#10 絶望(ジェイド視点)
第十話
じぇいどさん
さようなら。わたしは出ていきます。
追いかけてこないで。
さようなら
みぃ
絶望で目の前が真っ暗になった。
何が悪かったのだろう。
昨日大きな声を出したことだろうか。
毎朝起こしてもらえるのがうれしくて朝女神よりも遅く起きていることだろうか。
料理している姿が麗しくていつも覗いていることがばれたのだろうか。
嬉しそうに食べ物の話をする女神が愛おしくて、鼻血を吹きそうになったのがばれていたのだろうか。決死で止めたつもりだが、たらりと垂れていたのだろうか。
興奮してんのかキモイこいつと思われていたのだろうか。
何が、何が、なぜ、なぜ女神はいなくなったのだろうか。
あんなにも麗しい女神が一人で出歩けば一瞬で拐され、監禁され、囲われてしまうのは明白なのに、以前も同じような目にあったのではないのか。
そんな怖い思いをするよりも私から離れることを選んだのだろうか。
今朝も女神の声で起き、女神の作った朝食をたべ、昼食の時間には戻れないことを伝えるとわざわざ弁当まで持たせてくれた。
この世のものとは思えないほど美味なパンだった。
「おい!」
なぜ…俺が悪いんだ。それは確かなんだ。でもなぜ…
「主、きいとんのかこら!」
「痛っ!じーさん。何してんだ。そうだ女神が、女神がいなくなったんだ!」
「おう、街まで買いたいもんがあるというからわしの馬を貸してやった、後1刻もすればもどってくるじゃろうて。そう書置きもあったじゃろうが」
俺はじーさんに女神の書置きを見せる。
………
「あー、あのあほの子に字を教えさしたらろくなことにならんな。てへ」
「おいじーさん、すぐにもう1頭馬を出してくれ、女神を迎えに行く!あんな麗しい人を一人で出歩かせてみろ一瞬で拐されるぞ」
「まぁまがりなりにも精霊がついていっておるからな、心配ない…と…おもう」
「心配しかないだろ!」
「わかった、行け。南の街じゃ」
待っててください女神。
俺が今助けに行きますからね!
つづく




