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Opening
時刻は午後4時30分。
授業は全て終わり、部活に入っている生徒は部活に行く時刻だ。
そして此処には、部活無所属の男が一人。
彼は4月この高校に入学したばかりの1年生だ。
これといった特技といえば、別に何もないといったところだ。
茶髪で、少し整った顔立ち。
故に女子にウケのいいこの男は、トラブルに巻き込まれ易いという体質を持っていた。それは幼少の頃からのモノで、それに関しては彼自身もほぼ諦めていた。
だから彼は“トラブルや揉め事には関わらない”という決意(? を持っていた。
春の陽射しにうとうとしていた彼は、ある人物が廊下にいるのを見て、体を硬直させた。
“何故あの男が此処にいるんだ”
と。
彼は、そいつと眼を合わせてしまった。
その瞬間、そいつは妖しい笑いを浮かべた。