澱み
毒々しい程豪奢な作りのマドセア城に
すがり付くようにスラムと化した
城下町がある
いつか見られた街を縫うように流れる
湧水の清らかな流れは無く
どぶ川の如く異臭を放つ澱みがあった
マドセア城の門前で粗末な身なりの
母子が兵士に纏わりついている
「どうかお願いいたします
この子に薬を飲ませたいのです
どうか御慈悲を」
ギラギラと不快な色味の
ブーツを上げて母子を
振り払うマドセア兵士
「ええい触るな
臭いが移る!」
ブーツを向けた瞬間
首もとにキラキラとした
宝石が掛かりガクリと脱力する
「ああ~またそのような事に
宝石を使うから幾らあっても・・
あ痛っ」
ぼやいたリザーノへ肘打ちを
放つフリディア
怯えた母子が顔を上げると
蔑むように見るフリディア
母子の目がみるみる潤み
蒼白だった頬に赤みが指す
「姫さまっ姫さまっ」
「余計な事言ってんじゃないわよ
あんた達何でこんな所来てるのよ」
「申し訳ありません
近頃は配給も滞り病弱なこの子に
せめて薬を」
「チッどうなってるのよ
補給チームは」
フリディアはサッとイヤリングを
外すと中の液体を子供の口に含ませた
「さっさと行きなさいよ
目障りなのよ」
御礼を言おうとする母子を
追い払うフリディア
リザーノが脱力した兵士から
宝石をつまみ上げると
「ハッ俺は一体・・
フリディア姫様」
敬礼しようとした兵士の顎に
扇子を突き立てるフリディア
「そんなのは良いから
さっさと宝物庫の鍵を開けなさい」




