桜舞う季節にキミを想うということ~時空を超えて甦る魂の記憶~ ②
不定期更新なので更新頻度が遅くなり申し訳ありません。
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桜舞う季節にキミを想うということ~時空を超えて甦る魂の記憶~ ②
ーー確信ーー
傷が治るまで入院していた水川健は、することがなく昼寝をしていると、ある夢を見ていた。
それは健男がF6Fヘルキャットに撃墜され死亡するシーンだった。
健は、ハッとして目を覚まし先日の健男の言葉が甦る
もしかしたら、本当は健男は死んでいるのかも知れない
だけど、撃墜された拍子に魂だけが自分の中に入り込み健男が自分の中に居るのかも知れない
まさかそんなことが有り得るのか?
でも、今、自分は健男として1944年に居る
この不思議な現象、現実を説明するには、そうとしか思えない
それに、あのイメージといか、シーンは...たぶん健男は景子を守りたい一心で俺の中に入り込んだのかも...
もしくは前世の記憶...
死してもなお遺る魂の記憶
健男は撃墜され戦死し古山景子を襲った悲劇を回避し彼女を守るために子孫の俺を選んだのか?
健男の想いが全身を包み込み
「健、頼む。」と健男の思念が健の中に流れ込む
「俺じゃなくて、折目晃さんに頼めば良いじゃないか?」
「晃じゃなくキミじゃないとならない理由がある。」
「俺じないといけない理由?」
「信じられないかも知れないが、俺はキミの前世なんだ。」
「前世?」
「俺はヘルキャットに撃墜され死に、そして...」
「景子さんを守れなかったからか?」
健の中で漠然としていた感情が確信に変わる
「ああ、だからキミに託したい。」
その言葉の後に、もっと強い健男の思念が健の全身を包み
健は健男の思念に突き動かされるように景子を守ることに全力を尽くす決意を固め、健は健男の想いを心から尊重し、景子の幸せと安全を最優先に考え始めた。
ーーーーー
それから数日後、健は退院し教官として部隊に復帰し操縦したことのないはずの飛行機を健男の力を借り
手足のように操り飛行して見せる
真珠湾攻撃から瑞鶴の沈没までの記憶が健の中に甦り
戦闘機乗りとして、自分も最後は特攻隊として飛び立つ日まで...
そして、年端もいかぬ十代の若者達に、ただただ敵艦に突っ込む為だけの訓練を施し旅たちを見送る
そんな日々が当たり前な日常になっていた。
後の世で言うような悲壮感はなく、この時代を生きる彼らは彼らなりの信念を持って生きて、そして旅立って行った。
この時代には、この時代なりの世の中の価値観があって、後の世の価値観では計れないモノを目の当たりにした健は教え子達に『自分も必ず後から逝く、靖国で逢おう』そう言って送り出して来た。
そして、いよいよ..あのイメージのシーンの日が近づいて来る。
休暇の度に健は健男として古山景子に対して優しさと思いやりを尽くし、空襲で家族親類を失った彼女の心の傷を癒すために尽力し
健は、いつの間にか景子の笑顔を守りたいという強い思いを抱き、景子が幸福であり続けることを願い始めていた。
それは、健男としてではなく健としてだった。
「健男、景子さんは必ず守って見せる。」
「健、よろしく頼む。」
いよいよ..あのイメージのシーンの日を翌日に控えていた。
ーーーーーーーーー
翌日、水川健が休暇中に健の宿舎に訪れた古山景子と楽しい時間を過ごしていた。
二人は様々な話題で盛り上がり、笑い声が宿舎に響き渡ってた。
しかし、その楽しい時間もあまりにも短く、景子は帰るために駅に向かうことになり健は景子を送るために駅まで一緒に行く
駅に到着した景子は、切符を買いに行き
健は、何としても景子を守らなければと決意を固め
切符を買って戻って来た景子を見つめ
『もう少し一緒に居たかった。』
そう言って景子を強く抱きしめ
〝一分でも一秒でも長く俺より生きて欲しい〟
健男の思念が健を包み、景子を抱きしめたまま
『急にどうしたの健男さん?』と景子が健に問いかけると
『僕もいずれは...空に行くから...』とそう言って
早く汽車が出発するのを待ち
ポーッ!!と汽車の汽笛がなり汽車が発車する。
『汽車が行っちゃう健男さん...』
『次の汽車まで一瞬に居よう。』
いずれは空にという健の言葉に景子は、健男さんもいつかは特攻隊として逝ってしまうんだと悟り
景子は無言で頷き、二人は汽車を見送った。
その時、突然、耳をつんざくような爆音が響き渡り
周りを見渡すと、敵機が低空飛行しながら機関砲を乱射しながら
景子が乗る予定だった列車が、敵の無差別攻撃によって破壊された。
この頃の日本は敵機による無差別で無慈悲な攻撃に晒されていて、汽車だろうと歩行者だろうと機関砲の餌食にされていたのだった。
健の中の健男の重要なイメージ景子を死なせない為に彼が健に託した想いでした。
健は景子を強く抱きしめ、汽車に乗らせないようにして景子を守ることには成功したけれど、あの汽車に乗って居た人々のことを思うと健の心は痛みと悲しみでいっぱいだったが、健男の景子を失いたくない想いの強さに感動も感じていた。
健の中の健男は「景子、絶対に乗らせない。ここにいて、一緒にいよう。僕は君を失いたくないんだ。」そう叫んでいた。
『罪もない人々を無差別に無残に殺した米軍め、この仇は必ず僕が討って見せる。』
景子は健の言葉に〝ああやっぱり逝ってしまうのね〟と思って
涙を浮かべながらも、健の腕の中でしがみつき泣き続けた。
その後、駅周辺の状況が収束していく中、景子はバスで無事に帰宅することが出来た。
しかし、二人の心には深い傷というか哀しい想いが残りました。
この出来事をきっかけに、健と景子の絆はさらに深まったが、それから間もなく
健は晃と共に南九州の特攻出撃基地に配属になり
本当の意味での別れの日が近づきつつあった。
ーつづくー
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