陛下の恋愛事情「オルジュ的偏愛犠牲」2
いい加減絡みが書きたくなったので、無理矢理終わらせました。
そのうち続とかで続編書きたいです。
「今晩はそれをお召しになりましょう」
「しかし、陛下に入れ知恵したのはお兄さまですわ」
「結構な事です。そうでもして頂かないと発展など皆無。出来れば、マール公爵あたりがベストなのですが……」
17歳を前にして自ら結婚宣言をした王兄は愛妻家で有名である。
血が濃いためか子には恵まれていないが、その決断の早さや熱情をラヴァニーユにも分けて欲しい。
冷酷王たる本人を前にしたら、闇の逆鱗に触れないように頭を垂れて過ぎ去るのを待つだけだが、居なければ陰口などたたき放題だ。
「あの方は理想的な王子様ですからね」
「家柄由、顔由、才覚あり……」
「スキルも高いですよ。17で公爵家へお行きにならなければ、もしかしたら王様だったかも知れませんものね」
ミルティーユはカバジートを知らない。婚礼の時にあったかも知れないが、遭ったに過ぎないだろう。
フランブエサを出る半年前この国は戦に明け暮れていたという。
それを止められなかった人物―――ではないのだろうか?
「王が崩御成されて仕舞えば王子の位が剥奪されてしまいます。しかし、先王は保険をかけた」
「長兄から6番目までが王位継承権を持つ。しかし、カバジート様は実質凍結。さぞかし先王は憂いて御出だったのでしょう。ボーネ・ダティルに崩御の後1年しても子が出来なかった場合、末王子であれれたラヴァニーユ様を皇太子に。その後見にカバジート様。17の前に万が一ボーネ・ダティルが死亡した場合、カバジート様を王位に―――」
「実質政務をになって御出で要らしたのはカバジート様。あの愚者は一度足り賭して担わなかった」
元巫女達が語り出す王国に真実を。
軽い気持ちで女官になった若い2人は絶句した。
しかし、ルリとミルティーユは真剣に聞き入っていた。
「先王崩御と共にカバジート様の王位継承権は消滅したのでは?」
「それが1つだけ方法があるのですよ」
「先王の墓守との婚姻です。幸いなことにカバジート様の実母では御座いませんから」
「そうしたら、ラニーは冷酷王等と呼ばれずにすんだのに……」
「陛下がお優しいことをご存じなのですね」
ルリが場の雰囲気を変えるべく、優しく微笑んだ。
それによって皆の肩から力が抜ける。吐き出す息が木霊した。
話は最初に戻ってと言わんばかりに気の抜けた元女官長ヌエースの声。
「過ぎれば先王―――いいえ、ボーネ・ダティルの様になってしまいます。其処が難しいのですけど……」
ダティル3世と7年前まで崇められた王は、王籍を抹消されたので不敬にはならない。
あまり口にして言い話題ではないが。
ルリは拳を握りしめて熱弁を始める。
「そんなこと、理解したくありませんし、まだ、知らせたくもありません。姫様は姫様なのです!!!」
「お妃様ですわ」
「……」
「真っ白で可愛いと思うけど」
「姫様は純粋すぎます―――」
ルリは室内が震えるような絶叫を上げた。
しかし、室内は頑丈で窓さえも揺れることは無かった。
ただ、皆の暢気な笑い声だけが後を追う。
クツクツと笑っていたメリザナがお姉さんモードでルリを覗き込んだ。
「何故にそんなに頑ななのかしら?」
「私の13の誕生日の悲劇です。お兄さまのプレゼントは、それと同じ様な物でした」
「まあ、それはルリ様が大変可愛らしかったからではありませんの」
乙女モード全開で本領発揮のペスカ。
ノリが同じなのかメリザナまでもがうっとりと妄想に耽っている。
「ストロベリーブロンドに真っ白なリボンのドレス。想像しても可愛らしいお人形でしたでしょうに」
「……」
「そうですわね。お妃様は愛らしい天使の様でしょうけれど。ルリさんなら完璧なビスクドールですね。羨ましいくらいの陶器のような滑らかな肌ですもの」
「そのような者を頂くくらいでしたら、まだ、仮装のミイラの衣装の方がマシです」
そんな2人を冷ややかにルリは一蹴した。
貴族のお嬢様らしく可愛らしい。とても昨日まで騎士であったとは想像が付かないほどに。
そんなルリを見上げると、ルリはひくひくと口元を引きつらせながら、終わったとばかりに侍女仕事を再開する。
「何時までも夜着のままとは行きません。今日は私が完璧にプロデュースさせて頂きます」
そう言って、手を打ち鳴らした。
ルリちゃんによるオルジュの服装の謎が解けたと想います。
でも、最近の彼女は考えすぎて、センスが崩壊気味だったり?すればいいなと。
ちょっと、シリアスに入っちゃったので軌道修正。