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『勇者』の反逆  作者: 本場匠
1章:聖王国家ペルヴィア編
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4:地獄の訓練~魔法編~

地獄の訓練とは名ばかりになってしまった……。

あれー?

「では、勇者様。

 今から魔法についてご説明しますね」



 クソ王女サーシャの罰からなんとか立ち直り、やってきました訓練場。


 そして。


 アキラ・トウジョウ!魔法デビュー!!

 いやっっほぉおおおおおおおおう!!


 いやもうね、みんなオレの名前忘れてるんじゃないかと。


 アキラですよー。東城アキラー。



 ……まあ、みんな『勇者』としか呼ばないからね。


 使い捨ての道具に名前なんか聞かないか。

 愛着なんてわくわけもないし。



 召喚されてからこっち、名前で呼ばれることはめったにない。


 だからこそ、『勇者』などと呼ばれるとイラッとするんだろう。


 役職名でしか呼ばれない。

 囚人が番号でしか呼ばれないのと同じようなもんだ。


 いいさ。こっちだっておまえらの名前は覚えてやらん。


 グレン?だれそれ、あれは騎士団長でしょ。

 みんな役職名とA、B、Cとかで呼んでやらぁ。



 そんなわけで、魔法部隊隊長さんから魔法を教えてもらうことになった。

 魔法少女っていうより、魔女って感じの妙齢の女性。

 彼女が隊長でオレの先生の用だ。



 ~隊長さんの魔法講義~


「まず、魔法には魔力が必要となります。

 魔力を呪文という構築式に流し込み、結果として魔法が発生するわけです」


「なる。

 呪文はさしずめ魔力の変換装置ってとこか」


 魔力という無定形、方向性のない力を、呪文という変換装置でもって形、属性などを与えて魔法とする。


 それがこの世界における魔法と呼ばれるものなのだろう。


「へんかんそーち?

 それがなにかわわかりませんが、先に進めても構いませんか?」


「いいよ」


「では、次は属性についてです。

 属性は、火、水、風、土、光、闇の6属性ですね

 属性は基本的に一人一つ。まれに二つを持つ人もいます」


「魔法は全部そのどれかに分けられるの?」


 雷とか、時とか、空間魔法とかないのかね。あー、あと影とか。


「いいえ。中には派生属性、混合属性として、氷、雷、炎がありますね。

 残念ながら、実際の使い手となるとわが国にはいません」


「他の国にはいるのか?」


「ええ、いますね。それに、歴代の勇者様方がそうです。

 氷、雷、炎に加えて、時、空間などと言われる魔法をお使いになりました」


「魔法創造、か……」


 アキラは時や空間は、魔法創造の結果かとも思ったのだが、それはすぐに否定された。


「いえ、違います。

 勇者様の魔法創造とは別に、理論的にはあるものの魔力が足りないなどの理由で使い手がいなかった魔法。

 それが時魔法や空間魔法と呼ばれるものです」


「じゃあ、魔法創造ってなんなんだ?」


「わたしにもよくわかりません。

 ただ字面から見て、勇者様にだけ使える魔法で、勇者様が望む魔法を創るのではないかと」


「…………眉唾もんだなぁ」


 魔法創造、ねぇ……。

 その正体は二つの可能性がある。


 一つ目。

 現代のゲームやファンタジーに存在した魔法の再現。

 たとえば、≪ウインドカッター≫という魔法。

 これがこの世界にはなかったとしたら。

 この世界の人にとって、新しい魔法を使ったように見えるだろう。

 このパターンでは、あくまでこの世界の魔法法則にのっとった魔法でしかない。

「新呪文の創造」タイプとする。


 二つ目。

 この世界の法則とは全く異なった魔法法則による魔法を創造。

 属性、呪文、などこの世界の法則とはまるで違った魔法。

 これはもはや「魔の法則」を創ることそのものだ。

「法則の創造」タイプとする。



 前者は元の世界の知識によるもの。

 後者は勇者召喚によって得た特殊魔法。


 いったいどっちなのか。

 書庫で歴代勇者について調べてみよう。

 いや、なんか魔法を創ってみるのもいいか?



