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呉藍の薔薇  作者: 散花 実桜
序章
2/35

運命は花一華

一応、天上では此処まで書く予定なのですが、どうなるか分からないので章整理がてら挿入しました。

ノワの方が先行してしまったので……。




「お急ぎ下さい!」

後宮仕えの門番が急かす。

小さな少女は、後ろ髪を引かれながら何もかも手放した。

何度も振り返るが、“王子様”の姿はない。

誰も望んでない現実に、涙が零れた。



おとぎ話なら、御姫様は王子様と末永く幸せに暮らしましたと締めくくられる結末(みらい)

王子様が(すでに王様でしたが)迎えに来て、愛の告白をされて手を取って―――少女はその先の物語など考えたこともなかった。

人間の醜い憎悪など予期することすら不可能だっただろう。

深窓の令嬢とは、そういうものだ。



愛されることが当たり前で、その為に無垢に育てられる。

雛の刷り込み現象を真似た行為。

それは、従順にするためか。

それとも、分かれに備えた行為か?

都合良く事を運ぶためだろう。


当の本人はそんなことなど露にも思わず、ひたすらハッピーエンドを夢見ていた。

しかし、人生は紙一重。

ハッピーエンドに見えたのもつかの間、記されない物語のその後は、バッドエンドだったのだ――――。




運命の王子様にであって7日。後宮入りして一週間。

同じ時間夢見ていた。

魔術師がミルティーユの部屋に忍んできて、連れ出していく。

「お妃様お急ぎ下さい」

「待って……」

躊躇するが、希望が叶うことはないだろう。魔術はもう発動している。

「お急ぎ下さい!」

「分かったわ」

ミルティーユはゴクッと唾を飲み込み、下級魔術師の女。先程まで後宮の門番だったそれの手を取った。

ただ“死”のみを恐れて逃げる。



逃亡劇らしく窓を開け放つ。

突風が部屋へと舞い込み、駆け回る。

春風が止めているようにも感じられて少女の気が緩む。

下級魔術師が高らかに一等星に指を翳すと、星の力を利用した空間転送の円が広がる。

見慣れた青白い光に身を投じる瞬間、1週間前に別れた侍女や女史、庭師や朧な記憶の両親の顔。

それらが走馬燈のように駆け巡った。

後宮での思い出はない。

あるのは、王子様との出逢いのあの瞬間と夢のような婚礼の儀の記憶だけ。

願いが叶った一瞬を閉じ込めた見たいに、真っ赤な宝石は耳たぶに埋め込まれている。

それだけが、幻と化した“私の王子様”との繋がり。


青い光はきらきらと輝きを増す。魔術師は慣れたように跳び、少女は引きづり込まれるような形になる。

ミルティーユは魔方陣に融けていくさなか、呟いた。

「ハッピーエンドのその後って……」

その言葉が最後まで聞こえる前に、方陣は閉じていく。


幻聴―――。

「……ミユ!」

焦がれた声が聞こえた気がした。

少女は瞬きの一瞬を呪いながら、確かめたくて目を凝らす。

一瞬見えたのは、後宮の窓。

風がカーテンを揺らす光景だけ。

人の気配はない。

少女はそう思い込んで悲嘆した。






本来はこの話の続きのラヴァニーユ編と一緒にと思っていたのですが、マウスを二回も壊し、遅々として進みませんでした。

家族の立ち食いの犠牲になった哀れなマウス。

PCが故障しなかったのはもはや奇跡!

次の危機をもたらすのはペットのような気がします。

次回更新時までに何とかしたいです。

上手くいけば、ラヴァニーユ編と「この状況を一言で告げるなら“水の花”」の2話分かな?

更新という更新が出来ず申し訳ありません。

暫くは引きこもって虹の整理中です。





                         実桜

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