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魔術発展伝 ~転生してきた世界はどうやら魔術黎明期らしい~  作者: hiro
1章 転生と魔術

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3/3

第二話 【横には美少女、前にはドラゴン】

その判断は一瞬だった。

今にも2人に嚙みつこうとしている竜から、少女を抱え後ろへ飛びのく。


少女の体重は軽かった。

いや、もしかしたら自分の力が強くなっただけかもしれない。

謎の幼女がいい感じに調整してくれたのだろうか。


しかし、自分の力量が正確に把握できていない現状、何も考えずに竜に飛びかかるのは武器を持っていないことも加え、得策とは言えない。

まあ、武器があったところで使いこなせるかは微妙だが。


とりあえず竜と適度に距離を取りつつ、少女を安全な所へ移動させる。


距離を取ると竜の全体像がはっきりと分かった。


体長はおおよそ4mほどで体の色は燃えるような深紅で表面は鱗に覆われており、背中には立派な翼が生えている

そして磨き上げられた金貨のような金色の目がこちらをじっと見ている。


いきなり竜と出くわすとは。

確かに自分の能力について知るためにいきなり戦闘から始まることもある。


いわゆるチュートリアルってやつだ。

RPGゲームだと相場はゴブリンとかスライムあたりの雑魚敵といわれるような奴が相手であることが多い。


しかし現在の相手は竜だ。

この世界における竜の強さはわからないが、少なくともスライムレベルってことはないだろう。


素手で勝てるわけがない。

竜の体には無数の鱗が生えている。

素手で戦ったらむしろこっちがダメージを食らいそうだ。


さてどうしようか。


女の子が強い可能性に賭けて今からでも起こしてみようか。

もしパニックでも起こされたら面倒だが、今できることはそれくらいしかないだろう。

もし目が覚めたら一緒に走って逃げることも可能だしな。

あの竜から少女とはいえ、人一人を抱えて逃げ切れる自信はない。

ということでとりあえず起こしてみる。


と考えている間、竜は恐ろしいほど静かである。

体をピクリとも動かさない。

ただこちらをじっと見ている。

何か企んでいるのだろうか?


まあいい。


俺は少女の肩を軽くたたきながら言った。


「竜がいるぞ!起きろ」


今更だが日本語が通じるのだろうか?

いや、例の幼女が何とかしてくれているはずだ。


声をかけてすぐに少女は唸りながら目を開けた。

そして、驚いたように言った。


「リノ! 生きてるの!?」


リノ?はて誰のことだろうか?

ここには二人しかいないから、、、、つまり俺のことか。

少女が俺のことをほかの人と間違って認識しているか、もしくはこの体の持ち主のことだろうか?


「リノ?どなたかご存じないですが、俺は怜音です。」


すると少女は


「怜音?なにをいっているの?」


と怪訝そうに言った。

そりゃまさか中身が変わったとは思わないよね。

とりあえずあの竜について聞いてみよう。


「ねえ、あの竜みたいなのは何?」


すると少女は怪訝そうに


「なにって見たまんまドラゴンよ。あなたが山にワイバーン討伐のクエストに誘ってきたんじゃない」


どうやら前の体の持ち主から誘ったらしい。


「最初にいたワイバーンを倒したら突然上位種の赤竜が飛んできて、いきなりリノのこと食べちゃって、そのあと私も戦おうとしたんだけど為す術も無くて.......気づいたら気を失っていたの」


なに、俺は食べられちゃったのか?

全然平気だし何ともないんだが。


確かに言われてみると髪が若干湿っているような気がする。


寝転がっているときの土の湿気かと思ったらもしかしてこれ唾液なのか?


うぇ、きたない。


そんなことよりも今は目の前の竜だ。

てか剣もないのにどうやってワイバーンを倒したのだろうか?

聞いてみるか。


「ねえ、ワイバーンはどうやって倒したの?」


すると少女は当たり前かのように、


「あなたの魔法?ってやつで倒したじゃない。忘れたの?」


ナニソレさっぱりわからん。


でも異世界ってことは魔法も使えるのだろうか。


「はやくさっきみたいにファイア!とかいって倒しなさいよ!」


ファイア?なんかもっと仰々しい詠唱とかだと思ってたんだけどな。

てか赤竜レッドドラゴンって火属性系の攻撃効くのか?

まあいい。いったん水属性系の魔術でも使ってみよう。

でも水系の魔術ってどうやって出すんだろう?

火属性だと火球ファイアボールだし、水属性だと水球ウォーターボール

とかだろうか?


