表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界グルメ探究!!?勇者の残した「雑な仕事の尻拭い」  作者: 酒本 ナルシー。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/70

第6話 宴

夕暮れ時。

村の広場には長い木のテーブルと簡素なベンチが並べられ、子どもたちがわくわくしながら走り回っていた。

アークはその中央に設置された大鍋と鉄板の前に立ち、腕まくりをする。


「ふむ……これだけあれば、久々に“本格料理”ができそうじゃな」


収納魔法から取り出したのは、先ほど“獣”として持ち帰った肉の塊。

子どもたちには「森で捕まえた獣の肉」と説明しているが、実際は討伐した魔物の肉である。

別に食べても悪くはないし、分からなければ問題ない──アークはそう判断していた。



---


煮込みの仕込み


まずは定番の煮込み。

狼型の赤身肉を一口大に切り分け、軽く塩を振ってから魔力火で表面を焼き、アクを抜く。

鍋に水を張り、玉ねぎ・にんじん・じゃがいもを投入。

そこに焼いた肉を加え、魔力火でコトコト煮込んでいく。


香ばしい匂いが漂い始め、子どもたちが鼻をひくつかせる。


「いい匂い……!」

「しゃもじいさん、なに作ってるの?」


「これはな、スタミナたっぷりの“獣肉煮込み”じゃ。夜は冷える、これを食えば体が温まるぞ」



---


ステーキ調理レシピ


そして、もう一方では鉄板を熱し、厚切りの肉を並べた。

魔力火で鉄板をじんわり温め、薄く油を引いてから焼き始める。


しゃもじ式ステーキ・レシピ


1. 肉は室温に戻し、軽く塩胡椒またはハーブソルトを振る。



2. 鉄板を魔力火でしっかり熱し、油をひく。



3. 強火で表面を一気に焼き固め、肉汁を閉じ込める。



4. 焼き目がついたら中火にして、しゃもじで軽やかにひっくり返す。



5. 好みでニンニクや香草を加え、風味を移す。



6. 火を止め、葉で少し休ませてから切り分ける。




「よし、返すぞ──」


アークは神器しゃもじを構え、鉄板の上の肉に差し入れる。

木のしゃもじとは思えぬ軽やかさで、分厚い肉がくるりと宙を舞い、見事に裏返った。


「おおおーっ!!」

「すげぇ! しゃもじでステーキ返した!」


子どもたちが歓声を上げる。

しゃもじの先からは、香草と肉汁の香りがふわりと広がり、広場全体を包み込んだ。


やがて、煮込みもステーキも仕上がった。

テーブルに並べられた皿からは、湯気と香りが立ち上り、村人たちの喉が鳴る。


「さぁ、遠慮せず食え。今日は宴じゃ!」


アークの合図で、子どもたちが一斉に皿に飛びついた。

ひと口食べた瞬間──


「「「おいしーーーい!!!」」」


歓声が夜空に響く。

久しぶりの肉の味に、子どもたちは頬を赤らめ、目を輝かせ、口いっぱいにほおばっている。


「しゃもじいさん、ありがとう!」

「こんなおいしい肉、初めて!」


大人たちも黙っていられず、慎重に一切れ口に運び、目を見開く。


「……な、なんだこの柔らかさは……!」

「肉の旨味が全然違う……」


そして、誰かが呟いた。


「やはり……しゃもじを使って調理したからだ」


「そうだ、しゃもじだ! しゃもじいさんのしゃもじ料理だ!」


たちまち広場は「しゃもじ!」「しゃもじいさん!」の声で埋め尽くされた。



そんな中、アークは自分用に取り分けていたステーキ皿を手に取った。

目の前の肉は、黄金色の焼き目と香草バターの香りをまとい、湯気を立てている。

千年エルフとして肉を禁じられてきた彼にとって、これは正真正銘「夢のステーキ」だった。


「……これが、わしが夢にまで見たステーキ……」


震える手でフォークを握り、ナイフで切り分ける。

肉汁がじゅわっとあふれ、香りが鼻腔をくすぐった瞬間──アークは無意識にしゃもじで肉を口元へ運んでいた。


ひと口。


「ぴょぇぇぇぇぇぇ!! う、うんまいっ!!!」


思わず奇声を上げてしまうほどの衝撃。

外は香ばしく、中はしっとり柔らかく、ハーブとニンニクの風味が舌の上で踊る。

千年の禁欲を破る“禁断の一口”は、彼の脳天を甘美に貫いた。


「こ、これぞ……肉! これぞわしが求めておった異世界飯じゃあああ!!」


アークは感動のあまり、しゃもじを両手で掲げてしまう。



その姿を見て、村人たちがますます盛り上がった。


「やっぱりしゃもじだ! しゃもじが奇跡を呼んだんだ!」

「しゃもじいさんのしゃもじ料理万歳!」


子どもたちは笑顔で頬張り、大人たちも笑顔で踊りだす。

広場は夜空の下、笑い声と肉の香りでいっぱいになった。


アークは顔を赤らめ、額に手を当てる。


「……わし、千年生きた大魔法使いなんじゃが……どうしてこうなった」


だが、心の奥では──


「(ぴょぇぇぇぇぇぇ……うまい……! これだけでも転生した甲斐があったわい)」


と、誰にも聞こえぬ小さな声でつぶやくのだった。



読んでいただきありがとうございます。

これからも是非!お付き合い宜しくお願いします<(*_ _)>

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