B面 俺だけが焦ってるのかもしれない
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されているので、ご了承ください。
また、「 過去、私を嫌ったキミは今、私を溺愛する」にちょっとだけリンクしてます。
両方読んでいただけるとより楽しんでいただけると思います!
毎週土曜日のAM8:00ごろ更新です。(遅れることもあると思います)
B面シリーズは不定期です。
ナツのドラマ出演が決まった次の日。
移動教室でナツと歩いていたら声をかけられた。
「西田くん…だよね?」
「え?あ、はい!」
振り返るとそこには俳優の和田千颯さん。
俺たちの2つ先輩だ。
「よかった。和田です」
「存じ上げてます!いつもドラマ見てて、すごいなって…!尊敬してます!」
いつも冷静なナツが興奮してる。
確かに和田さんの演技が好きでよくドラマ見てるって言ってたし、
和田さんが出てるドラマを観た次の日は感想をよく言ってる。
「ありがとう。これからよろしくね」
「はい!よろしくお願いします!」
握手をする2人を眺めてると和田さんと目が合った。
「三浦くんだよね?」
「え、あ、はい」
「歌がめちゃくちゃ上手いって陽太から聞いてるよ」
ニコッと笑ったその笑顔がマジでイケメンだ。
「パピーからですか?」
「うん。2人…というか、メンバーみんなのことは陽太から大体聞いてる」
メンバー自慢がすごいよ、と苦笑してるのを見て、本当にすごい自慢してるんだろうなと思った。
「三浦くんもよかったら仲良くしてくれるかな?」
「ぜひ!!」
差し出された手を握り返す。
メンバーとレギュラー番組以外で初めての芸能人の知り合いができた。
「今度、3人で昼一緒に食べようよ」
「「はい!!」」
俺たちがコクコクと頷くと和田さんはクスクス笑った。
「?」
「あ、ごめん。陽太が可愛い弟たちです!って言ってた意味がわかった気がして」
楽しそうにする和田さん。
来週、空き教室で一緒に食べる約束をして教室に向かった。
「へー、千颯くんと話したんだ」
夕方、レッスン前にパピーに今日あったことを話すとナツが興奮気味に頷く。
「めっちゃ嬉しいなー!仕事一緒にできるだけでも嬉しいのに!」
「ナツ、めちゃくちゃ憧れてるもんな」
「うん!」
ルンルンするナツ。
「莉緒さんも別枠だけどドラマ決まったって言ってたからなー。俺も出れるようにしたいなー」
「パピー、永山さんとも連絡取ってるの?」
初耳で驚く。
「うん、千颯くんと莉緒さんの3人でグループ作って情報交換とかしてる」
「へー、すごい」
「ナツも撮影始まったらそういうのするようになるんじゃないか?」
2人が楽しそうに話しているのをどこか遠くに感じた。
何日か経って今日は6人でレッスンの日。
「なっちゃん、ドラマ撮影いつから?」
「夏休み入ったらすぐかな。学生がほとんどだから進められるだけ進めるらしい」
「へー、そういう感じなんだ」
スーとトラが楽しそうにナツに聞いてる。
俺は着替えてそれを座って見てた。
みんな、素直にナツの仕事が決まったのを喜べてるのになーと思っていたら、俺の膝に楓が座ってきた。
「?楓?」
「ゆうちゃん元気ないね」
心配そうな顔で見てくる楓。
俺は驚いて思考停止。
「…そう?」
「いつも通りのゆうちゃんだけど、なんか元気ない」
しょんぼりしてる楓の頭を撫でる。
「そっかー、なんか元気ないかー」
「うん。ゆうちゃんが元気ないと僕悲しい」
末っ子に心配させてしまったなー、と思いつつギューッと抱きしめる。
「ごめんなー、でも大丈夫!楓のおかげで癒された」
「本当?」
「本当、本当」
そんなやりとりをしていたらパピーが入ってきた。
「おー、なんだ、ゆうと楓ラブラブしてんなー」
「いいでしょー!」
楓がきゃっきゃしているのを抱きしめながら眺めていた。
レッスン後、藤井さんに呼ばれた。
「三浦ー、ちょっといいか?」
「はい」
藤井さんのそばに行くと岡本さんも近くにきた。
「三浦、お前焦ってるだろ?」
「え」
図星すぎて何も言えない。
岡本さんは理解したようで苦笑してる。
「上田と西田がソロの仕事決まったけど、自分だけって思ってないか?」
「…それは、はい」
「だよなー」
藤井さんは立ち上がって頭をポンポンしてきた。
これ、自分がされると結構恥ずかしい。
「そんなに焦んなくったって大丈夫だって」
「でも…」
「上田はあの飄々として感じが武器だし、西田は演技が武器だ」
それはわかる。
「三浦、お前の武器は何かわかってるか?」
「え?俺?」
考えてみるけど、パッと出てこない。
「いや…なんですかね」
「お前は歌だ。だから歌割り、多いだろ?」
確かに俺の部分多いとは思っていた。
「岡本と話して、このグループのメインボーカルは三浦にしようって」
「え?」
「だから、お前はデビューしてから忙しくなるぞ?」
「最大の武器はお披露目まで隠さないとな」
岡本さんもニッと笑う。
「焦る気持ちもわかる。でも今は自分の武器を磨く時だから、そこに集中しろ」
「俺は全員にソロ活動をさせる気満々だから安心しろ」
2人の言葉にちょっと泣きそうになりながら「はい!」と返事をした。
今は自分を磨く時なんだ!
久しぶりのB面はゆうの視点でした。
高校生組の中で自分だけってなると相当焦るんでしょうね。
デビューしてからのゆうに期待です。
そしてゆうの様子を感じ取った楓くんは可愛く癒してくれました。
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