! なんという頭脳戦! なんという機能美! なんという心理戦! わたくし、最高に恐ろしい子!」


「む……確かに、一理あるな。ではわたしもそれに着替えよう。戦いを有利に進めるには必要なことだ」


「そう言うと思っておりまたわ。新品の体操服なら、ここに」


 愛歌は命から体操服を受け取ると、牛丼屋に戻ってトイレで着替えた。


「うむ。これは動きやすい。しかし、店内の男がみな一斉に呆けた顔でこちらを見ていたぞ。どうやら効果は抜群のようだな。この戦闘服、気に入った!」


「ではこちらへ。秘密の通路へご案内しますわ」


 ブルマの少女が二人して街中を歩く。すれ違った人々はみな振り返った。その光景は、奇妙であった。


「ここが、秘密の通路の入り口か?」


「ええ、そうですわ」


 ビルの近くにあるゴミ箱。その前で命は立ち止まった。


 ゴミ箱はなんてことのない、青いポリバケツのような物で、フタを外すと、命は中に入っていたゴミ袋をすべて放り出した。


「ええと、確かこのあたりに……」


 ゴミ袋がなくなった箱の底を軽く突くと、底がゆっくりと開いていき、はしごが顔を出す。


「さあ、行きますわよ!」


「ちょっと待ったぁ!」


 ゴミ箱に入ろうとした命たちの前に、ナイトが現れた。


「貴様、天空寺。なぜここに?」


「ふははは! ブルマあるところに我はあり! ブルマの気配をキャッチして来てみれば、九条院がいるではないか! オレはひっそりと気配を殺し、今まで様子を窺っていたのだ! くう……いいもん見れたぜ。もはやブルマは絶滅危惧種ではない! ブルマは未来永劫不滅! ブルマよ永遠に! 立ち上がれ国民! しかし立ち上がるなオレの股間! ジークブルマ!」


 ナイトは感動して泣き出した。


「なぜヤツは私達を見て泣いているのだ?」


「さあ……ボウヤだからでは?」


「話は全て聞いた。幼馴染を助け出すために、オレも一肌脱ごう。天空寺流暗殺拳百の奥義を見せ付けてやるぜ! 千の兵を得たと思うがいい!」


「まあ、枯れ木も山の賑わいというな。弾除けくらいにはなりそうだ」


「デコイとして、使えそうですわね」


「ああ。オレは枯れ木だ。デコイもばっちこいだ! ……ん。枯れ木は山の賑わいってどういう意味だ? デコイってどういう意味だ? まあいい。オレに任せろ! 幼馴染とブルマのために、オレは世界を相手に立ち上がる!」


「これでメンツはそろいましたわね。明日香さま救出チーム、結成ですわ!」


「ああ。待っていろよ、日比谷。かならずお前を助け出し……お前を手に入れてみせる」


 愛歌たちはゴミ箱から秘密通路へ侵入した。

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