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いよいよ育成へ

離乳して俺ら2頭になって半年。季節は冬になった。


放牧の時間も秋頃からは、朝に出て夕方帰るのではなく昼に出て朝に帰るという時間帯になっていた。


夜の過ごし方は鹿の群れに俺らが追い回されたり、寝るにも寝れずに暇だから気晴らしに走ったりするなど様々だ。あれ、俺走ってしかなくね?


そんな2月。朝放牧から帰ると、1台の車が来た。馬を積み込むための車で馬運車というらしい。そのまんまだな。


昼までいつも通り寝ているとおじいちゃんに起こされた。


「おい、起きろ!手入れするぞ」


どうやらブラッシングをするようだ。いつもは本当に汚い時しかしないのに珍しい。


おじいちゃんの後ろには足が悪くなって先月から車椅子生活になっているおばあちゃんも居た。


久々の再会に嬉しくなり、テンションが上がるが程々に抑える。


「あんたらでうちの牧場の馬は最後だから寂しくなるね。立派に育ってきなよ」


え?おじいちゃん牧場辞めちゃうのかよ。


「最後に出来たこの2頭は手がかからなくて楽だったなぁ、でもこれだけ愛情注いでも育成行って悪さをしないか心配だよ」


そうおじいさんが言うと


「大丈夫この子達なら人様に迷惑をかけたりしないから心配ないよ。私たちの自慢の息子さ」


なんかこんなこと言って貰えるとは嬉しい気持ちと会えない複雑な気持ちでごちゃごちゃだ。


そうして時間が来たのか俺たちふたりは馬運車に乗せられた。


つぶあんは忙しなく嘶いて早く出せと前かきをしている。


15分程経ったところで馬運車が止まった。


俺らを降ろそうと乗ってきたのは20代くらいの男女。


つぶあんは女性に、俺は男性に曳かれて馬運車から降りる。内心女性可愛かったからそっちに曳かれなくて残念だった。


そして降りるとまず目に入ったのは、何頭入るんだってくらい立派な厩舎が3つもあった。おじいちゃんのとこの厩舎と比べたら3倍以上はあるんじゃないか?


そして地面はただの土ではなくゴムマットが敷かれており、左には先の見えないくらい大きな放牧地が3つ。右には1周1000mはあるであろうコースと坂路があった。かなり傾斜がキツそうでここを馬は走るのかと驚く。


…ん?今俺馬だからあそこ将来的に走ることになるのか?


もう帰りたいと思い止まっていると男性がかなり力強く引っ張ってくる。


こいつ扱い荒すぎるだろと思いながら付いて行き放牧地へと入る。


入ってすぐに何頭もの馬が遠くから嘶きと共に走ってきて歓迎される。歓迎されてるのかはわからないけどな。


鼻を近づけてたくさんの馬から匂いを嗅がれる。つぶあんもそれを返しているのでコミュニケーションを取るみたいだ。


俺も見様見真似でやってみると、段々落ち着いてきたみたいだ。


そしてつぶあんが走ると、ほかの馬もつられて全速力で走っていく。


気がつくと周りに馬が居なくなっていた。馬でもぼっち生活が始まるのか。そう思うと少し憂鬱である。


だがそんなことはお構い無しに俺は日向で寝ることにした。

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