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第5話 織田(三条)美子(まとめ編・上)

 織田(三条)美子 1536年生 ?年没 (第1部から第15部まで登場)


 この人程、様々に毀誉褒貶が極端に甚だしい人は、世界史上で稀といって良い。

 更に言えば、毀貶の方が大きいのだが、それは日本国外での声が圧倒的に大きく、誉褒が日本国内では声が大きくなる現実がある。

 だが、日本国内でも毀貶の声がそれなりにあり、様々な評価が為されている。


 取り敢えずは、同時代に生きたと言える二人の日本人の評価を上げるが、ここまで違うのだ。

 正親町天皇陛下。

「元々は異国出身ながら、織田(三条)美子は古今の忠臣である。諸葛孔明に匹敵する」

 近衛前久。

「織田(三条)美子は九尾の狐の化身よ。あれ程の奸臣、日本どころか世界史上にはかつて存在せぬ」


 そこまで、違う評価が為される織田(三条)美子だが、まずはその家系を述べるならば、シャム王国の出身で、サクチャイとプリチャ(永賢尼)の第1子になる。

 本人曰く、

「幼い頃は悪い子で、盗み食いとかを松一父さんに引き取られるまでやっていた。だって、そうしないと生きていけなかったから」

と自らの回想録で語る程の貧困の中で、シャム王国の首都アユタヤの下町で生まれ育った。


 だが、皮肉なことに実父のサクチャイが、少しでも故郷の実家に援助をしようと貯蓄を故郷に持参した際にビルマ王国の奴隷狩りによって攫われたことから、更に実母のプリチャが自らが生きて子どもらを養おうと上里松一の現地妻(後に妻になる)になったことから、大きく運命が変わることになった。


 それこそ、シャム王国史上最大の名君とされるナレース・ワン大王の遺言の一つとして、

「何故にタンサニー(織田(三条)美子)とサクチャイ(上里勝利)が、我が国の宰相にならなかったのか。

 せめて、どちらか一人だけでも我が国の宰相にしていれば、我が国は世界の四大国の一つになったものを」

と嘆かせる程の才幹を、この姉弟は後に発揮することになる。


 実母のプリチャが上里松一の現地妻となったことから、美子は松一の義子となり、更にはプリチャが出家したこと等から、松一の養女になった。

 とはいえ、この当時の美子としては、本人は否定するが、本人以外に言わせれば、松一の養女よりも愛人になろうと10代半ばの身で色々とやらかす状況だった。


 そうしたことから、美子の目を覚まそうと、松一と愛子(張娃)が、美子をオスマン帝国の使節団の一員にしたことから、日本どころか世界史上でも稀なシンデレラストーリーが展開することになる。


 美子は、実母のプリチャ(永賢尼)の働きかけから、三条公頼の娘である三条氏の猶妹になり、更には久我晴通の婚約者になったのだ。

 更にはその立場から、アーイシャ・チャンという年季奉公人が侍女にもなり、日本とオスマン帝国の交渉で多大な功績を、侍女が上げることにもなる。


 とはいえ、このオスマン帝国との交渉時点では美子は落ち着かず、公式では否定されているが、織田信長と密通して、久我晴通から婚約破棄されて、世間体を保つ為に織田信長と結婚する始末だった。

 そして、美子は織田信長の妻として家庭に籠る生活を暫く送った。


 それが、一変するのが、1568年のことである。

 エジプト独立戦争勃発に伴い、日本からオスマン帝国に、停戦講和を斡旋する近衛前久を長とする使節団が派遣されることになった。

 又、美子はこれまでの経緯から、三条公頼の死後養子に正式になり、従三位尚侍、更には停戦を命ずる勅使兼使節団副使に任ぜられた。

 そして、美子はオスマン帝国に赴いた上で、スペインやバルバリ海賊との講和交渉等にも当たって、その任務を良く果たし、更には見事な出処進退を示すことで、正親町天皇陛下らから深く信任されたのだ。

 アーイシャ・チャンは架空人物では、と言われそうですが。

 この世界では、墓もあることから、実在人物とされています。

(尚、実在を疑問視する学者等がいない訳では無いですが、それこそ墓があり、又、日本やオスマン帝国が公式に実在しているという以上、完全な架空人物という主張が世間では通る訳がないのです)


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 戦国モノと言えば看板スターの〈織田信長〉登場の中盤で読者は始まりの主人公である松一さんから美子さんがバトンを渡す中継ぎ役としての信長さんへの嫁入りと思ってたら「掴んだバトンを握りしめたまま駆け抜け、…
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