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第2話 上里松一(解説編)

 主役、主人公として、当初の私の大プロットでは、序盤から中盤、第1部から第7部辺りまで、松一は大活躍する予定だったのですが。


 他でも書いているように、結果的に第2部以降は、後ろに下がってしまい、松一の子ども達が主役、主人公になっていきました。

 第2部以降、一部の感想において、松一が主人公なのだから、もっと前に出て活躍すべきでは、という指摘を受けた事さえあります。

 

 実際、私としても、本来ならば、もっと松一を前に出して活躍させたかった、と悔やむ程です。

 でも、改めて考えてみると、第2部以降に松一の子ども達が文字通りに世界に飛び出して行っても、子ども達が帰ることができる家が日本本国にある、という想いを前半で私が抱きながら、この小説を書き続けられたのは、何とも皮肉なことに松一がどっしりと日本に妻の愛子と共に腰を据えていたから。

 それを想えば、これはこれで前半部は良かったのかな、と私としては想う次第です。


 それにしても、本当に松一の子ども達は、様々に異なる人生を歩むことになりました。

 松一の子どもの17歳前後のことを、思いつくままに振り返ってみると。


 先妻のプリチャ(永賢尼)の子ですが、自宅で家事手伝いをしていた美子はともかく、勝利や道平(正道)は中学校を卒業して、インド株式会社に就職して、勝利はインド洋方面で、道平は北米大陸で奮闘しており、和子は夫と共に北米大陸の開発に勤しむ一方で、浄土真宗本願寺派と法華宗不受不施派の対立に神経を尖らせており、智子は夫と共に南米大陸の開発に勤しんでいました。

 そんな感じで先妻の子は、文字通りに世界に10代から飛び出していました。


 その一方で、後妻の張娃、愛子の子はというと。

 敬子は九条兼孝と結婚して家庭生活を営み、又、里子もほぼ同様に中院通勝と結婚していました。

 更に14歳の敬子が九条兼孝と結婚したことから、17歳の清は広橋理子と結婚でき、又、丈二は甘露氏と結婚して、それぞれが軍人の路を歩もうとしていました。

 そんな感じで、愛子の娘は公家社会で暮らし、愛子の息子は軍人になっているという。

 本当に対照的な歩みです。


 そして、第6部直前までは順風満帆といって良い人生を歩んだ松一ですが、第6部以降、亡くなる第10部に至るまでは、本当に月が満ちれば欠けるのが世の習いのような人生を歩みました。


 第6部の末尾で初の実子になる和子を勘当することになった一方で、もう日本本国が本格的な戦争をすることはあるまい、との松一の予測を裏切って、第7部では息子二人、清と丈二は戦場に赴いて、和子と戦うことにもなりました。


(勿論、1568年に先妻のプリチャ(永賢尼)が53歳の若さで病で亡くなったのを、元夫として松一が悼まなかった訳ではないですが、そうは言っても別れてから20年です。

 お互いに大人の関係になっていたのです)


 又、養子の勝利も、結果的にエジプト、ローマ帝国に完全に移住してしまい、松一を始めとする他の親兄弟とは微妙な関係になってしまいます。


 又、1591年以降は跡取り息子の清が、アーイシャ・アンマールとの間に美子という子どもを造ったことから、妻の愛子と清を始めとする子どもらに確執が生じて、それにも松一は悩む事態が。


 本当に松一がこの世界に赴いてから亡くなるまでの人生ですが。

 結果的に言えばですが、この世界の日本の栄枯盛衰(といっても、この世界の1622年現在、日本が本格的に衰退している訳ではありませんが、そうはいっても北米共和国の成立やローマ帝国の復興によって、日本が世界唯一の超大国とは言い難くなっています)を反映するような人生描写になったな、と私としては振り返らざるを得ません。

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