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桜舞う季節にキミを想うということ。~時空を超えて甦る魂の記憶~ ①

完結済みTHE LAST STORY 貴方が命を賭けて私と紡ぐ物語り へは、お手数ですが、ページ下部にリンクを貼っておりますので

そちらからご覧いただきますよう、お願い申し上げますm(__)m









桜舞う季節にキミを想うということ。

~時空を超えて甦る魂の記憶~ ①





202X年 12月

繰り返される孤独な日々、そして、小中高といじめに遭い、生きる希望も気力も失くし、一応、職に就いたものの職場にも馴染めず

仕事を終えた水川健(みずかわたける)は帰宅中に、これまでの日々を思い返し

「もうこんな日々は嫌だ。死にたい。」

カンカンカンカン音がなり列車が通過する為に遮断機が降りる

水川は踏切内で立ち止まり、静かに目を閉じる。


何秒かの後、水川の身体に激痛が走り跳ね飛ばされ

水川の意識が遠のいて逝く。


ーーーー


水川が目を覚ますと見慣れない木製の天井に少し固いベッドの上にいた。


「ん?は?なんだここ?これが、あの世とやらか?やけに質素な所なんだな」と水川が思っていると


健男(たけお)さん!』


「たけお?あの世での俺の名前か?」と思いつつ声の主の方へ顔を向けるとそこには、とても美しく可愛いらしい女性が水川の手を握りしめ『良かった..本当に良かった..。』と言いながら涙を流している


水川は「誰だ?」と思ったが〝何故だろう俺はこの娘を知ってる気がする〟とも思ったが

その女性が誰なのか?わからないし、健男(たけお)という名前も知らない。


『健男さんが敵機と交戦中に撃墜されたと聞いた時、死んだんじゃないかと心配したのよ..』


『敵機?』


『米軍の戦闘機に...』


全く状況が掴めない健


すると昔の映画に出てくるような航空服に身を包んだ人物が現れ


『真珠湾以来のエースでもF6Fヘルキャットには手を焼いたみたいだな。』


F6Fヘルキャット?健の脳裏に映画かドラマだったか忘れたが、名前と機体の形が浮かぶ


そして、ふと壁の方を見るとカレンダーが貼ってあり



そこは1944年、昭和19年12月...


『今日は何日だ?』


『お前が名を上げた記念日だよ!』


『名を上げた記念日?』


『トラトラトラ、我奇襲に成功せり!』と言い笑顔を作り

『同じ戦闘機乗りとして瑞鶴から一緒にアメ公の奴らを叩きに行ったろ。』


折目晃(おりめあきら)さん、健男さんは..』と言いかけた時


『聞いてる、不時着した時に頭を怪我して一時的な記憶喪失なんだろ。』


『はい。』


記憶喪失?いや、俺は電車に...つか、真珠湾攻撃って


1941年12月8日未明、日本機動艦隊はハワイ真珠湾奇襲攻撃をし、日本は悲劇的な戦争を始めたやつじゃん


しかも瑞鶴って...確か航空母艦のはず


健男という名前の男と俺が入れ替わったのか?

事故のショックでタイムスリップしてしまったのか?


この娘といい折目晃といい、何故だかわからないが知ってる気もする


いったい何がどうなってるのか?俺は健じゃなく健男なのか?


いや、俺は健のはず


なのに、この二人は俺を健男と呼び、俺のことを知っている

俺もまた、なんとなく二人を知っている


それに、真珠湾攻撃に参加した零式戦闘機の搭乗員で空母瑞鶴所属...って待てよ


瑞鶴は連合艦隊のレイテ突入の際に囮作戦で沈没したはず。


『折目さん、ちょと聞いて良いか?』


『名字で呼ぶなんてお前らしくもない。いつも通り晃で良いぞ。』


『なら、晃、瑞鶴は?』


『ご存知の通りだろ。』と言い安莉を見て答え

瑞鶴の沈没は秘匿されてることを悟った健は

『何故、俺たちは内地に?』


『どこぞの偉いさんが十死零死の作戦を始めたからさ。だから俺たちは教官として内地で搭乗員の育成にあたってる。』


十死零生...特別攻撃隊...いわゆる特攻隊の育成か。。。


死んで来いと言うのは、命令の限界を超えている

それに、死ぬ為だけの訓練を俺や折目はやっているのか?


1944年12月、あと九ヶ月半生き抜けば終戦になる


俺が何故タイムスリップしたのか?この時代に飛ばされて来たのか?わからない。


だけど、何かしら意味があって、やらなければならないこと、守らなければならないことが俺の中に居るだろう水川健男という男の想いを感じていた。





(たける)と健男(たけおー


目の前に居る二人が誰なのかわからない、水川健(みずかわたける)は、なんとか思い出そうとする


すると突然「たける、教えてやる。」と健の脳内に声が聞こえ

健の脳裏に瑞鶴から出撃し敵機と戦いフィリピンの飛行場に着陸するシーンや

その後、瑞鶴沈没から水川健こと水川健男(みずかわたけお)は同期の折目晃(おりめあきら)と共に内地帰還となり

内地にて、学徒出陣により航空学生となった若者達の航空訓練の教官として、日々を過ごしていること

そんなある日、空襲で家族や親類を亡くした戦災孤児として生きる女性、古山景子と出会い

彼女は戦争の中で孤独に生きる苦しみを抱えている古山景子のこと


その彼女を不憫に思った水川は彼女を自身の実家に引き取り

日清、日露と代々軍人の家系の水川家のお手伝いさんとして働きながら健男に淡い恋心を抱くようになり

水川もまた景子に対し同じような感情を抱くようになっていったこと


そんな日々の中で航空訓練中に水川は敵機と遭遇し訓練用の旧式の97式艦戦で渡り合い格闘するも、いくらベテランパイロットの水川でも敵機との性能差に押され被弾し

左翼が千切れ飛び操縦不能な状態に陥り川に不時着水した時、水川は頭を強くぶつけ気を失い

病院のベッドで目を覚ましたところまで脳裏に映画のように映し出され


たけおと名乗る人物から【とても重要なことのシーン】が脳内に流れ込み

「キミに託したい。」と健男は言い


健男の記憶が健の中に埋め込まれる。


キミに託したいって...あんた何を言ってんだよ!と健は思ったが、健男が託した想いの強さと、そのシーンに抗えず


どうすりゃ良いんだよ。。。

だいたい何でタイムスリップしたのかさえわからないってのに...


もし、タイムスリップした理由が健男の景子への想いの強さなのか?たまたま同じ名字で名前が一文字違いだからなのか?

わからないが水川健は水川健男として、この時代を生きるしか今は選択肢がなかったし

この時代を生きることで、その答えが見つかるかも知れないと思っていた。


死のうとしてたのに、生きることになるなんて笑える


とにかく、今は健男のふりをするしかない。

幸い一時的な記憶喪失ってなってるし、わからないことは答えなきゃ良いし聞けば済む話だ。


とはいっても、怪我が治ったら、また航空訓練の教官に戻るわけだし飛行機なんて操縦したことないけど大丈夫なのか?



と健は思っていた。



ーつづくー


いいね、ブクマ、感想、評価等いただけると嬉しいです。


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