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異世界グルメ探究!!?勇者の残した「雑な仕事の尻拭い」  作者: 酒本 ナルシー。


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第52話 エルフっぽい酒

ルナリアの腕が戻り、場にしんと静かな感動が流れていた。


だが――その静寂は長く続かなかった。


OG

「……よし!!!!」


バァン!!

と地面を足で踏み鳴らし、突然立ち上がる。


OG

「祝いじゃあああ!!!

 本日の宴、第二幕、開始いぃぃぃぃ!!!!」


\ウオオオオオオオ!!!!/

フェス会場、完全復活。


焚き火はさらに燃え上がり、太鼓は三倍のスピードで打ち鳴らされ、

DJリスとDJウサギはテンションの限界突破。


しゃも

「切り替え早すぎません?」


カノン

「でも……なんか元気戻ってよかった……!」


エルフたちが慌ただしくテーブルを並べ直す。


その上に次々と運ばれる豪快な料理。


・魔イノシシの丸焼き(前よりサイズアップ)

・森スパイス山盛り串焼き

・でかすぎる木桶酒

・謎の鍋は既に爆発寸前


香りと熱気が、里中を包み込む。


しかし――


アークは腕を組み、じっと料理を見つめていた。


アーク

「……やはり、肉ばかりじゃな」


しゃも

「エルフとは……?」


アーク

「ここで“わしの流儀”を見せる時が来たということじゃ……!!」


するとそのタイミングで――


カノン

「アーク様!ねぎ魔!!

 さっきの食材、もう1回調理しましょう!!」


エルフ全員

「ねぎま!?」「ねぎま!?」「ねぎま来る!?」「伝説の串きた!?」


なぜか妙に食いつきが良い。


アークの目が光る。


アーク

「よかろう。

 見せてくれよう――本物の“炭火の宴”というものをな!」


しゃもじ、ぱぁん!と一回鳴らす。


そこからの動きが、速い。


アーク

「カノン、火を頼む!」


カノン(ドラゴン化)

「はぁぁぁっ!!」


カノンの吐く炎 → 焚き火は一瞬で 炉 と化す。


アーク

「しゃも、風量調整!」


しゃも

「了解。炎が強くなりすぎぬように……《エア・ブリーズ》」


風が炎に形を与え、理想の炭火温度に保たれる。


アーク

「そして……素材は――これじゃ」


ねぎ魔の肉と香草、そして刻み葱を手際よく串へ。


アークの手元は迷いがない。

無駄がない。

まるで刀を振るう剣士のように、ただ美しい。


エルフたちがごくり、と唾を飲む。


OG(真顔)

「…………料理人の“型”じゃな」


アーク

「焼きは一瞬――焦がすでない」


串を返すたび、香りが爆ぜる。

香草の香り、肉汁の甘み、炭火の煙。


そして――


アーク

「できたぞ」


カノンは嬉しそうに頬を輝かせる。


カノン

「アーク様の“ねぎ魔”です!!」


エルフ一同

「「「「うおおおおおおおおお!!!!」」」」


その瞬間――

エルフの宴は、食フェスと化した。


エルフ

「うまっ……!?なにこれ……!」

「肉の旨味が……やさしい……!」

「葱の香ばしさ……五感に来る……ッ!」

「魔イノシシより……こっちが主役なんじゃが!?」


OG、震える。


OG

「……アークよ。

 そなた……この里に残らぬか?」


しゃも

「出た、スカウト」


カノン

「またきた…!」


アーク

「断るわい!!

 わしは“旅のグルメ”なんじゃ!!!」


エルフ全員

「格好いいーーーー!!!!」


空には花火(精霊のイタズラ)、焚き火は天を照らし、

宴は夜が明けるまで続いた――。



宴が佳境に入り、笑い声と音楽が森に溶けるころ。


ルナリアが、テーブルの端で**もぞ…もぞ…**と動き始めた。


アーク

「……どうした。腹でも痛いのか?」


ルナリアは、ためらいがちに袖を引っ張る。


ルナリア

「……その……甘いものは……ありませんか……?」


しゃも

「(かわいい……!)」


カノン

「甘いの!甘いのたべたい!!」


アークは腕を組んで考える――が。


「うぅむ……酔っておると頭が……うまく……回らん……」


しゃもが、ため息をつく。


「仕方ありませんね。提案です。

 エルフが飲んでいる“果実酒”に、フルーツを漬け込んで――

 フルーツポンチを作りましょう」


アークは ピタッ と固まり、


「――ふむ、それじゃ!!今わしが思いついた!!」


しゃも

「今思いついた風に言いましたね……」


カノン

「アーク様天才!!天才!!!」


アークは椅子をガタッと下げて立ち上がり、

まるで戦場に向かう将軍のような顔つきになる。


アーク

「材料を集めるぞ!!」


エルフたち

「うおおおおお!!!」



◇◆◇

・森で採れた甘い果物

 → 木苺、月桃、森桃、光リンゴ

・エルフ御用達 謎のカクテル酒

 → エターナル・スパークリング・エルフ


アークは手際よく果物を切り分け、

透明な大きな水晶ボウルに入れていく。


しゃもじで軽やかに混ぜるたび、

果物の甘い香りがふわっと広がる。


そして――


アーク

「締めに、精霊の泡酒をひとまわし」


カノン

「キラキラしてる……!!」


ルナリア

「甘い……香り……」


完成したのは、宝石みたいに光るフルーツポンチ。


思わず見惚れるほど綺麗だった。



アーク

「では、召し上がれ」


ルナリアはそっとスプーンを口に運ぶ。


――その瞬間。


「……っ……おいしい……!!」


頬が淡い桜色に染まる。


味覚が緩んだその表情は、まるで別人のように柔らかい。


カノンもぱくり。


「おいしぃぃぃ!!アーク様天才!!神様!!世界一!!」


アーク

「うむ、もっと言うがよい」


しゃも

「調子に乗るな」


ルナリアはお椀を抱えて、控えめに言う。


「……おかわり……しても、よろしいですか」


アーク

「もちろんじゃ」


カノン

「私もおかわり!!ルナリアさん一緒にたべよ!!」


ルナリア

「……うん」


二人は並んで座り、同じ器を手に、同じタイミングでスプーンを運ぶ。


まるで昔から友人だったかのような距離感。


しゃも

「……なんか、いいですね」


アーク

「ふふん……わしの料理は、人の縁も結ぶのじゃ」


しゃも

「はいはい、またそれ言いましたね」


そして宴は再び、あたたかい空気に包まれていった。



読んでいただきありがとうございます。

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