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来ヶ崎愛歌は日本女児である。  作者: 岡村 としあき
破:衝撃! 来ヶ崎流古武術第十八代継承者、ここに在り!
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明日香の尽きない疑問

 愛歌と御手洗の戦闘が終わって、昼休み終了のチャイムが鳴り響いた。


「あ……お昼休み、終わっちゃったね。早く教室に戻らないと。とにかく、戻ろう。来ヶ崎さん?」


 明日香は愛歌の手を取ろうと近付いた。


「日比谷! 動くな!!」


 チャイムの終了と同時に、愛歌は明日香を押し倒した。


 明日香の目の前に愛歌のセーラー服が迫る。そのまま押し倒され、明日香は愛歌と裏庭を転がった。


 上下に重なる明日香と愛歌の体。明日香は愛歌の胸に押しつぶされるように地面に仰向けで倒れていた。


 明日香は状況を確認しようと、愛歌を押しのけ上半身を起こそうとする。


「こ、今度は、何?」


「そのまま頭を低く!」


 抗議しようとした明日香の頭上をかすめ、高速で何かが横切った。


「え?」


「狙撃されたようだ。それも、頭部を正確に狙っている……彼奴め、なかなかの腕前」


 愛歌の視線の先には、校舎の壁があり、そこに何かめりこんでいた。


 それを見た明日香は青い顔になって怯える。


「ええ!? そ、狙撃って……ぼく、何か悪いこと、したかなあ」


 明日香は泣きそうになった。それもそうだ。普通の人間がいきなり狙撃されたら、かなりビビるだろう。


「あ!? そうだ。そういえば……ぼく、朝ごはん少し残しちゃったんだ……うう。どうしよう。やっぱり、農家のおじさんとおばさん、怒っちゃうよね?」


「そんなことで農家のおじさんに狙撃などされん。気にしすぎだ。おそらく狙いはこの私……。御手洗が言い残した、ポテチとやらの仕業だろう。フ。本気で私の首を取りに来たというワケか。……面白い」


 愛歌は不敵に笑うと、明日香の頭をなでた。


「日比谷。ここにいてはいい的にしかならん。少し移動するぞ」


「わ!?」


 再びお姫様抱っこをされる明日香。そしてそのまま裏庭を恐るべきスピードで駆けていく。


 ライフルの発砲音と同時に、窓ガラスが砕け散り、破片が明日香の目の前を通り過ぎていった。


「ち。敵ながらいい仕事をする」


 今度は花壇に直撃し、レンガの破片が空中に飛び散る。


「ひゃあ!?」


「日比谷。しっかり私につかまっていろ。歯を食いしばっておけ!」


 不思議な浮遊感が明日香を襲う。不意に下を見れば、砕けたガラスが引っ付いた窓があり、ストンという着地音と同時に、目の前の景色はリノリウムの床になる。


 そしてそのまま校舎を駆けて行く。


「ど、どこに行くの!?」


「狙撃手を始末する。このまま屋上へ向うぞ。弾の発射角度や風向きを考えれば、狙撃できる最良の場所はそこしかない」


 愛歌は険しい顔付きのまま、前を見てそう言った。


 階段を駆け上がり、屋上の扉前にたどり着くと、明日香を下ろし頭に手をのせなでる。


「ここで待っていろ。すぐに終わらせて帰ってくる。その時は……お前の返事を聞かせてくれ」


 愛歌はクールに笑うと、背を向け扉の外に出た。


「く、来ヶ崎さん!?」


 明日香は愛歌を追って屋上に出た。


 すると目の前には銃弾をかわし、物影に隠れる愛歌の後姿があった。


「良い腕をしている。貴様がケルベロスの一人、『コードネーム・ポテチ』か?」


 返ってきたのは、答えではなくお菓子の袋を開ける音と、それをバリボリと砕き割る音だった。


 さらに、どすっと音を立て、給水塔から何かが落下してくる。


 それは男だった。超重量の巨体を黒のジャージで包み込み、丸いメガネの奥が爬虫類のように愛歌を見ていた。


油揚入茂(あぶらあげいも)。ケルベロスが一人、元ニート。自宅警備のプロだ」


 ぼそっと小さな声で油揚は言葉を発すると、地面にライフルを投げ捨てる。


「M24の改良型、M24A2、か……」


 いきなり愛歌の口から出てきた横文字に、明日香は驚愕する。なにしろ、オール電化の意味さえ知らない機械オンチ少女が、一見しただけでそれが何であるのかを理解し、即答したからだ。


「あ、あの。M24って何?」


 声をかけた明日香に、愛歌は一瞬険しい瞳で睨んだが、すぐにそれは優しいものに変わる。


「日比谷!? 隠れていろといったのに……まあいい。レミントン・アームズ製のボルトアクション狙撃銃だ。アメリカ陸軍で使用されている。しかし、日比谷はそんなことも知らんのか? これくらい、常識だろう」


「ええ? そんな常識、ないと思うけど……」


「何だと? 私は幼少の頃から世界中の銃器の扱いを仕込まれていたのだが……どこの家庭もそうではないのか? 小学校の入学祝いに自動小銃を送られたりしないのか? 九九を覚える暇があるなら、銃の腕を磨けとよく母上にお叱りを頂いたものだ、フ」


「どんな家庭なの、来ヶ崎さんの家って……」

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