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異世界グルメ探究!!?勇者の残した「雑な仕事の尻拭い」  作者: 酒本 ナルシー。


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第49話 パリピエルフ

焚き火の周りで踊り狂う、陽気すぎるエルフ集団がいた。


アーク「……………」


しゃも「テンプレ崩壊ですね」


カノン「と、とても…元気な方々です……ね?」


アークは、何とも言えない気持ちのまま、その中のひとりへ近づいた。


「……なかなか、自由な里じゃな」


パリピエルフは満面の笑みで振り向く。


「自由っつーかぁ〜? エルフに生まれたからには、人生エンジョイしなきゃ損じゃね?」


そう言いながら、手に持っていた酒瓶をグビグビ飲み出す。


アークの頬がピクッと引きつる。


(わしの知っておる“エルフ”は……もっとこう……森の動物と共に静かに……なんじゃが……)


しかし表情だけは無理やりの笑顔を作り、


「……ひとつ聞く。長老はおるのか?」


パリピエルフは、親指で雑に奥を指した。


OGオリジンなら、もっと奥〜。でっけぇ木のとこ〜」


アークは スッ…… と目を細め、


(……絶対、一言言うてやる)


心に静かに炎を灯しながら、くるりと踵を返し、里の奥へ歩き出した。


しゃも:「……アーク様、背中から“説教しに行く老人”のオーラ漏れてますよ」


カノン:「が、頑張ってください……?」


アーク:「わしは怒っておらん。これは教育じゃ」


表情は笑顔のまま、こめかみの血管だけがぴきぴき言っていた。



外見だけ見れば、相変わらず美しい森の里。

だが――奥へ進むにつれ、アークの思っていた**“エルフ像”**が音を立てて崩れていった。


まず目に入ったのは――


ネオン看板が輝く飲み屋街。


吊り橋の上に並ぶ建物は、まるで森に浮かぶクラブ通り。


「エルフ酒場 LUX」 「BAR 精霊の逆鱗ゲキギレ」 「CLUB シルヴァン☆ナイト」


看板は魔法制御された蛍光色でギラギラと輝き、森の中でむしろ目立ちまくっていた。


すれ違うエルフたちは――


ジャラジャラとアクセサリーをつけ、

上裸に近い者、露出度の高い服で踊り歩く者までいる。


「イェーイ!今日も祝祭フェスしてこーぜーー!!」 「精霊も見てっから大丈夫!たぶん!!」


アーク「…………」


さらに追撃。


森の動物たちは、かわいげな衣装を着せられていた。


ウサギ → フリフリドレス

リス → サングラス

鹿 → 角をラメと宝石でデコられてキラッキラ


鹿キラキラ「フォン……(哀)」


しゃも「エルフ文化、どこに置いてきました?」


カノン「かわいい……けど……なんかちがう……」


アークは額を押さえた。


(静寂と調和の民・森と共に生きる種族……

そんな“エルフ”像は……どこへ……)


胸の奥がズシンと重くなる。


わしの生きた1000年間は、一体何だったのか。


アークの視界が遠のく。


しゃも「アーク様、現実から逃げないでください」


アーク「逃げたいわい!!!」



さらに奥へと進むと、ひときわギラギラと輝く小屋が現れた。


まるで森の中にだけ存在してはいけないほどの存在感。


看板には――


> 『OGの家』

(Original Gangster)

〜伝説はここにいる〜




アーク「………………」


完全に言葉を失うアーク。


しゃも「看板に“自分で伝説って書いてある”あたり、すでに怪しいですね」


カノン「きらきらしてる……お家が……森で目立ちすぎ……」


そんな中、小屋の扉がバァンッ!! と勢いよく開いた。


中から出てきた人物――


それはエルフのはず、なのだが。


身長はアークと同じくらい。

しかしその格好は、エルフではありえないほど個性的だった。


杖代わりにしているのは ぶっとい木製のへら(しゃもじの親戚みたいなサイズ)


