15、視線
私を乗せた電車が駅に到着した。
私は読んでいた本を閉じ、人の流れに乗ってホームに降りる。
すると、どこからか視線を感じた。
誰だろうと思い、辺りを見渡してみる。
だが、誰もこちらを見ることなく改札へと進んでいた。
――気のせいかな?
疑問に思うも、私はそのまま改札を出た。
しかし、駅を出てもなお視線を感じた。
――やっぱり気のせいじゃない!
心臓がドクドクと早鐘を打つ。
暗闇の中、私は駆けるように帰宅した。
玄関の扉を開けると、私は急いで扉を閉めた。
安心感で全身が脱力し、その場に座り込む。
「これでもう大丈夫……」
だがそう呟いた直後、私の背筋にゾッと悪寒が走った。
また視線を感じたのだ。
「もうやだっ!」
蹲るように頭を抱えたその時、私はあることを思い出す。
電車で読んでいた短編小説集だ。
その一つの最後に、こう書かれていた。
『その時、私は気づいてしまった。ずっと感じていた視線の正体――それが、貴方のものだということに。』
お読みいただきありがとうございました。
今回は、入浴中にふっと思い付いたお話です。
皆さんは視線を感じやすいタイプですか?
私は覚えている限りだと感じたことないです。
「視線を感じる」ってどんな感覚なんでしょうか?
第六感とかに近いんでしょうかね……?(それはまた違う?)
さて、話は変わりますが、『400字小説』の定期更新は今回で一旦お休みします。理由は私生活が忙しくなるためです。
そのため残り16話から30話は、来月以降から不定期に更新するか、来年以降から今回のように2日に1回の定期更新にするか、どちらかになると思います。
楽しみにしてくださっている方には申し訳ないですが、どうかご理解いただけると幸いです。
それでは、次回もまたよろしくお願いします(→ω←)




