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追い切りと作戦会議

あれから馬運車に乗って14時間ほど揺られた後、盛岡競馬場に帰ってきた。


「ふえ〜」


長旅だったみなちゃんはお疲れの様子。


村上のじいちゃんが出迎えてくれた。


「美奈、ありがとう。お疲れ様。今日はもう上がって明日お休みでいいよ」


「え!ほんとですか!ありがとうございます〜」


「リアンは明後日まで調教休みだし、お前もゆっくり休めよ」


流石にセントライト記念の疲れは盛岡のレースとは比べ物にならないので休めるのはありがたい。


そうして3日後から調教は始まった。


勿論脚慣らし程度の軽いもので暫くはこれで様子を見るようだ。


そうして2週間がたった日。厩舎でリラックスしているとゆっきーがリンゴを食べさせに来てくれた。


「俺この前未勝利だった馬で勝てたから超機嫌いいんだよ。だからお前にもリンゴおすそ分けな。そして30勝したからGI乗れる」


菊花賞一緒に行けるしよかったな、俺もリンゴ食えるしウィンウィンだな。


「そいつ芦毛なんだけど力をつけて来てるからもしかしたらお前もどっかで戦うかもな」


流石に未勝利勝ったばっかの馬には負けないよ。


「桐花賞でどっち乗るかって言われたら超悩むなぁ」


なんだそれ。まあどうせ俺乗るだろ。


「てことで筋トレ行ってくるわ」


ほんと嵐みたいに去っていくな。


2週間経って菊花賞の最終追い切りの日になった。


中間の調教は順調そのもので先週は一杯でラスト1F11.9秒と破格のタイムも出せたから完璧だ。


「村上先生どうします?」


「もう仕上がってるしこれ以上仕上げても仕方ないから馬ナリで12.5くらいで上がってきて」


「わかりました。乗ってみて反応悪かったら肩ムチだけ入れます」


「それでいいな。じゃあ頼んだぞ」


「任せてください!」


すっかり自信も着いちゃったなぁ。出会った時の頼りなさとはかけ離れてるよ。


「もうトップジョッキーに一歩踏み入れそうだね〜」


「まだまだだよ…俺の力で勝たせることが出来た馬なんて1頭も居ないからな。みんな助けて貰ってるよ」


「そう?この前のスーちゃんは良かったけどな〜」


「あれも馬がいいんだよ。3連勝だし脚強いから年末は美奈ちゃんとは敵になるかもなぁ」


この前のやつそんなに強くなったのか。


「リアンから浮気しちゃうのね〜!」


「菊花賞勝ってから考えるかな」


「ん!いってらっしゃい〜」


そして馬場で体をほぐしてキャンターを行う。


「いやーエグイなお前。楽しみすぎるわ」


それなら良かった。


「美奈ちゃんー!良かったよこいつ流石に勝ち負けあると思う」


「見てたけど過去イチの仕上がりじゃないかな〜」


「うん、馬体もいい感じに絞れて長距離向きの体にできてるしワンチャンあるよ」


そうして体を洗ってもらい馬房でぼーっとしているとゆっきーがやってきた。


また来たのか物好きだなぁと思ったが、リンゴをくれるので美味しくいただく。


「村上先生と相談して作戦さっきまで決めてたんだよ。予報では晴れだし気持ちよく走れそうだな」


雨は普通に走るの嫌だから晴れなのは有難い。


「ちなみに今回も逃げる予定は無いけどペース次第では捲るから」


捲るって後ろから前に行くことか。まあ長いしゆっくり走りたいなぁ…


リンゴを一緒に食べながらインペリアルロードの過去レースを観る。


にしてもほんとに走り方が他の馬と違うからどんだけ強いんだろうな。


前走俺が苦戦したカゼノバーリライ相手に、併せる間もなく交わしきって勝ったダービーはまさに圧巻の一言だ。


「まあインペリアルロードは三冠取りに来てるし結構仕上がりいいみたいだからな…多分一緒の位置からスパートしても脚向こうの方が良いから4コーナーで3馬身前にいられたら勝てると思う」


3馬身は結構厳しいなぁ…ただでさえも長距離苦手だし。


「まあ捲りの話に戻るけどお前の反応がほんとに大切だからなぁ…3コーナーら辺にある上り坂で多分仕掛けるから。タブーって言われてるけど坂路得意だし行けるでしょ?」


まあ得意かは知らないけどある程度はできるとは思っている。


問題は体力なんだよね…


「まあやれることやったから明日の輸送に備えて早く寝ような」


まあそうだな。ただ、これで勝てなかったら一生長距離出ないからな!

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