表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界グルメ探究!!?勇者の残した「雑な仕事の尻拭い」  作者: 酒本 ナルシー。


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/70

第34話 男女比1対1000

ドワーフの国をあとにしたアーク一行。

次なる目的地は――“水と観光の国”アクア・パラディーゾ。


山を抜け、草原を越え、遠くに青く光る海が見え始めた頃。

アークは上機嫌でしゃもをくるくる回しながら聞いた。


「しゃもよ、水の国とはどんなところなんじゃ?」


しゃも:「温泉とリゾートと美女が有名ですね」


「ぴぇぇぇ!? 美女!? つまり、ハーレムの国ということじゃな!!」

アークの目がキラリと光る。


カノン:「アーク様、顔がいやらしいです」


「いやいや、これは“文化研究”じゃ! 文化研究なんじゃよ!」


しゃも:「あの顔で“研究”とか言われても説得力ゼロです」


「ふふふ……わしの学問は実践重視型じゃからな!」


そんな軽口を叩きながら、彼らは波音の聞こえる海岸線を歩き出した。

アークの脳内ではすでに、美女たちが手を振り、

「アーク様〜♡」と呼ぶ“理想のリゾート光景”が展開していた。



青く澄み渡る空。

海鳥の声と潮の香りが漂うその先に、巨大な白い都市が広がっていた。


「おおぉぉ……! 見よカノン、あれが水の国“アクア・パラディーゾ”じゃ!」

アークは両手を広げ、胸いっぱいに潮風を吸い込んだ。


「空は青い! 海も青い! そして――美女が多いっ!!」


しゃも:「完全に目的が変わってますね」

カノン:「アーク様、観光ですよね? “尻拭い”ではなく……?」


「ふふふ、尻拭いも旅の一部じゃ。

 ……だがの、旅には癒しも必要なんじゃよ、カノンくん!」


アークの目は輝いていた。

彼の頭の中では、美女たちがビキニ姿で手を振る“ハーレムパラダイス”が展開中。


アーク:「はっはっは! この国は男女比1対1000らしいぞ! つまり――」


しゃも:「はい、計算上“ほぼハーレム”ですね」

アーク:「ぴぇぇぇ! 神はまだわしを見捨てておらなんだ!」


カノン:「……いやな予感しかしません」


入国ゲートをくぐる。

門番の女性兵士が無愛想に言った。

「次の方、入国証を」


アーク:「おぉ、麗しき女性兵士殿。ようやくわしの時代が――」


「はい、男性ですね。税2倍です」


「ぴぇぇぇぇぇ!?」


しゃも:「出鼻をくじかれましたね」


アークは銀貨をしぶしぶ渡しながら、門をくぐる。

だが、入ってすぐに――目の前の光景に呆然と立ち尽くした。



街は水路が張り巡らされ、橋の上には無数の美女。

どの女性も陽光を浴びながら、ビキニや軽装のリゾート姿。


「ぴぇぇぇぇぇ……ま、眩しいのう……!」


アークの目がキラキラと輝く。

だが、次の瞬間。


「ちょっとアンタ、通らないで!」

「汗くさっ! 何このおじいさん!」

「男とか久しぶりに見たわー、うわ、やっぱ無理!」


アーク:「ぴ、ぴぇ!?!? なんじゃこの塩対応!!」


しゃも:「“塩対応の国”と呼ばれているらしいですよ」

アーク:「そんなニックネームあるんかぁ!!」


カノンはそっとフォローした。

「でも……アーク様、みんな綺麗ですね!」

「綺麗なのは認める! だが態度が冷たすぎるのじゃぁ!」


港の市場を歩く二人。

アークは周囲の女性たちにことごとく避けられ、

「男だ」と囁かれるたびに道を開けられていた。


だが――カノンの方は違った。


「まあ! あなた可愛いじゃない!」

「肌ツヤツヤじゃない! どこのサロン使ってるの!?」

「この水着似合いそう〜!」


あっという間に人だかり。

店員から観光客まで、皆カノンの周りに集まっている。


カノンは頬を赤らめながら、

「え、えっと……ありがとうございます……!」と困り笑い。


アークはその光景を少し離れた場所から見つめていた。

しゃもが冷静にコメントする。


「アーク様、完全に“かやの外”ですね」


「ぴぇぇぇぇぇ……なんでじゃ! わしも同じ人じゃぞ!」


「そこが問題なんですよ」


「むぅぅぅぅぅ! この国は見る目がなさすぎる!!」


アークは悔しさを押し殺しながら、

しゃもじを握りしめて小声でぼやいた。


