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『勇者』の反逆  作者: 本場匠
プロローグ
2/46

2:勇者

 はい、やってきました謁見の間、の前ですよ。

 リポーターの東城アキラでーす。


 さて、来たのはいいんだけどね。

 待たされてます。

 めっちゃ待たされてます。


 かれこれ一時間くらい。


「勇者召喚なんてことやるんだったら準備しとけよクソが……」


 国家的プロジェクトとかじゃねぇのかよ。

 ペルヴィア王国に対する好感度がグングン下がっていく。

 勝手に召喚しやがった時点で限界値振り切って地の底だけど。

 


 そんなわけで、ヒマな間にスフィアにこの世界について教えてもらうことにした。


「あのさー、勇者とか言われても、オレ一般人の上にただの雑魚だよ?

 なんもできないよ?

 そこらへん、どうなの?」


 当然の疑問。

 召喚、なんて魔法があるのだ。攻撃魔法なんて当然のようにあるだろう。

 そんな世界でできることなど、高が知れている。


「大丈夫です。歴代の勇者様によって分かっていることですが、

 勇者様はこちらにいらした時点で身体能力が上昇しますし、魔力も計り知れません。

 それに、勇者様だけの魔法がありますから」


 おお、まさにテンプレ。

 試しにちょっとジャンプしてみたい衝動にかられ、とんでみた。


「せーのっ、――――ぶっ!?」


 オレ個人の感覚としては、あれだ。

 体育の時間に準備運動でだらだらとジャンプする感じだった。

 その程度のつもりだった。

 そのはずが。


 ジャンプ。

 天井にロケット頭突き。(マジでロケット並)

 重力にひかれ、落下。

 無様にべちゃりと着地(むしろ墜落)←いまここ


「だ、大丈夫ですか!?」


 スフィアが心配そうに駆け寄る。

 ジャンプして天井に激突、さらに落下してみじめに潰れたオレの元に。


「あー。だいじょぶだいじょぶ。

 なんか全然痛くないし」


 頭をさすりながら、すっくと起き上がる。

 

 本当だった。

 込めた力に反して相当なスピードでぶつかったのだが、さすっている頭にはたんこぶひとつできていない。

 しばらく悶えていたのはあまりにかっこ悪かったからです。


「それならいいのですが……。

 勇者様はもう一人だけの身体ではないので、気を付けてくださいね」


≪アキラは好きな彼女に言ってもらいたいセリフ17位くらいの言葉をいただいた≫

 照れるなこれは……。


 にやけそうになる表情を無理矢理固定し、話を続けることに。


「――そういえば、勇者だけの魔法って?」


「そのままの意味です。この世界のだれにも使えない、勇者様だけの魔法」


「えっと、よくある聖剣とか、そういうの?」


 スフィアはふるふると顔を横に振った。


「いえ、それもありますが……そうではありません

 召喚された勇者様が作る、その勇者様だけの魔法です」


「魔法を……作る?」


「ええ。

 勇者様方はみな、この世界にある魔法を軽く超えてしまいますが、それは序の口。

 勇者様が勇者様たる所以は魔法創造にこそあるんですよ」


 まあ、無詠唱や混成魔法だけでも十分すごいんですけどね、とスフィアは笑った。


「へえ……」


「勇者様も学べばすぐにできるようになりますよ

 勇者様がどんな魔法を作るのか、楽しみにしてますね」


「できるといいけどねぇ……」


 アキラは少し、気を引き締めることにした。

 ソフィアの中では、オレが勇者として働くのが決まっているようだ。

 

 勇者として召喚した者だから、勇者として働け。

 そう言われているようで。

 

 無理難題を吹っかけられないようにしないとな……。


「スフィア様、勇者様、準備が整いました。

 お入りください」


 メイドさんはそういって。

 謁見の間へと通じる扉を開いた。

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