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400字小説  作者: 案内なび
25/30

25、不肖者

 今となっては昔のことだが、ある藩に綱紀(つなのり)という男がいた。

 男は藩主の家臣として日々働いていたが、その成果は他の者に比べてやや劣っていたという。

 ある朝、綱紀が自分の屋敷にいた時のこと。

 突然、ある家来が慌てて綱紀の元へやって来た。

 家来が言うには、

「殿、大変です! 上様が殿をお討ちになろうとしています!」

 という。

 家来の報告に綱紀はたいそう驚き、事実なのか問いただした。

 すると、家来は(ふところ)から一枚の書状を取り出して綱紀に渡した。

 それを一目見た綱紀は、天を仰いで言った。

「不肖ながらも、懸命にお仕えしたつもりだったのだがなぁ」

 と。

 その日の夜、綱紀は家族や家来を連れて脱藩した。





 翌日、綱紀の脱藩が藩主の耳に伝わることになった。

 藩主はため息を吐いてこう言った。

「あやつめ、"綱紀(こうき)粛正(しゅくせい)"を"綱紀(つなのり)粛清(しゅくせい)"と勘違いしたか。そもそもご公儀から私闘は禁じられているのだから、粛清するはずはないのに。やはりあやつは不肖の男だったのう」

お読みいただきありがとうございました。

今回は、ランダムワード「綱紀粛正」から連想して生まれた作品です。


昔、漢検の勉強をしていた時、「綱紀粛正」を「つなのりしゅくせい」と敢えて読んで、「悪人の綱紀(つなのり)粛清(しゅくせい)して風紀を正す」みたいに覚えていたんですよね。

なので今回の話は、ある意味私の体験が元になっています。

歴史好きな方なら「綱紀」を「つなのり」と読みたくなる気持ち、分かるんじゃないですかね? ……私だけですか?


それでは、次回もまたよろしくお願いします(→ω←)

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