「じゃあ、派生魔法や混成魔法ってなんです?」


「派生魔法は、例えば火の派生は炎、水の派生は氷ってところです。属性の強化版みたいなものですね。

 混成魔法は、複数の属性を混ぜたものです。雷は水と風、または光と風の混成と言われています」



「なるほど。少しややこしいですが、わかりました。」


 混成魔法の組み合わせも、いろいろと考えてみよう。

 うまくいけば新呪文を創れるかも……くふふ。

 土と火の混成魔法【錬金】とかできねぇかな……。



「では、さっそく属性について調べてみましょう。

 こちらの水晶玉に血を一滴垂らしてください」


 差し出されたナイフで指を軽く切って血を垂らす。


 水晶は血を吸い込むと、淡い光を放った。


 水晶の中には六芒星のような陣が映っており、その頂点がすべて光っている。


「やはり、勇者様は全属性を扱えるようですね……」


 隊長が呆れたように声を漏らした。


 頂点一つ一つが魔法の属性を示しているのだろう。


 頂点の光はそれぞれ色が違っていた。


 赤は火、青は水、緑は風、茶は土、白は光、黒は闇ってところだろう。


「光と闇は我が国に使い手がいませんので、書庫で調べていただくしかありませんが

 他の属性については我々が指導させていただきますので」


「隊長は何属性の魔法を?」


「わたしは風と火です。その強化派生である炎も少しなら使えます」


「2属性もちですか。すごいですね……」


 しかも相性がよさそうだ。

 風は火の勢いを強くする。

 案外、炎魔法は火の強化派生という形と、風と火の混成魔法という二つの形があるのかもな。


「全属性を使える勇者様に言われると嫌味に聞こえますよ……」


「…………すいません」


「では、今日は魔力を感じることから始めましょう。

 それができたら、初級魔法の練習に入りますからね」


「はいっ!」


 いよいよ魔法だ!



 魔力を感じるのは結構楽に行けた。


 なんせ今までずっと付き合ってきた身体だ。

 その身体の中によくわからん力があるのはすぐにわかった。


「魔力を感じたのなら、それを引き出すイメージを持ってください。

 最初は手のひらがわかりやすいでしょう」


「手のひら以外からでもできるんですか?」


「身体全身に纏う様な風の魔法は、薄い魔力の膜を纏うイメージです。

 そういう使い方もあります」


「なるほど。では、やってみますかっ!」


 手にひらを上に突出し、体中に流れる魔力を手のひらに集めていく。


「まずは火の魔法。復唱してください。

≪火よ、球となりて燃えろ。ファイヤーボール≫」


 隊長の手のひらに火の玉が現れた。


 アキラも同じように、呪文を唱える。


「≪火よ、球となりて燃えろ。ファイヤーボール≫」


 ゴオゥッ!!

 アキラの手のひらに、1メートルはあるでかい火の玉が現れた。


「うぉおおお!?」


「ま、魔力の込めすぎです!もっと抑えてください!」


「んなこといったって、そんなに込めたつもりはないよ!」


「ああもうっ、じゃあ、手のひらに送る魔力を止めてください」


 言われて、魔力の供給を止めるイメージ。

 しばらく火の玉は燃え続けたが、やがて魔力が切れたのかふっと消えた。


「魔力を止めてもあれだけ燃え続けるなんて……。

 いったいどれだけ魔力を送り込んだんですか……」


「魔力供給をやめても、すでに送った分でしばらく燃え続けるのか……。

 まじで魔力制御を学ばないとやばいな……」


「ですね……。まずは身体強化とか、周りに害のない魔法を使って慣れましょう」


「はい……」



 はじめてのまほう、大成功かつ大失敗。

 先生のコメント

 魔力制御を勉強しましょう。



 そのまま、魔力制御の練習で訓練は終わりを告げた。


 いや、戦闘訓練がなくてよかった。


 隊長さんに聞いてみると


「危なっかしくて許可できません。

 下手したら相手が死にます」


 だって。


 王国に対して魔法攻撃が可能かどうかの検証はまた今度ってことだな。

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