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#8 魔の森のふしぎ

「ただいまもどりました。」


「おかえりなさーい!おなか減ってますよね。手を洗ってきてくださいね。今日のお昼はパスタにしてみました!」


ぼーーーーーーーー。


「じぇいどさん?疲れました大丈夫?」


「はっ!はい。手あらってきます!!!」


ちょうどお昼時にじぇいどさんが戻ってきてくれたので、ソースだけ作っていたパスタを急いで仕上げる。

久しぶりのパスタ楽しみだなー野菜もとれたてだしおいしくできたよね。

「ふんふんふーん♪」



「あっじぇいどさん手洗ってきました?もうすぐできるから座って待っててくださいね。」


「はい!」


振り返ったらじぇいどさんがこちらを見ていた。

また鼻歌歌ってるとこ見られたな。

浮かれてんなーこのおばさんと思われたかな。じぇいどさん優しいからそんなの顔に出さないけどさ。

気を付けよう!


ご飯を食べながら、お互いの成果を報告する。

じぇいどさんはあんな短い時間で、10頭ほどの獣を狩ってきてくれたらしい。今水場で血抜きしてくれているそうだ。ありがたい。

お昼を食べ終わったら、さばいてお肉の塊にした状態で厨房に運んでもらうことにした。

切り分けて、用途別に冷凍保存にしよう!その前にお肉用のスライサーを創造しよう。

それからお魚が入れ食いだったことと、昨日植えた野菜がもう実ったことを報告した!ちょっとどや顔したことは見逃してほしい。


「こちらの世界…じゃなかった国は水も土もいいんですね。昨日植えたお野菜がもう実ってて今日のパスタに入れたんですよ!トマトは味が濃くて、ナスもぎゅっと身がしまってておいしいですよね。お味はどうですか?」


「はい!おいしいです。大好きです!」


「よかったー。私もトマトパスタ大好きです!」


「しかし場所によって作物を育てるのに向いている土地があるのは聞いたことがありますが、1日で作物が実るとは今まで聞いたことがありません。この辺りは魔の森と呼ばれていて、一般人は近寄らないため特別な作用があるのかもしれませんね。」


え?魔の森??なんでそんなところに飛ばしたんだよおじーちゃんとギャル精霊!! まぁ私は安全だって言ってたし大丈夫なのかな?とぼそぼそ呟く。じぇいどさんには聞こえていなかったようだ。


「やっぱり一日で実るのはおかしいんですね?私が常識知らずなので、自信がなくて。この辺りは特別なのかな?湖もお魚がいっぱいいて、たくさん釣れたんです!捌き切れないほど大きいお魚も連れたんですよ!!!!後で見せますね。マグロの解体ショーの動画見てさばき方勉強しないと」

「でもひとまずこれでしばらく食事には困らないです。色々作りたいご飯もあるから楽しみにしててくださいね!」


食材が豊富なことにほくほくして、一人で興奮しすぎちゃった恥ずかしい。顔赤くなってるだろうな。暑くて両手で顔を仰ぎながらじぇいどさんを見ると明後日の方向を見ている。心なしかじぇいどさんも顔が赤くなっている。じぇいどさんも暑いのかな?

アラサーのおばさんが食べ物で興奮してあきれてるよね。気を付けよう!じぇいどさんどう見ても年下だしな。痛いおばさんだと思われないようにしないと。




(ジェイド視点)


「おかえりなさい」とただ一言、言われただけなのにこの多幸感は何だろう。もうこのまま時が止まればいいと思うほど。それだけでなく俺のために料理も作って待っていてくれるなんて、料理なんて本来使用人か夫たちにさせることが当たり前なのに、「楽しみにしててくださいね」という女神の言葉を真に受けて、甘えてしまっている。

しかも最初に食べた ‘かれー‘ といい、今日の昼めしの ‘ぱすた‘ といい今まで食べていた料理は何だったのかと思うほどどれも最高にうまい。

美しくけなげで料理も上手に作るとは、女神であり天使なのだろうか。

料理を作っている後ろ姿を眺めているだけで、もうほかに何もいらないと思えるほどだ。それなのに振り返って、あの笑顔で「待ってて」と言われたときはまた鼻血でおぼれるかと思った。(決死の思いで耐えた)あの時女神を見つけることができた僥倖に感謝しかない。


昨日二人で!植えた食物が先ほどもう実をつけ今日の昼めしの食材として使ったという。

そんなこともあるんですねと女神は言っていたが、そんなことはない。

きっと女神の何らかの力か、この聖域の力だと思われるが、嬉しそうに話す女神の話の腰を折ることはしたくないため、やんわりと否定した。

また100キロの魚があんな細腕で釣れるなどそんなことは絶対にありえない。無事でよかった。

今度からは私がお供しますとしつこく3度言って、了承をもらった。


幸せをかみしめながら食事をとり、食後のお茶を女神手ずから入れてもらった。本当に幸せだ。

だが翌日俺は絶望の淵に立たされることとなる。



つづく


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