07 出会い(1)
私がこのお城に来て、4日がたった。
相変わらず、王子様へは会えてなかった。なんでも隣国とイザコザがあってそれを治めるために
第2王子であるフィル様が出向いているとの事だった。
フィル様とリュイさん以外知り合いもいない私は、ほとんどを部屋の中で過ごした。
体が動くようにはなってたけど、体力がほとんどなくて、歩けば貧血でふらついてしまう。
ご飯も食べやすいようにリュイさんが料理長と相談して出してくれてるみたい。
おかげで少しずつ食べる量も増えてきて貧血も減ってきた。
本当にありがたい。
リュイさんには色々と、この世界のこと、この国のことを教えてもらった。
この世界には、中くらいの国がいくつも隣り合っており、それぞれに発展をみせている。
数十年前は領地を争って戦争もあったようだけど、今はそれぞれに、個々を伸ばしてお互い協調して行こう!という素晴らしい考え方が主流でどの国も国交を深め合い仲良くしているんだって。
なんて素敵すぎる考え方。
現代もこうあればいいのになって思うよ。
そしてリストレアがこの国の名前。中の上くらいの大きさの国で、商業が盛んな国のようだ。
城下には、いろんなものが流通しており、人々の出入りも多く、活気のある街が広がっている
とのこと。いつか行ってみよう。
なぜか言葉は通じているけど、文字はさっぱりわからなかった。
英語まではいかないけど、アラビア語のような象形文字!て感じの文字でなかった
だけ、ほっとした。
リュイさんにお手本を書いてもらっておいて、何度も書いたり読んだりして練習するのだ。
簡単な絵本も読んでいる。
今日は天気がいいので、バルコニーで、書き取りの練習をしている。
リュイさんは今日の夕食を料理長と打ち合わせに行って一人。
夢中になって書き取りをしていたら、ふいに強い風がふいた。
「あっ」
紙が舞い上がって、何枚か飛んでいってしまった。
慌てて下を覗き込むと、花を植えてある花壇にひっかかっているのが見えた。
誰も下にはいないようだ。
よし、取りに行こう。
本当に深層の令嬢じゃあるまいし、こんなことまでリュイさんに頼んだら悪いもん。
方向音痴じゃなかったと思うし、さっと拾って戻ってくれば大丈夫大丈夫!
ドアを開けて左右を見たけど誰もいない…
まぁ、いっか。
出発ー!
というわけで、ユエ、お部屋脱出です。