13曲目 山場2つ目がやってきた
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されているので、ご了承ください。
また、「 過去、私を嫌ったキミは今、私を溺愛する」にちょっとだけリンクしてます。
両方読んでいただけるとより楽しんでいただけると思います!
起きてから昨日と同じようにトラとランニングして自主練して
シャワーして朝ごはん。
「焼き魚うまそー」
「朝の魚ってなんかいいよね」
「なー、わかる」
優希くんが目の前で食べてる。
「な、ゆうって呼んでいい?」
そう聞くとゆうは不思議そうな顔をした。
「いいけど…今更?」
「いいじゃん」
へへっと笑うとゆうは苦笑していた。
食べた後は身支度を整えて練習室へ。
最後の山場だ!
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最終の最終。
みんな緊張感と気合いがやっぱり違う。
「最後のグループ、お願いします」
藤井さんが最後のグループに声をかける。
昨日の会議で名前が出た三浦くんと上田くんがいる。
「「よろしくお願いします!」」
全員が挨拶をして配置につく。
「みんないいかな。じゃ、始めてください」
藤井さんが声をかけると空気が変わる。
話の内容は仲良し5人組で将来の夢を語るワンシーン。
歌手、社長、平凡なサラリーマンで幸せな家庭、シェフになって自分の店をもつ、パイロット。
それをどう演じるか。
今までのグループは王道の青春っぽくしたり、ちょっとシリアスにしたり。
セリフも少しぐらいは変えてもいいし、アドリブも入れてもいいと
最初に説明してるからアレンジ力も見られる。
三浦くんが歌いながら中央部分にやってくる。
歌唱力は今残ってる中でもトップクラスだ。
「”おー、また歌ってんの?”」
上田くんが入ってくる。三浦くんは頷く。
「”ごめん、うるさかった?”」
「”全然。な、もう一回歌って”」
台本には無い部分。
三浦くんが歌い出すと上田くんがハモリ始める。
キレイなハモリに思わずゾクッとする。
『メインの声と合わせたらやばそうだなって声してました』
1次オーディションの時に言った自分の言葉を思い出す。
「”また2人で歌ってる”」
「”本当に歌うの好きだなー”」
残りの3人が入ってきて役者は揃った。
その後も進んでいき、社長の夢を持つ役がメインのシーン。
「”そして世界ランクに入るような大企業に俺はするんだ!
だから勉強も頑張る!”」
「”いいじゃん。じゃ、頑張って英語の赤点回避しなきゃだな”」
上田くんがクスッと笑う。
「”…それ、今言わなくても”」
「”応援してるからだよ。教えてやるから”」
頭をポンポンされた子は恥ずかしそうに、でも嬉しさが隠せてない。
「”そういうお前は何になりたいんだよ”」
上田くんが聞かれてニッと笑う。
「”俺は普通のサラリーマンで結婚して、家族が守れればいいよ”」
「”そんなの普通じゃん”」
納得いかないと言う顔をされても小さく笑う上田くん。
「”いいんだよ普通で。普通って思えることが本当に幸せなんだよ”」
その言葉は台本のセリフなのに、どこか苦しくなった。
===
「全グループ終わりました。みなさん、お疲れ様でした」
藤井さんの言葉に全員でお疲れ様でした、と返事をする。
「課題は以上です。
この後はここまで残ったみなさんのお疲れ様会として屋上でBBQをします」
みんなBBQに驚きと喜びで声を上げる。
確かに今日の解散が夕方だったからなんでだろう、とは思ってたけど、これか。
「BBQだって」
「やったな」
ゆうと話して笑う。
「汗もかいたと思うので、シャワーを浴びて、
荷物をまとめて帰るだけの状態にしてきてください。
防犯の為、荷物は部屋に置いてきて鍵をして13時に屋上に集合です」
全員で返事をしてシャワールームに向かう。
大浴場と別にシャワールーム(しかも結構多い)がついてるなんて、
さすが大手事務所。
シャワーを浴びて荷物をまとめて部屋を出る。
すると向かい側のナツも出てきた。
「ナツ、お疲れ」
「陽太くんお疲れ。屋上行こっか」
「おう」
並んで歩く。
昨日の昼も一緒に昼を食べたけど、なんか久しぶり感。
「ナツ、相変わらず演技うまかったわ」
「本当?ありがとう」
ナツは同じサラリーマンを夢見る役だった。
正直、比べ物にならないぐらい上手い。
「陽太くんもいい感じだったじゃん。それにハモリもすごかったし」
「あれはゆうが合わせてくれただけだって」
ゆうの歌唱力は素人の俺でもわかるぐらいすごい。
だから一緒に歌おうって提案された時は本当に困った。
「そうかな?」
「そうだって。とりあえず、全力でやりきったことに安心してる」
「同じく」
そんな話をしてたら屋上についた。
もう何人か集まってる。
屋上だけど、ちゃんと日よけの屋根もついてるから過ごしやすい。
「ま、とりあえず今はお疲れ様ってことでBBQ楽しむか」
「そうだね」
ナツと笑って頷く。
「陽太くーん!!」
「なっちゃーん!」
楓とスーが手招きしてる。
「お、呼ばれてる」
「行こっか」
頷いて2人のところに向かった。
全力でやりきった後のBBQはきっと格別美味しいはず!
これで全オーディション終了です。
どうしてもオーディション中にハモらせたかったのはここだけの話。
次回はBBQの様子です。
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