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異世界グルメ探究!!?勇者の残した「雑な仕事の尻拭い」  作者: 酒本 ナルシー。


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第47話 つづき

巨大岩塊メガ・アースロックが、今まさに障壁へ激突しようとした瞬間――

バキィィィン!!

障壁のひび割れた部分から、黒い影が飛び出した。


宙に舞うその姿は、漆黒のドレスを思わせる布と、魔力の光を纏った女性。

少女のような容姿だが、片腕はなく、目の奥には長い戦場を知る者の決意が宿っていた。


しゃも

「魔力反応……跳ね上がりました!誰かが正面から止めに入ってる!」


影――ルナリアは、片腕をかざし膨大な魔力を放つ。


ルナリア

「《グラビティ・バインド》!!」


空気が軋む。

巨大岩塊の落下が止まり、軌道がわずかに逸れた。


しかし――


カルボヘッド

「ほう……まだ生きてやがったか、裏切り者ルナリアァ!」


ルナリア

「やめろカルボヘッド!

 この森の者たちは“戦い”とは無関係……!

 子供も、老人も、ただ生きているだけだ!!

 無差別に焼き払うなど――魔王軍の誇りすら地に堕とす行為よ!」


カルボヘッドは鼻で笑い、指を鳴らす。


「誇り? プライド?

 知るかそんなものァ!

 裏切り者の貴様が“語る側”じゃねぇんだよ!」


杖が闇色の魔力に染まり、雷がほとばしる。


「死ねやァ!裏切り者ァ!!」


ルナリアは必死に防御魔法を重ねるが、明らかに押されていた。

地上の障壁も限界に近く、森そのものが悲鳴を上げているかのようだ。


カノン

「アーク様……助けなきゃ……!」


「……ふむ。しゃもよ」


しゃも

「わかってます。“見えてないフリ”はもう無理です」


アークは大きく息を吸い込み――

**ドンッ!**と音を立てて一歩前へ。


そして、誰も聞いてないのに勝手に名乗りを上げた。


アーク

「――ヒーローはなぁ……遅れて現れるものなんじゃよ!!

 それが……グルメ流!!」


しゃも

「グルメ関係あります!? ないですよね!?」


カルボヘッドとルナリア、そして魔物の大群までもが一瞬動きを止め、

全員がアークのほうを見る。


ルナリア(小声)

「……あなたは誰」


「千年鍛えししゃもじの使い手!

 伝説の大魔法料理人、アーク・エルディア参上!」


カノンは後ろで

(アーク様、かっこよく決めた……?のかな……?)

と心の中でツッコんでいた。


カルボヘッド

「しゃもじ持ったジジイ……頭湧いたか?」


アーク

「湧いとらんわい!!!

 ――おぬしら、飯の時間じゃ。わしがまとめて料理してくれよう!!」


その瞬間、ルナリアの身体が崩れ落ちるように傾いた。


「おっと、無茶するでない!」


アークは素早く片手でルナリアを支え、背後へ避難させる。


ルナリア

「……なぜ助ける……裏切り者の私を……?」


「単純じゃ。

 “食う前に食材を焦がす料理人などいない”

