入厩!ゲート!即デビュー!?
遂に保科が言っていた入厩の日になった。
「今日の八時に馬運車来るから朝の餌でしばらくお別れだな。でも保科さんよく外厩使うから沢山会えると思うよ。また会おうな」
もちろんだよ。さかもと君にはお世話になったわ。
「じゃ、おれ調教あるからここでお別れ終わるわ、またな」
またな。良い友達ができた気分だ。
そうして時間になると馬運車も到着し輸送準備を済ませた俺が乗り込む。
今回は1時間程で着いたのでずっと寝ているだけだった。
開けられると続々と馬が降りていく。俺は最後から二番目だ。
そうして順番が来て馬運車をおりると少し綺麗な育成牧場のように見える。ただ違うのは馬の頭数。至る所に馬だらけで驚く。
厩舎に入るとたくさんの馬の嘶きで歓迎をされる。未だに俺は嘶くのが下手でどうやって上手にやるのか分からない。
オガが綺麗に敷かれた馬房へと入ると無口を外された。
「よーし、ここからこの馬房がお前のところだからな。よろしく」
ふかふかで気持ちがいいので早速寝ることにする。
「牧場から聞いてたけど本当によく寝るんだなこいつ」
そうして二時間ほど一人でゴロゴロとしているとさっき俺を降ろしたやつが人参を持ってまたやってきた。
「保科先生はそんなに良いとは思わないって言ってたけどお前体の作りめちゃくちゃタイプなんだよな。これやるから頑張れよ」
そうして人参を差し出してくる。もちろんそれをすぐに口に頬張る。
「美味いか?俺、蓮って言うからよろしくな」
おうよろしくと心の中で返事をする。
「曳き運動行くから暴れんなよ」
そうして無口とチフニーを口に付けられて外へと連れ出される。
辺りを見渡すと、他にも数頭が遠くに見える。
そうして10分程歩いた後に厩舎の前にある青草を食べ始める。
カシャッ、カシャッというシャッター音がしてその方向へ向くと蓮が嬉しそうにニコニコと笑みを浮かべる。
「可愛いなーこいつ。担当馬、初めてのやつと2頭目故障してて実はお前で3頭目だから怪我させないようにしないとな」
おう、頼むぞ。
そうして馬房へと帰り、またしばらく厩舎に流れているラジオを聞いたり寝たりと一人の時間を楽しむ。
夜飼いの時間になるとすっかり暗くなっていて厩舎の明かりもところどころ消えているものもあった。
「よーし、また明日な。頑張ろう」
そうして1日目はすぐに終わった。
それから1週間後ゲート試験となった。
朝坂路で軽めの調教をする。あまりにも頭数が多いので初めて東京に来て人酔いをした時を思い出すくらいに馬酔いをしてしまう。
ただ走ればもう楽なので軽く駆け上がる。
コースを変えてゲートのあるコースへと移動する。
もちろんやることは分かるし、こっちに来ても毎日やっているので心配は無い。それにやらないと怒られるのでやるしかない。
ゲートへと入れられて他の馬が入るまでしばらく放置される。
他の4頭も落ち着いているので問題ないな。
係員の「はい開けるよ」の声が聞こえ、ゲートが開くとスタートダッシュを決めるために全力で走る。
少し行ったところで止められまたゲートの前まで戻される。
もう一度やるも結果は同じ。無事に合格となった。
厩舎へと帰るとレンがニコニコの顔で出迎えてくる。
そうしてレンが話し始める。
「偉いね!よく頑張った。あと今日からこしあんじゃなくて名前決まったからそっちで呼ぶわ」
ん?名前決まったのか?いつの間に。
「リアンエテルネル。永遠の絆って意味らしいぞ。お父さんから連想したらしいから良かったじゃん」
まあ悪くは無いけどもっとかっこいい感じが良かったな。ダークセイバーとか。いやそっちの方がダサいか。
「あ、あとゲート受かったから来週デビューだってさ」
…来週!?
ゲートについてです。1歳でも意外と通過は出来ます。イヤイヤしてても脚とかで押し込めば入ります。
ただ難しいのが前扉閉めての中立です。前扉あるのと無いのじゃ難易度が段違いです。時間かけて向き合うしかないです。
今年中にデビュー戦までは書きたいなぁ。
年末はやっぱり凄い忙しいです…




