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呉藍の薔薇  作者: 散花 実桜
二章  王宮編
24/35

ちょっと未来なコ話「薔薇が咲いた後  2」

本編の更新より長くなった気がする……。

取り敢えず、需要はないと思いますので、次の更新までの期間限定でUPしておく予定です。

蒼穹の瞳をしまい、希望と夢を握りしめた赤子に、“バラが咲いた”というらしい歌を口ずさむ。

その鼻歌が皆に伝染した頃のこと。

薔薇は蔦を伸ばし更に1つ艶やかな呉藍を咲かせていた。

だから歌は替え歌。遠い昔からその歌はそうだった―――。




ミルティーユが子守歌代わりに“バラが咲いた”を歌い、我が子を寝かしつける。

その傍らでは、まだ慣れない幼子の存在に、おっかなびっくり触れるラヴァニーユの姿があった。

一見長閑な情景だが、隣室では戦争が繰り広げられている。

すやすやと眠りについた我が子を慈愛の眼差しで見つめる。

「そろそろミユの茶が飲みたいのだが……」

「う~ん、どうでしょう?」

持て余したラヴァニーユが、子供みたいな瞳を向けて甘えた声を出す。

相変わらず初々しく頬を薔薇色に染めながら、凱旋門たる扉に視線を移した。

未だ勝利報告も勝ち鬨もあがっては居ない。

「ずっと、このまま居たいのは山々なのだが、そろそろ戻らぬとオルジュに永延泣かれる」

「そうですね。あまり押し付けては可哀想だわ」

「ミユは私の心配はしてくれないのか?」

「いいえ、私は第一にラニーの心配をしてるわ//////」

『子より夫です』と常日頃から囁かれている(洗脳)ミルティーユは、口にしてから恥ずかしさに鼻歌を歌い誤魔化す。

こんな時にとっさに出たのがバラが咲いたなんて馬鹿だ!と更に穴があったら入りたい状態に陥ったミルティーユは完熟林檎そのものだった。

一番という言葉に嬉しくなったラヴァニーユは手慣れたようにミユの手を取ると、意とも簡単に引き寄せ軽々と抱き上げてディーヴァの唇を奪う。

色恋なんて1回箍が外れれば、憶えるのなんて早いしすぐに慣れてしまう。

まるで林檎の芯の蜜を味わうかのように求める。

それは、深く深く混ざり合うようなキス。

間で揺れる揺りかごは数ヶ月前の位置のように、ミルティーユのお腹のあたりで揺れた。

魔法の揺りかごはふわふわゆらゆら夢見心地。

当初の持ち主は、並んで置かれたベビーベッドの中ですやすや。



2人はこれ以上はどうにもならないというところで離れる。

互いを繋ぐ名残がすっと伸びた。

その残骸を互いに恥じらいながら拭うと、どちらとも無く扉に抜き足差し足で近づく。

甘い世界は現実に引き戻されると居心地が悪い。


完全防音ではない重厚な扉の向こうはやはり白熱している。

「ラニー。他でお茶しましょうか?」

「逃げたって最終的には……だろう?」

「……やっぱり行かないと駄目?」

地に足を付けた状態では遠いが、肯定とばかりに頷くのが分かる。

そっとそっと気付かれないように扉を開ける。



「ミルティーユ様には此方のペール・オーキッドで仕立てた方がお似合いですわ」

「いいえ、ライラックですわ」

「私はラベンダーが良いかと……」

女官達が世継ぎの公式なお披露目の用のドレスを仕立てるのに燃えていた。

揉めていたと言う方が正解かも知れない。

常の赤系統ではなく、落ち着いた色をと言うことで紫系統に決まったのだが、色とは無数にある物だと言う事を、ミルティーユは今日初めて知った。

「では、リラは如何かしら?」

「パウダーパープル、好きですよ」

「断然、マロウですわ!!!」

「いいえ、姫様には若紫ですわ!!!ねぇ陛下?」

覗く程度にしか空いてなかった扉に向かって、現世継ぎの乳母が声を掛ける。

並の騎士より鋭い。

観念したように2人は戦場へと足を踏み込んだ。

「私はミユにはシェルピンクが一番似合うと思うぞ」

「それでは、常と代わり御座いません。王妃様の薔薇が栄える様に、淡い感じでシックで、清楚で控えめな―――」

そんな色在るのだろうか?

ミルティーユは苦笑いしか浮かべられない。

もしも、どれがと選ばされても詳しくないので答えようもないだろう。

「では、アイル・トーン・ブルーだな。それ以外認めない。以上だ」

陛下の一言で、紫系から青系にシフトした。

紫系しか頭になかった女官達は、いきなりの趣旨替えにポカンと口を開けた。

中には一拍遅れてポンと手を打つ者も。

何故だか、皆一様に頷く。それは、魔王と呼ばれている所為ではないらしい。

「陛下も成長なさいましたよね」

「あの頃の事を想い出すと……」

どうやらラヴァニーユの成長ぶりに親心を見出したようだ。

ラヴァニーユの方が年上だったりするのに……。

「では、デザインは如何致しましょうか?」

「マーメイドライン」

「髪型と飾りは?」

「お前達に任せる。華やかにしても良いぞ。但し、ティアラを忘れるなよ」

「かしこまりました」

まるで、常の執務のような遣り取りによって、戦争は終結した。

数々のサンプルは戻され、簡素な室内へと戻る。

ラヴァニーユは片付いたテーブルセットへ移動すると、溜息を零しながら定位置に腰を下ろした。

ミルティーユの淹れたお茶を楽しむために―――。



当のミルティーユは、話しについて行けないまま、終結したことに不服なようで、幼子のように乳母に尋ねる。

「ペール・オーキッドってどんな色?濃いそれとも淡い?……紅いのかしら蒼いのかしら?―――ねぇ、//////私にアイル・トーン・ブルーは似合うかしら?知らないからとても心配だわ。恥を掻かせるわけには行かないもの……」

未だに学習心は衰えない。

そんなミルティーユと乳母の会話を目を細めて眺めていた。



ずっと、幼子の頃から見守っていた光景そのものに幸せを感じながら―――。







元侍女が乳母に転身したシリーズとも言うのか?

久しぶりに書き始めたら、書き方忘れました。

意味不明な文章しか書けない。


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