第30話 浅井長政とお市夫妻(解説編)
本当に今になってみればですが、浅井長政夫妻については遠い想いを、思わず私はしてしまいます。
織田信長とやり取りをする人物として織田家の面々で誰が良いか、を考えた末にお市を思いつくことになって、更にお市を出す以上は浅井長政を出すのが至当だろう、と最初は考えたのが、こうなるとは。
私の発想が貧困極まりない、と言われそうですが。
私が調べる限り、信長の兄弟姉妹の中で若い頃の信長と仲が良さそうなのがお市しかいませんでした。
そうしたことから、織田(三条)美子と信長のやり取りの場にいるとなると、お市が相当という発想になり、更には浅井長政をインド株式会社の従業員として登場させることにもなりました。
(更に言えば、お市にしても、長政にしても、それなりの理屈が小説上は立ってしまったのです)
そして、この世界でもお市と浅井長政は結婚することになったのですが。
私が考える程、信長が小舅として浅井長政夫妻にちょっかいを掛けてくる風景が浮かぶことに。
そうしたことから、この際にエジプトに浅井長政夫妻を赴かせて、言葉は極めて悪いですが、現地状況の解説役をしてもらおう、とあの頃は考えたのです。
ですが、気が付いてみれば、この世界の当時のエジプトには、濃尾三川の改修事業からポロンナルワへ、更にはスエズ運河開削協力の為に大量の面々が、日本から赴いている状況になっていました。
そして、私なりに考える程に、日本から赴いた面々がオスマン帝国に対して不満を抱いていて当然な状況にもなっていました。
そういった状況下、エジプトにいる日本人の面々が蜂起、独立運動等を起こす際に旗頭にする人間は誰になるのか。
更に、多くの読者も納得する旗頭となると誰が良いのか。
私なりに考えていくにつれて。
アレ?浅井長政夫妻こそ最適任では?
それこそ第一部の結果として、六角氏は族滅されている以上、近江衆の中では筆頭の立場に浅井氏はなるのではないか。
更に言えば、妻のお市は織田信長の妹、つまりは「皇軍来訪」以前に名を馳せていた織田信秀の娘ではないか、そうなれば、という事実に気が付くという。
そうしたことからすれば、浅井長政夫妻が旗頭になれば、近江、美濃、尾張、伊勢の面々が挙って集ってもおかしくないのでは、とまで考えてしまいました。
(完全にエジプトに大河ドラマの主役級が集っていませんか、対オスマン帝国戦争を展開するための人材が豊富過ぎになっていませんか、とツッコまれたのを思い出します。
実際に史実の織田、豊臣軍団の主力がエジプトに集っていると言っても過言では無いことに)
でも、そこまでの人材が集まらないと、オスマン帝国に対する勝算が経たないのも現実です。
そんなこんなを考え合わせた末に、エジプト独立戦争が起きることになり、エジプトはオスマン帝国の属国になることで落ち着きました。
ですが、これは所詮、仮初めの平和です。
この後の流れをどうするのか、すぐに私は悩むことになりました。
そうした末に、ローマ帝国の復興という流れが起きていくことになります。
ですが、その一方で冷たいといえば冷たいと言われて当然ですが。
ローマ帝国が復興した後、浅井長政夫妻は活躍しない事態に陥っていきました。
ローマ帝国の皇帝はエウドキヤであり、その夫、皇配は浅井亮政です。
浅井長政夫妻はエウドキヤ女帝の義父母にはなりますが、表で活躍するのはエウドキヤ女帝(及び浅井亮政)になるのが当然です。
更に言えば、エウドキヤ女帝夫妻は、徐々にですが、完全にローマ帝国の采配を振るうことにまでなりました。
そうしたことから、浅井長政夫妻は本編には出て来なくなり、活躍しなくなることに。
何とも言えない事態です。
ご感想等をお待ちしています。