「……わしの方がツヤはあるんじゃがな」


しゃも:「それは油です」


「やかましいわ!!」



その後、カノンが屋台で貝殻のアクセサリーを勧められ、

「似合うわよ!」と周囲の女性たちに囲まれていた。


アークは遠くから腕を組み、唇を尖らせる。


「(むぅ……こうなったらわしも何かで注目を――)」


その瞬間、アークの目がギラリと光る。

「そうじゃ……“料理”で勝負じゃ!」


しゃも:「やっと本職に戻りましたね」


アークは宿の前で腕を組み、真剣な顔になった。

「……よし、方針を決めた。女の心が氷なら、飯で溶かせばよい!」


しゃも:「アーク様、それいつものパターンです」


「よいかしゃも、古の格言にこうある――“胃袋を制する者は世界を制す”!」


「そんな格言ありません」



その日の昼下がり。

アークはしゃもじを釣竿代わりに振り回し、魔力糸で海をなでるように操った。

結果――見事な**くる魔エビ(車海老)**を100匹以上釣り上げていた。


アークはくる魔エビの束を手に取り、ニヤリと笑った。

「ふっ、今日の獲物は上物じゃ……! 肉厚、艶、色つや完璧!」


しゃも:「アーク様、魚市場のバイヤーみたいな口調です」


アークは構わずしゃもじを掲げる。

「しゃも、レシピ検索じゃ!」


しゃも:「はいはい……《検索結果:アヒージョ。評価:モテ度A、満腹度S》」


「よし、それじゃそれに決まりじゃな!」


アークは素早く大きなフライパンを取り出し、火を灯す。

オリーブオイルを注ぎ、刻んだにんにくを落とすと――

じゅわぁっと、香ばしい香りが広がった。


そこにエビを投入。殻がパチパチと音を立て、油が跳ねる。


「ぬぅ……! この音、この匂い……戦場に響く鐘のようじゃ!」


しゃも:「例えが毎回物騒なんですけど」


通りの女性たちが足を止め、香りのする方へと顔を向ける。


「なにこれ……いい匂い……」

「エビの香ばしさ……食べたい……」


アークの口角が上がる。

「ふふふ、ようやく時代がわしに追いついたか!」


しゃも:「ただのアヒージョですよ」


アークはしゃもじでオイルをすくい、火加減を調整。

塩とハーブをひとつまみ。

「**塩梅あんばいこそ人生――すべてはバランスじゃ」


しゃも:「今のはちょっとカッコいいですね」

「当然じゃ。わしの名はアーク・エルディア、飯で世界を救う男じゃからな」


やがてフライパンの中でエビが黄金色に輝く。

アークは皿に盛り付け、仕上げにパンを添えた。


「さぁ、食べてみるがよい! これぞ“エルディア流アヒージョ”!」



女性たちは恐る恐る口に運ぶ。

そして、次の瞬間――


「う、うまっ……! これ……すごくおいしい!」

「オイルが甘い! エビの旨味がすごい!」

「おかわりないの!?」


アークは胸を張り、しゃもじを高く掲げた。

「ふふふ、どうじゃ? 飯は国境を越えるんじゃ!」


しゃも:「……胃袋100点、恋愛0点ですね」

カノン:「でも……アーク様の料理、私は大好きです!」


「ぬははは! そうかそうか、もっと食え!」


アークは自分でも味見をしながら、しゃもじをスプーン代わりにオイルをすくう。

「……ぬぅっ、絶妙じゃ……! エビの甘みが油に溶け、ガーリックの香りが舞う……!」


しゃも:「アーク様、実況が完全に“グルメ番組”です」

カノン:「でも本当においしいですっ! パンが止まりません!」


アーク:「パンはオイルを掬うためにあるんじゃ。掬え、カノン! 掬うんじゃ!」


しゃも:「名言のようで名言じゃありません」


そんな騒がしい中でも、女性たちは次々にアヒージョを食べ、感動の声を上げていた。

だが――最後に一人の美女が言い放つ。


「でも男はイヤ」

「料理だけ貰って帰るね!」


アーク:「ぴぇぇぇ!?!? 心は掴めんのかぁぁぁ!!!」


しゃも:「アーク様、今回も敗因:性別」

アーク:「世知辛いのう……!」


それでもカノンはにこにこしながら言った。

「でも、アーク様の料理、私が世界で一番好きですよ!」


アークはしゃもじをくるりと回し、苦笑した。

「……ま、わしにはお前らがおれば十分じゃ」


しゃも:「※なお、ハーレム計画は初手で破綻しました」



読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