11曲目 大根役者アゲインですか?
読んでいただきありがとうございます!
本作の芸能界は作者の妄想で構成されているので、ご了承ください。
また、「 過去、私を嫌ったキミは今、私を溺愛する」にちょっとだけリンクしてます。
両方読んでいただけるとより楽しんでいただけると思います!
毎週土曜日のAM8:00ごろ更新です。(遅れることもあると思います)
オーディション生たちが昼食を食べている間。
俺たち審査員とスタッフは会議中だった。
「今回、気になる子いました?」
藤井さんが審査員に声をかける。
「山之内寅之助くんはやっぱり一番ダンスが上手かったですね」
「手塚楓くんも柔軟性があってよかったです」
色々と意見が出てくる。
「岡本は?」
藤井さんに聞かれてメンバー表のメモを見る。
「そうですね…坂田翠くんのアレンジとチャレンジ精神はいいなって思いました」
「理由は?」
「オーディションなんてアレンジしたら落とされるかもって思うことが多いのに
迷わずチャレンジできるって精神が強いなって思うんです。
グループってなったら誰か一人は空気を変えて引っ張る存在は必要ですから」
「確かにな」
「それにアレンジできるポイントが的確だったのでセンスもいいなって」
そう言うと周りの審査員やスタッフも同意してくれた。
「藤井さんは?」
「俺は上田陽太かな」
「上田くん?」
ダンスは特別上手いわけではない。
技術面を重視することが多い藤井さんにしては珍しい気がする。
「彼は練習すればするほど吸収するスポンジタイプだ。何よりも影響力があるな」
「影響力?」
頷く藤井さん。
「初対面の即興グループなのにあそこのグループだけ集団行動だ。
飯まで一緒だったぞ。その中心は上田だった。
短時間で慕われるような信頼を築けるから笑顔で楽しもうってみんな実行できたんだろう」
「確かに」
藤井さんはニッと笑った。
「なかなかいないぞ。そう言う人材」
そこからは各審査員が評価をつけて中間結果を出す。
この後は次の課題の発表だ。
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お昼は生姜焼きだった。
疲れた身体に染み渡るー。
みんなでワイワイ食べた後、また練習室に移動する。
「次なんだろうね」
「なー。また演技だったら泣くわ。そしたらナツと同じグループがいいわ」
「演技限定で?」
そんな話をして練習室に入る。
「全員揃いましたかね。みなさん、先ほどはお疲れ様でした。
では次の内容を発表します」
藤井さんが言うとホワイトボードをクルッと回して出てきた文字に
俺は内心うわーっと思う。
「次は新しいグループになって演技をしてもらいます。
この後配る台本に書かれてる役の配分は自分たちで決めてください」
先に台本が配れられる。
内容は将来を語り合う男たちの話。
「役の大まかな設定は書かれてますが、性格などは思うように演じてください。
ではグループの発表します」
張り出された紙を見てちょっと落ち込む。
「またナツと別だー…」
「しょうがないよ」
苦笑するナツに頷く。
グループに分かれてまた最初の10分は自己紹介などの自由時間。
「じゃあ、俺からいいですか?」
初めて会う元気な子から始まった。
こう言う子がいるのはありがたい。
自己紹介が終わって練習を始める。
役決めは案外すんなり、みんな自分の希望通りになった。
「くぁー…やっぱ上手くできねー」
「陽太くん、大丈夫?」
顔を上げると今回同じグループになった三浦優希くん。
「優希くん。いやー、演技ってちょっと苦手意識がね」
「わかるー。俺も歌の方が好きだからなー」
「え?マジで言ってる?」
全然上手いんだけど、と思わず呟く。
「そうかな?」
「ええー、ずるい!コツを教えてください!」
「陽太くんって面白いね」
クスッと笑う優希くんはナツとは違った落ち着き。
なんていうか…ほんわか男子?
優希くんや演技が得意な子に付き合ってもらいながら日が暮れるまで練習に没頭した。
だから大根役者なんだってば!!
藤井さん、実はオーディション初回から陽太くんを気にしていたのです。
次のグループでは優ちゃんとの絡みが多めです!
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