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呉藍の薔薇  作者: 散花 実桜
一章  再会編
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開花宣言

再会編のエピローグなので短いです。

開花宣言




その名前を聞き、女官達は一斉に頭を垂れる。

ねじ巻き式のブリキのおもちゃみたいな動作でも、巻立てと時間切れがあるように、三者三様の動きを見せた。

気持ちを押し隠すように、能面の様な無表情で最敬礼する女官達。

彼女らは何時声がかかるとも分からぬまま、嵐が過ぎ去るのを待つ状態である。


シーンと凍り付いたかのような静けさが、豪奢な内装の中では異質だった。



「ラニーと呼べと言った。今後一切陛下と呼ぶことは許さぬ」

先程の閉鎖宣言の時のような強い口調での命令。少し、苛立ちが含まれた声が迫る。

それでも、嫌いではない。ミルティーユは後退もせず、困惑の色を浮かべたまま、呼ぶことも頷きもしなかった。

すると、ラヴァニーユは強引に肩を引き寄せる。

大人と子供ほどの身長差があるから、迫り来るラヴァニーユを避ける事が叶わなかった。


いいえ、ミルティーユは避けなかった。




屈んだラヴァニーユの顔を捕らえた瞬間、生暖かいものが唇に触れる。

性急で荒々しく貪るそれは、夢焦がれていた触れるだけのモノでもなくて、シチュエーションも違う。


周りのざわめきが微かに耳に入る。

遮られた視界。熱い息。何故か高まる鼓動……。



これがキスなんだと実感した瞬間、ミルティーユの心は温かくなった。

ふわふわ浮遊感付きで、夢物語みたいな現実。


それが、抱きしめられて持ち上げられていたからだと知ったのは、2度目の時だった。



目を閉じていた訳ではないのに、見えていない現実。

妄想することも願うことも許されないと思っていた憧れが、もしもの?を繰り出してくる。

その処理も出来ないままに、茫然自失状態だったその唇を再度奪われた。

今度は態と音を立てて吸われる。






夢から覚めさせたのは憶えのある声。

「薔薇が開花致しました。おめでとう御座います」

「久方ぶりに王家の石は花を付けられました。お喜び申し上げます。

スターニス王家に繁栄をもたらす王の女の真の誕生です」

ルリに続き凛とした女官長の声がホールに響き渡り、在りし日の巫女の様に膝を折り祈りを捧げた。

いつの間にか巻いていた女官長の髪は解かれ、数時間前が嘘のように癖一つ無い。

ストレートの編み込まない長い髪は、巫女にとって大事な純潔の証。

ドレープの利いたたっぷりしたスカートの裾は長く引き、脇に入ったスリットが動きやすくしているのか、動きに無駄は見られない。



ゆっくりと視線を彷徨わせると、其処には騎士と巫女が居た。

あの日の巫女は本当に女官長だったんだと納得し、やはり、特有の礼を取るルリ様は騎士様だと思った。


それは音のない世界で断片を見るようで……。

何が起きたか理解出来ない。



すると、一斉に練習したかのように「おめでとう御座います陛下、王妃様」揃った声に戸惑い、ミルティーユは無意識に耳たぶを触る。


何時もと違う感触が指先を刺激する。




固く閉じていた筈の王家の石の蕾が綺麗な渦巻きの先を少し広げた瞬間だった。




―――再会編えんど―――







再会編のテーマは勘違いLOVE。

今後の2人の関係は、陛下の肩に掛かってるかも知れません。

このお話は、

逃れられないのならば王妃を全うしようとするであろうミルティーユと、

特殊環境でお育ちのため、ずれた恋愛観のラヴァニーユの話だからです。

基本陛下の設定は出来上がっているのですが、ミユが掴めないまま。

なので、書き直したい!!!


次話は「下町娘の後宮帰還」の続きを直したものになります。

これから直します。ピグ○イフに嵌った所為で時間がありません。


本当は、文章を書き直したいのですが……。

再会編はノンプロットで書いているので、辻褄が合わなくなってきています。夏の間に修正をかけるか、短く書き直すかしたいです。

1回サイトに格納するって言う手もあるのか……。

確かに説明が多すぎて読みにくいし、登場人物が予定より増えちゃったので憶えられない!!!虎の子なしでは……。


そんな文章を公開して御免なさい。


次回から更新日時が変わります。

予定の他にもUPしたいとは考えております。

これまで、お付き合い頂き有り難う御座いました。




                       実桜


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