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呉藍の薔薇  作者: 散花 実桜
一章  再会編
3/35

1章 プロローグ  「王の女」

ノワの話を書いていたら、書き直したくなったのですが時間がないので、プロローグだけサイト用と入れ替えてみました。

真面目に書くと、2章の冒頭みたいな惨状になるので……。





ミルティーユ・ルゥーナと名乗る少女は、少しずれている。

天然暈けではない。下町で働く身で箱入りだったと言うのはおかしな話だが、情報が乏しい中で暮らしていたことが伺えた。

幼少の砌より働いて早6年。そろそろ良い年頃だというのに、色好い話はとんとない。

何故ならば下町の住人は親しい物以外、余所者の少女を遠巻きに見ていた。

それはこの6年で害がないと判断した結果に過ぎない―――。

そんな少女にとって青天の霹靂としか言いようがない事態が起きた。



「王の女だ!!!」

店の客から恐れるような声が上がった。

ミルティーユは驚いて、手にしていた皿を取り落とした。

シンプルな陶器の皿は大きな音を立てて割れ、まるで引き千切った花びらのように床に散乱する。

突然の出来事にミルティーユは、ただただ首を傾げ、男に脅えるばかり。

店の女将や常連客は顔面蒼白で固まっている。

「まだ、幼いのにこんなに育って……冷酷王はロリコンなのか?」

目の前の客は今度は、哀れみの目でミルティーユを見上げる。

赴任してきたばかりの中年の下級役人だろうこの客は、異質なピアスを震えながら指さし、盛大に溜息をつくと、料理を食べることなく「お勘定」と言って、ミルティーユの横をすり抜けていく。

「あの……お客さん」

「触るな!!!」

我に返って絞り出した声。

そして、引き留めようと伸ばした手を振り払い、男は吐き捨てるように「王の女なんて冗談じゃない!!!」と悲鳴に近い叫びを上げられた。

ジャリッ。

飛び散った破片を踏み粉になる音が、砂嵐へと巻き込むような錯覚を与えた。

何が起きたのか分からないまま、冷酷王という言葉だけが脳裏に刻まれる。

久方ぶりに聞いた噂が『冷酷王』。

中つ大陸の大国スターニス王国。現王。

一度もあの蒼穹の瞳の奥を覗くことが出来なかった存在。

其れもその筈だろう。王宮にいたのは僅かに一週間にも満たない。

あれよあれよという間に、ココ領の所謂下町で暮らしていたのだから。

ミルティーユは冷酷王の女だから、恐れられたのか?と考える。

意に沿わぬ者を平気で首を切る、人間にあるまじき強大な力を有する王。

その力は聖霊に匹敵するとも言われ、内外から恐れられる冷酷王とも魔王とも言われる人物。


ミルティーユは王が嵌めた枷を覆い隠すように耳を塞いだ。





数分過ぎたか、先程の客はドアをカラカラ~ン♪と陽気な音を立てて出て行く。



フリーズしたままだったミルティーユに歩み寄った女将は、手に残ったままだった御盆を取り上げると空いた手で抱きしめた。

ミルティーユはホッとした為か、癖のように耳を触る。

紅い石が存在感たっぷりに昔からの癖を阻んだ。




水晶球は気まぐれに映像を映し出す。

持ち主の縁に近しいモノを。



冷酷王は一部始終を執務室から見ていた。










呉藍と書いて”くれない”と読みます。


サイトでちまちまと書き出した話の過去世界の話をメモ代わりに書いてます。

もともとヘタなのに、一発書きな上、色々とお見苦しいですが、気が向いたときに更新予定です。

なので、更新速度は亀並みです。


男がロリコン発言してますが、ミルティーユは現在16歳です。


読んで下さり、有り難う御座いました。





                                  実桜




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