首からは 梅干しと干し柿のロングネックレス


サングラスは 極太フレーム


耳当て付きのカチューシャを、なぜか 首に巻いている


背中には 「魂」 と筆で殴り書きされた羽織



まさに――


エルフ界のストリート古参。


そのエルフがアークたちに向かい、口を開いた。


OG(村長) 「……そなたらが、ルナリアを救ってくれた者たちか」


声は渋く、妙に落ち着いている。


アークは無意識にしゃもじ(神器)を握り締めた。



二人はぴたりと正面から向かい合った。


言葉はない。

だが――空気が重い。


看板《OGの家》が背後でキラキラと明滅している中、

アークとOGは、まるで生き様ごとぶつけるように睨み合った。


しゃも 「……なんですかこの無駄に画になる構図」


カノン 「なんか……緊張して息止まっちゃう……」


二人の心は同じことを考えていた。


> 目をそらした方が負け。




長い沈黙―― 先に口を開いたのは、OGだった。


OG 「……そなた、歳はいかほどか?」


アークは顎を少し上げ、鼻で笑う。


アーク 「1000歳を超えておるわい」


その瞬間、OGの額を一筋の汗が伝う。


だが次の瞬間――


OG 「……四桁を言ったからとて、偉いと誰が決めた?」


アーク「!?」


OGは、ゆっくりとへら杖を突き、地面をトン……と叩いた。


OG 「年月の長さなど、飾りにすぎん。  大切なのは“どう生きたか”じゃ。

 その途中で、どれだけ“何か”を残したかじゃ」


アークは内心、ぐらりと揺れた。


(こ、こやつ……ただのパリピでは、断じてない……!)


この世界に来てから初めて、

アークは**“年配者としての重圧”**を受けていた。


しかし――負けるわけにはいかない。

アークは拳を握りしめ、低い声で問う。


アーク 「……そなたらの里、なぜこうなった?」


OGはふっと表情をゆるめ、どこか遠くを見る目になった。


OG 「語ると長いぞ……」


しゃも 「はじまりましたね……」


OGは語り出す。



---


かつてこの里は、ごく普通のエルフの里だった。


静かな森、清らかな泉、澄んだ歌声と弓の鍛錬。

昼は狩り、夜は焚き火のそばで語らう穏やかな日々。


しかしある日、OGが村長を継ぐことになった。


そのとき先代は言った。


> 『好きなようにせよ。

皆が幸せに暮らせる里にせよ。』




それを聞いてしまったのが……間違いだった。


OG 「わしはのう……人間の宴に憧れておったんじゃ……」


人間たちが、歌い、踊り、飲み騒ぎ、笑い合う姿。


それが――眩しく、羨ましかった。


OG 「わしらエルフも……楽しくあってよいじゃろう?

 そう思ったんじゃ」


最初は小さな変化からだった。


夜に歌を歌う。

美味しい食事を真似する。

少しずつ、装飾を施す。


しかし――月日が経つにつれ、


森はネオンに照らされ、

里は宴と笑いに満ち、

獣たちすらおしゃれを始めるようになった。


しゃも 「……キャラ、完全に被ってますね」


アークとOG 「うるさいわ!!」


二人の声が重なった。


OGの語りがひと段落し、

あれほど張り詰めていた空気が、ふっと和らいだ。


OG 「……外で立ち話もなんじゃ。

 中へ入るがよい。茶でも淹れよう」


アークは腕を組み、ゆっくりとうなずく。


アーク 「うむ。わしも落ち着いて話を聞きたいと思うておったところじゃ」


その言い方は、まるで昔から互いを知っていたかのような自然さだった。


しゃも「いや絶対ついさっきまで睨み合ってましたよね?」


カノン「でも……なんか似てるんですよね、この二人……」


二人は並んで歩き、小屋の中へ。


なぜかその姿は――


生き別れた兄弟が再会して肩を組んだかのようなノリだった。




読んでいただきありがとうございます。

48話は後で修正致します。

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