 戦の流儀も、料理の流儀も同じこと――じゃからよ」


しゃも

「(今、ちょっとだけ名言っぽい!?)」


アークはしゃもじを構え、カルボヘッドに視線を戻す。


「――さて、本番じゃ。カルボヘッドとやら。

 わしが火を通してやるから、覚悟せぇ」


森の空気が変わった――

次はいよいよ、カルボヘッド vs アークの本格対決。


メガアースロックが森一帯を覆うほどの影を落とす中、

アークは静かにしゃもじを握り直した。


ルナリア

「(ま、まずい……防げない……!)」


カノン

「アーク様っ……!」


しかし――

当の本人は、やたら落ち着いていた。


「……フン。久々に**“アレ”**をやる時が来たかの」


しゃも

「アレって何ですか。まさか今この状況で――」


アークは海底でも見せた時のような“謎の深呼吸”を始めた。


「はァァァァァァァァァァァァ!!!!!」


どこからどう見ても某格闘漫画と某戦闘民族を足して10で割ったような気合溜めポーズ。

さらに金色のようで金色じゃないモヤがモワモワと出始める。


しゃも

「それ完全にやりたかっただけですよね!!!?」


「うるさいわい!こういうのは雰囲気が8割じゃ!!」


カルボヘッド

「な、なにをしてやがる……!?(めっちゃ既視感あるぞコレ!?)」


アークの気合が頂点に達した瞬間――

彼は人差し指と中指を立て、空に向かって クイッ と弾いた。


その瞬間、空気が震え、世界が息を呑む。


そして――


ドガァァァァァァァァァン!!!!


爆ぜる閃光。

天にこだまする破砕音。

岩の巨塊は粉々に砕け、夜空へと無数の破片となって飛び散った。


振動が大地を揺らし、粉塵が波のように押し寄せる。


――まるで空そのものが割れたようだった。



カルボヘッド

「………………………………はぁ???」


空に砕け散った岩片は、

まるで夜空の流星群のようにキラキラと輝く。


しかし――終わりではない。


アーク

「しゃも。制御、細かく全自動じゃ」


「了解。ターゲット、ねぎ魔4万2993体……ロックオン」


アーク

「――ホーミング・ミートボール・スプリンクル!!」


粉砕された岩片が全部追尾弾に変わり、

一斉に空の魔物へ殺到した。


「ギャアアアアアア!?」「熱い熱い熱い!!」「串にしないでぇぇ!!」


数千万を超える破片の雨が降り注ぎ――

ものの10秒で、空の魔物は全滅。


カルボヘッド

「ふ、ふざけるなぁぁぁぁ!!

 相手が悪すぎるわ!撤退じゃ撤退ィィイ!!」


一目散に逃げ出した。


しゃも

「……アーク様。やりすぎです」


「何を言う。料理でものう、下ごしらえは一気にやるのが基本じゃ」


ルナリア

(この人……本当に人間……?)


カノン

「アーク様、かっこいいです!!」


アークは鼻を鳴らし、振り返る。


「では次じゃ。幹部カルボヘッド……飯の時間はこれからじゃろ?」


夜風が吹き、戦局は一変。


カルボヘッドは空の彼方へと逃げ去り、ようやく戦場の空気が静まりはじめた。

炎は止まり、風は落ち着き、夜の森が少しずつ息を吹き返す。


アークたちはゆっくりと地上へ降り立った。


意識を失ったルナリアが、焦げた大地の上に横たわっている。

その体はボロボロで、そして――右腕がなかった。


アーク

「ふむ……やっぱり妙じゃの。敵のはずの魔王軍幹部が、魔王軍の攻撃を止めに入っておる。それになぜ片腕……誰かを守った傷じゃな、これは」


しゃも

「敵対の理由は不明ですが、ただの裏切りとも違う匂いがしますね」


カノンはしゃがみ込み、そっとルナリアの髪についた煤を払う。


「苦しそう……助けてあげられませんか?」


アーク

「放っておくつもりはないわい。聞かねばならんことが山ほどある」


だが――


(よりにもよって、またトラブルか……大ジャポン帝国を出て半日も経っておらんのじゃが!?)


カノン

「アーク様、顔が“また面倒ごとじゃ”って書いてあります」


しゃも

「因果応報ですね。“世界の平和を取り戻す”と言ったのはアーク様ですから」


「ぴぇぇ……わしまだ昨日の宴の余韻に浸っとったんじゃが……」


それでも、見捨てる理由はなかった。


アークはため息を一つだけつき、ルナリアの体を軽々と抱き上げる。


「よし。まずは安全な場所を探すぞ。話はそれからじゃ」


こうして――

次の目的地を決めるよりも先に、新たな問題を背負うことになったアーク一同。


この先、彼らが踏み込むのは

魔王軍と人間の狭間に隠された、もっと厄介な闇だった。

読んでいただきありがとうございます。


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