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入厩に向けて

宇治セイントフィールドに輸送されて既に7月になっていた。


朝もサマータイムが始まったのか、日が昇る前に調教担当のちょっとチャラそうな金髪のさかぐち君に起こされいやいやながらも起きて走る。


もちろん終わったらすぐに飯を食べて寝る。基本は前のところと大差ない日々を過ごしている。


あまり放牧にも出してもらえないのでその分調教でストレスを発散する。まあ行き過ぎると口元引っ張られて痛いから程々にだけどね。


そうして調教前、久々に保科が来た。


「坂口くーん、こいつ最近どうなの?」


「いやー背中柔らかくて良いんじゃないっすか?芝とダートは掴めないっすね」


「…ふーん、そう」


なんだこいつもっと興味持てよ面白くねーの。


「あ、入厩っていつなんすか?」


「ん?あぁ来週にしようかな。ゲートだけはしっかりやっておいて」


「了解っす!」


にしても見た目通りの感じで、さかぐち君はなんか安心する。


「いやーやっといったわー、あいつマジで自分の馬くらいもっと興味持てよな」


そう俺に話しかけてくる。こいつ見た目に反して実は優しいのである。


朝起こす時も無理矢理ではなく、声をかけて揺すってから起こしてくるので根は優しいやつなんだろう。


「んーまあ最近調教のピッチ上がってきたからそろそろとは思ってたけど、お前くらいいい馬あんま乗れないから残念だ」


やっぱ良い奴やなー。


そうして調教へと向かう。特にこれといったことはなくいつも通り軽い感じで走る。まあ正直走るの面倒くさすぎて全力はまだ出てないんだけどね。


坂路を2本と走路を4周すると流石に息が上がってしまった。


最後の常歩は鼻を大きくして息を沢山吸い込む。


こうしてないと鼻からしか息が出来ないからキツい。


「んー!このベンツみたいなスムーズな加速と乗り味たまんねー!ベンツ乗ったことないけど」


割りと軽めだったが嬉しそうなさかぐちくんの声が上からする。


乗ったことないんかいと心の中で小さなツッコミをしておく。


「ディープボールド産駒ってやっぱ父に似てズブいの?」


隣の馬に乗ってるおじさんが話してくる。


「んー反応はありますけど、軽く促さないとやる気出ないタイプっすね。でもズブくは決してないかなぁ」


「ほーん、ボールド2歳の時乗ったけどあれ頭良すぎて鞭打ってもどうしょうもなかったからな。走りはいいんだけどね」


「荒木さんでそれなら僕動かせるわけないですよ」


楽しそうに話すなーと考えながら整理運動をする。


終わると体を洗われ、マシンに入る。


眠いなと思いつつも30分歩き馬房へと帰る。


暑いのでクーラー付きのこの馬房が天国だ。ずっと寝てられる。


「おい、これ内緒な。入厩前の馬にリンゴあげたら怒られるけど可愛いんだよお前」


そう言ってリンゴを渡される。


甘いものには俺は目がないのですぐに平らげる。


「お前みたいなやつとコンビ組んでレースとか出てみたかったな」


そう言って頭をわしゃわしゃと撫でてくる。


あかねちゃんも好きだったがこいつも同じくらい大好きだ。


みんな良い奴ばっかで俺も幸せだな。

重ね重ねになりますが、実際の調教師さんにこんな人はいません。

個人的にお話させていただいた方も10代だった私でも敬語で話して頂きましたし、ためになることを教えてもらいました。

個人的に特に優しかった調教師さんはJRAだと深山雅史さんと渡辺薫彦さんNARでは森下淳平さんですね。

めちゃめちゃいい人でした。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 調教師がダメダメという、競馬物にしては全く新しいストーリー!! いやマジで保科調教師ゴミ過ぎて悲しくなりますね 追放物ではないが見返してほしい
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