決着とレース後
「リアン、ありがとう。よく頑張った」
もうクタクタだよ…暫くはレース走りたくないかな。
「でも多分かなり際どいな。最後外2頭伸びてきてるし」
そうして軽く流し終わって歩いているとインペリアルロードとカゼノバーリライが俺の近くで歩き始めた。
「ありがとうございました!」
「こちらこそありがとう。いいレースだった」
滝騎手と握手を交しルリュール騎手とも握手をするゆっきー。
「イヤ〜かなり接戦ですネ。2950mナラ負けてたかモ」
「櫻岡君は手応え的にどう?」
滝騎手が聞いてくる。
「うーん内外離れてたので何とも言えないですよね」
「まあそうだよね。こっちも全く同じ意見だよ。とりあえずスタンド前でウイニングランできるように待っとくか」
「そうだネ、でもここまでグッドレースなかなか無いから楽しかったヨ」
「ほんとにいい勝負で良かったです」
1コーナー付近まで帰ってきたところで写真の文字が消え着順が判明した。
上から1着13番インペリアルロード、2着11番カゼノバーリライ3着12番リアンエテルネルの順番だった。
「あー!マジか…でもリアンほんとに頑張ったよ。またチャレンジしような」
「ウイニングラン行ってくるネ、またいい勝負しまショウ」
「ありがとうございました」
「いやー櫻岡君悔しいな。正直首伸び出る途中でゴールだったから伸ばしてたら勝ってたかも」
「でも地方2年目でこんなところに連れていってくれるとは思ってなかったのでまたチャレンジしたいです」
「そうだね。でも僕は2年目で菊花賞勝ったけど」
笑いながら滝騎手が言う。
流石に名騎手は違うなぁ。でもゆっきーもよく頑張ったよな。
「あー、悔しい。またここ来れるように頑張ろう」
そうだな。俺も悔しさしかないからこのハナ差分を無くせるようにしないと。
検量室前までゆっくりと帰る。
「うぅぅぅ…よく頑張ったねえ〜!」
涙で目元の化粧がかなり落ちているみなちゃんと村上のじいちゃんが出迎えてくれた。
「村上先生。すみません。力不足でした」
「ペース。読めるようになったな。ここまでいい着順取れたのはお前のおかげだと思っている。次は勝とう」
「美奈もごめんな。悔しいわ」
「ううん、いいの。厩務員やってて良かったと思ったから〜」
「脚元は問題ないけど終わったらちょっと頼むわ」
「うん!りょーかい〜!」
そうして曳手を付けられて歩く。
さっき一瞬泣き止んだのにまたボロ泣きしてるし…
「ほんとにこんなところ来れると思ってなかったから嬉しい。でも悔しいな〜」
メイクは崩れているが元の素材が良いので相変わらず美人だ。
検量室前から1人の騎手がこちらにやってきた。
「あの…すみません。リアン撫でていいですか?」
「あ、はい。どうぞ〜」
「お疲れ様!リアン久々だな。元気そうでなによりだよ!」
ん?誰だこいつ。そう思ったがよく見ると山根君だ。髪が伸びただけでこんなに印象変わるのか。
にしても元気そうでよかった。久々すぎてなんか色々思い出すな。
「盛岡行ったあともずっと気にかけてたんだ。去年お前の反省を活かして今年関西リーディング10位まで来れたんだよ。お前のおかげだ。ありがとう」
そうなのか。結構頑張ってるんだな。まあリーディング10位がどんくらい凄いのかは知らないけど。
「蓮さんもよろしくって言ってたよ。じゃあまた遠征してくるだろうしその時はよろしくね」
おう、じゃあな。
「可愛がられてたんだね〜!」
調教師とは馬が合わなかったけどな。
「さーてと今日はこのまま帰りの馬運車はきついから1泊させてもらえるんだよ〜」
良かった。早く全部終わらせて寝たいな。
クーリングダウンの常歩をみなちゃんと話しながら20分した後に洗い場へと入る。
「湯加減どうですか?なんてね〜」
そう言ってお風呂屋さんのような言葉を言って1人で笑うみなちゃんが可愛すぎる。
そうして体を綺麗に洗ってもらって馬房の中に入って横になる。
「流石にリアンもお疲れだね。裕貴が後で来ると思うけど私は今日はもう寝るからゆっくり休んでね」
みなちゃんも1日ありがとうな。俺はお言葉に甘えさせてもらって寝るよ。
「…いやー悔しい」
目が覚めるとゆっきーが馬房の前でスマホを見ていた。
『さあ行った行った緑の帽子12番リアンエテルネル。盛岡から挑戦の櫻岡裕貴とリアンエテルネルここで行きました。一気に先行グループまで行った。櫻岡裕貴、これは予定通りか』
どうやら今日の菊花賞の動画を見ているようだ。
「うーんタイミングはここで間違いないんだよ。どこだったらインペリアルロード負かせられたんだ」
どうやら早くも次戦う時にインペリアルロードを負かすための作戦を練っているらしい。
『さあ、坂の頂上で先頭に立ちました。ちょっと場内が騒然としていますが、更に差を広げていく。それを見た各馬も手が動いてきた。レースが動いたか』
「うーんコーナーワーク得意だからここで変にスピード落とすよりも、行ききった方がいいと思ったけど少し引いてたらどうだったんだろ」
『1頭行った行った行った。12番リアンエテルネル大逃げを打ちました。既に5馬身以上のリードその後ろにステイブルフェスタとヤクシマノキセキ。さあカゼノバーリライとインペリアルロードは届くのでありましょうか。まだリアンエテルネル6、7馬身のリードがある』
お、俺が先頭で逃げ切れると思ったシーンじゃないか。
正直あれだけ差があれば逃げ切れると思ってたしもう少し伸びたかったな…
「いやー勝てる気しかしなかったわ!悔し!」
全く同じ意見のようだ。
『インペリアルロード!インペリアルロード!その内からはカゼノバーリライ!最内粘るのはリアンエテルネル!叩き合いになった外の2頭出るか、内からもう一度リアンエテルネルも伸び返すこれは大接戦!大接戦ドゴーン!』
大接戦ドゴーンってなんだよ…あ、大接戦のゴールか。
まあそれほど興奮したんだろう。
「いやー!伸び返したところまで勝ったと思ったのに!あ、起こしちゃったかごめんな。入口近くにリンゴ置いといたから食べたくなったら食べてくれ」
お、マジで?食べるわ。サンキュー。
体を起こしてリンゴを頬張る。
「ごめんな。勝たせてやれなくて。さっき村上先生と遥輝さんと相談して次ジャパンカップか有馬記念にするって言ってたよ」
お、有馬記念!俺でも知ってるレースだ。確か年末にやるんだよな。
「そして次で半年くらいかな。俺とのコンビは解消になったから!次のレース終わって直ぐに千葉県のMSファームに放牧して1月からは大井競馬所属になるから」
は?色々急すぎてびっくりなんだけど。
なんで大井競馬に移籍するんだ?中央競馬ならまだわかるけどなんで地方に?
「仕方ないよ…盛岡冬の間雪が沢山だから競馬開催できないんだし。まあその間俺は武者修行にアメリカ行ってくるから。お互い成長して春また一緒に頑張ろう」
そういうことなら仕方ないな。後今年1レース頑張るか。最後に勝って終わりたいしな。
レース展開が分かりにくいよって方は参考にした2012年の秋華賞を是非見てください。
ゴルシの捲りをチェリーメドゥーサの捲りに置き換えたレース展開にしました。
チェリーメドゥーサが粘っていたらというifも交えての展開になってます。