物は試しだ。撃ってみよう。出てくるかわからないけど。

俺は頭の中でほどほどの大きさの水のボールをイメージしながら叫んだ。


「「水球!」」


するとその言葉に呼応するように指先から何かが出ていく感覚がした。

バレーボールほどの大きさの水球が、赤竜めがけとてつもないスピードで向かっていく。

そのまま打ち出された水球は、赤竜の鱗を貫通し赤竜を貫いた。


俺は初めての感覚に少しの戸惑いと興奮を覚えた。


赤竜は倒せたのだろうか?

と赤竜に視線を向けると、赤竜はその深紅の体をさらに赤く染め、その目は怒りに満ち満ちていた。


まずい。これは逃げなくては!


「逃げるぞ!」


少女も赤竜が怒っているのに気が付いたらしく、全力で走ってきた。


「こっちよ!こっちに町があるわ!」


俺はその言葉に従うようにして、少女の後を追随する。


でもこのままだと追いつかれてしまうし、何か足止め用の魔法でも打っておこう。


イメージは水の槍とかでいいだろう。


「「水槍アクアランサー」」


と、追いつかれないように背後を確認することもなく少女の進んだ方角に全力疾走で向かう。


*************************************************************


10分ほど走っただろうか。元の体だと5分も全力疾走できなかったし、この体は丈夫なのだろう。

すると突然


「もう止まっても大丈夫じゃない?」


と少女が言った。

確かにそろそろあの竜の縄張りからは逃れることができただろう。


「そうだね、そろそろ歩いても大丈夫だろう。ところで君は何て呼べばいい?」


そう、俺は未だに彼女の名前を聞いていなかったのである。

でも彼女は俺のことを元の体の持ち主だと思っているし、不審がられないだろうか?

あっ!襲われたショックで記憶をなくしたことにしよう!


「実は赤竜に襲われたショックで記憶が曖昧なんだ」


すると少女は


「私の名前は、アリス。そのままアリスって呼んで。」

そうやらアリスというらしい。


「なんで一緒にいたんだ?」

「昨日ワイバーン討伐のクエストを私が見ている時に貴方が一緒に行かないか?って誘ってきたのよ」

「そうだったのか。とりあえず町はこの方向で合ってる?」

「おそらくあと30分もすればつくわ」


あと30分か。遠いな

前世のように整備されている道だったらそこまで苦でもなかったが、今歩いているのは山道である。

全く手入れがされていないわけではないが、日本と比べたらほとんどないようなものである。


とりあえずこの世界についての情報収集でもするか。


「ねえアリス、アリスの職業ジョブってなに?」


多分俺は魔術師っぽいし剣士とかだろうか?


すると少女は当たり前かのように


「戦士に決まってるじゃない。」


と言った。


しかし彼女が腰から下げているものは恐らく片手剣だ。

聞いてみるか。


「剣を持っているのに剣士じゃないの?」

「剣士は限られた人しかなれないのよ。この国の剣士ギルドに認めてもらわないと名乗ることを許されないの」


どうやら剣士ギルドなるものがあるらしい。

じゃあ魔法ギルドとかもあるのだろうか?


「魔法ギルドはある?」

「いや、ないわよ。何もしないでいきなり火とか水とか出す人なんて初めてみたわ」


どうやら珍しいらしい。


「珍しいのですか?」

「少なくとも今まで冒険者をやってきた中で聞いたこともないわ」


そんなにか。例の幼女はRPGっぽい世界に転生とか言ってたはずなのだが思ったより魔術は発展していないみたいだ。


「ねえ、リノ丁度いいしその技を私にも教えてくれない?」


だから俺はリノではないのだが。

いや待てよ。俺はこの世界で元々リノを名乗ってたっぽいし、いきなりレオンとか名乗りだしたら不審がられてしまう。

いったんリノってことにしとこう。


しかし魔法なんてそう簡単に教えることができるのだろうか?


「いいけど、できるかわからないよ?」

「べつにいいわ、とりあえず教えて!」

「じゃあまず頭の中に出したいものをイメージするんだ。水のボールとか水の槍とかかな。」

「そしてどうするの?」

「そのまま指先に力を込める感じ。」


と偉そうに教えているが、再現できるのか怪しいところである。

とりあえずお手本と称してもう一回できるか試してみるか。


「じゃあお手本見せるね!」


次は風にしよう。風のカッターみたいな感じで。

とりあえずあそこらへんの木に軽く打ってみよう。


「「風刃ウィンドカッター」」


すると指先から打ち出された透明な斬撃は、進行方向の木をすべて真っ二つにしていた。


呆然としていると

【レベルアップ!他人に魔術のお手本を見せようとしたわね!レベル2にあがったわ】


再び例の幼女の声がした。


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