離れない
「ムヒーッムヒーッ」
体力の限界を超えて変な呼吸をする
小松ちゃん。
迫り来る闇色の影や瘴気を
ハヒッ!ハヒッ!っと避けて
ガラリアを抱えながら必死に走る。
正直、ガラリアは自分で走った方が
余程素早く動ける。
痺れ草原や毒鯰の居る沼に
置いて行かれた事もあったが
卓越した素早さや忍び足で
どうと言うことも無かった。
抱えられてドタドタ走られるのは
不安定で不快な筈だか何故か嬉しそうに
微笑むガラリア。
小松ちゃんの背後に迫る影や瘴気は
シャシャッと爪先から斬撃を放ち
消している。
「ムヒーッ!」
地下牢の大扉を抜けて家のドアへ迫る
小松ちゃん。
その足元の闇色の影が盛り上がり
人型を成したかと思うと憎悪に満ちた目の
フェキリオが小松を影の手で
貫こうと突き上げる。
ガラリアはサッと小松を宙に放ると
両双の斬撃で影の手を振り払い
小松の襟首を掴む。
闇に沈むフェキリオが叫ぶ。
「ガラリア!そんなのの何処か良いんだぁ!」
ガラリアはチラと冷たい目を向ける。
「アンタかぼちゃプリン作れないでしょう。」
そう言い放つガラリアの言葉の意味も
分からないまま沈みゆくフェキリオ。
小松が必死にドアノブを掴み
家の中へ転がり込むとガラリアが
目にも止まらぬ素早さで
小松の部屋へ移動した。
炬燵の前でドテンと倒れ込み
ヒッヒッハッと息も絶え絶えな小松ちゃん。
その様子をしゃがみながら
見つめているガラリア。
漸く小松の呼吸が整い初めて
ふーッと息を吐き出すと
ガラリアが質問する。
「ねぇあの時一緒に居た
金髪の姫何だけど。」
ガラリアは助けたのが
自分で良かったのかと
疑問に思っていた。
「・・?
ガラリアさん以外誰か居ましたか・・?」
その言葉にガラリアは
私の髪を触っても良いのよ?
感謝することね、と
満足気な様子で小松の傍らから
離れないのだった。




