90曲目 ドラマが始まるんですよ
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されているので、ご了承ください。
また、「 過去、私を嫌ったキミは今、私を溺愛する」にちょっとだけリンクしてます。
両方読んでいただけるとより楽しんでいただけると思います!
毎週土曜日のAM8:00ごろ更新です。(遅れることもあると思います)
春が過ぎて夏が来た。
「ゆう、どうだ?社会人慣れたか?」
「社会人になって何ヶ月経ったと思ってんのさ」
そう言いながらちょっと不貞腐れてる。
岡本さん曰く、いろんなオーディションを受けていてメンタルやられてるらしい。
「ほら、これやるから機嫌なおせ」
そう言ってさっき買ったチョコをゆうの口に押し込む。
「…ずるい」
「ん?」
「パピー、ずるい!」
今度はプンプンするゆうに苦笑する。
「何さ!」
「んー?何年経ってもかわいいなーって」
頭を撫でるとゆうはフンッと横を向いた。
「俺も仕事入れないとって焦ってたからわかるよ」
「…でもパピーは毎日仕事入ってたじゃん」
「そう見えてたならよかったよ」
実際は仕事は3割ぐらいであとはレッスン。
特に演技のレッスンを入れてたから。
「がむしゃらにやってるだけだよ」
「…俺も頑張る」
そう言ってゆうは俺が持ってた袋からチョコをもう1つ取って食べた。
「あ、そう言えばさー」
ゆうが思い出したように俺を見た。
「ドラマ始まるよね?」
「……おん」
今度は俺が言葉に詰まる番だ。
数日後、レギュラーの収録日。
「あ、やっぱり?」
「やっぱりってナツ、なんか知ってるのか?」
ナツとペアの日で楽屋でゆうの話をしたらこんな反応だった。
「ううん。でもなんとなく焦ってそうだなーって」
「さすが双子」
「はい?」
何言ってんの?という顔のナツ。
「ナツは大学どう?」
「楽しいよ。授業も面白い」
「…授業が面白いって言えるのがすごいわ」
一度目の時、大学の授業が面白いとか思ったことない。
「そう?」
「そうだよ。仕事と両立してるんだろ?尊敬だわ」
「?高校の時と変わらないよ?」
「…それはナツが頭いいからだって」
そう言うもナツは不思議そうな顔。
頭いいやつめ!!
「てかパピー今忙しくない?ドラマの番宣でしょ?」
「そうだけど、俺はそんなに番宣出ないからなぁ」
莉緒さんの弟役で出るけど番宣は基本主役の二人。
たまに俺もさせてもらってる程度。
「楽しみだなー、パピーのドラマ」
この前ゆうも楽しみと言ってくれた。
「俺、ナツみたいに出番多くないからな?」
ナツは初ドラマからずっと年に2回はドラマや映画に出てる。
そのおかげか出番が多い役が増えてきた。
「メンバーが出てることが嬉しいからいいの」
「…ふーん」
嬉しそうに笑うナツになんだかむず痒くなってそっけなくなる。
ドラマ初回日。
金曜24時からの30分。
「楽しみー♪」
「録画予約もバッチリだ」
優子と兄貴がテレビの前を陣取ってる。
母さんも風呂上がりでソファーに座ってる。
「あれ?父さんは?」
「急に仕事入って泊まりよ」
「…ふーん」
父さんは俺が出てる番組は見てないし、ライブにもきていない。
「今回は見てもらえると思ってたのにな」
ポツリと呟くと母さんが苦笑した。
「あ!始まった!!」
優子が嬉しそうに言う。
【姉ちゃん、何暴れてんの?】
【暴れてない!!てか勝手に入るな!!】
【ノックしたんですけど?】
【返事してない!!】
【えぇー…】
「陽太だ!」
「お兄ちゃん!」
兄貴と優子がテレビを指して興奮状態。
冷静に見るとやっぱりまだまだ棒読みだ。
このレベルで出てるのが恥ずかしくなってきたし、ナツってやっぱりすごい。
「うわー…はずいって。無理無理」
「お兄ちゃんが恥ずかしがってる」
「照れんな!!俺の自慢の弟だぞ!」
兄貴が俺を抱きしめる。
「アリガトウ、アリガトウ」
「今から友達に自慢の電話する!」
「やめろ!」
そんなことをしていたらCMに。
同時にメッセージの嵐。
【パピー、いいじゃん!】
【ナイス龍平!】
【かっこいい!!】
【めっちゃいい!!】
【パピー演技うまい!】
ナツ、ゆう、トラ、スー、楓の順に送られてくる。
龍平は今回の役名。
「ナイス龍平ってなんだよ」
そう言いながら【ありがとう!】と返すと今度は別グループが盛り上がってる。
【陽太!お前演技うま!!】
【すげーじゃん】
壮真と啓太、特に壮真は連投しまくってる。
返信する隙がないなーと思ってるとピタッと止まった。
「?」
テレビを見るとドラマが再開していて納得。
『俺はリアタイはCM中に感想を呟くんだ!!1分1秒でも見逃さない!!』
そんなことを言っていたことを思い出す。
「壮真、ガチでそうなんだ」
苦笑しつつも残りを観る。
1話目は最後の方にも出てるからどうなってるか不安だ。
【もう意味わかんない】
【姉ちゃん、ご飯だから起きて】
オムライスを持ちながら莉緒さんに声をかける俺は困った顔。
このシーンは全体的に自分でもできた方だと思う。
【むー】
【龍平スペシャル食べないならいいけど。今日はチーズ入りなのに】
【龍平スペシャル!食べる!】
苦笑した俺は莉緒さんの前にオムライスを置く。
自分の分も置いて二人で向かい合わせで食べる。
【んー!!美味しい!】
【うん、いい感じ】
そこから莉緒さんのモノローグとエンディングが流れる。
「あ!これclear skyでしょ!!」
優子が目をキラキラさせる。
「まー、エンドロール見てな」
エンドロールにはclear skyの文字。
「わー!!新曲!!」
「ラブソングか」
「ん」
頷くと携帯がまた通知祭り。
【新曲!!新曲!!】
壮真の連投に苦笑する。
初のドラマは勉強でしかない!
パピーの初ドラマの放送が開始しました。
トラと楓もスマホを持つようになったので、みんなと感想リアタイができるようになりました。
そして壮真はしっかりオタ活してます。
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