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猫かぶり姫

「血塗られ~血~塗~ら~れっ

行くよー。」


凛が野菜体操の動きで家の方へ

誘うと血塗られも着いて来た。


ギョギョッとした表情で

見つめる狼族は怪異と其れを操る娘が

通るのを耳をペタリとさせて

伏せながらチラ見する。


恐ろしい者が離れて

ヒーヒーと笛の音の様な

呼吸をしていたフェキリオが

ようやく目の焦点が合い天井を仰ぐと

パッツン前髪をウギーッ!っとかきむしる。


「・・チクショウ、チクショウ!

チクショウ!貴様ら、生きて城から

出られると思うな!全員闇の底に

沈めてやる!」


フェキリオが狂気染みた目で

パンッと両手を合わせ強く握る。


すると壁や床下から黒い瘴気が吹き出し

城が揺れ始め黒く満ちる闇の影に

飲まれ始めた。


「ははは、ザマァ見ろ!」


フェキリオ自らも闇の影に飲まれていく。


「大変!小松さんが。」


「凛さん、一先ず家の中へ!」


戻ろとする凛の腕をアキラが掴み

家の中に引き戻す。


マダムがドアを閉めて窓から

外を見ると城の中がどんどん闇色に

染まっていく。


「大ちゃんっ」


玉が心配そうに窓にしがみついて

外を見つめている。


血塗られが現れた恐怖から

咄嗟に逃げてしまったガラリアは

謁見の間でハッとしていた。


「いけないこんな所迄来ちゃったわ

戻らないと。」


ガラリアが踵を返すと

鈴を転がすような声がした。


「あらぁどなたかと思えばどら猫、

いえガラリア様じゃありませんこと。」


ガラリアはチッと侮蔑の眼差しで

声の主を見る。


「どこぞの猫かぶり姫よりは

マシだと思うけど?」


ガラリアの言葉にイラッとした表情を見せる

フリディア姫。


つとガラリアへ歩み寄ると

白魚の様な手を顎に当てて小首を傾げる。


「生まれ故郷をフェキリオ様に

滅ぼされたんでしたっけ?

今度何を滅ぼして貰おうと

すり寄っているんですの?」


ガラリアが怒りに目を細める。


「フン、ただ生まれただけで何の

思い入れも無い場所だった。

アンタはアタシにそんな口を利いて

ただで済むと思ってる訳!?」


ガラリアがシャーッと爪を構えると

フリディアが大袈裟にへたり込む。


その時謁見の間の扉がバーンっ!

と開いて小松ちゃんがゼイゼイと

肩で息をしながら両手を膝に付いていた。


「あぁっそこの殿方!

お助け下さいまし!

ワタクシこの恐ろしい化け猫女に

襲われているのです!」


小松の方へ縋る様に手を伸ばし

ヨヨヨと泣き崩れるフリディア姫。


その言葉にガラリアの動きが止まり

爪を構えたまま動けなくなった。


金色のふわふわとした髪を揺らして

儚げに涙するフリディア姫。


自分は獣の如く爪を構えている。


ガラリアがクッと唇を噛み締めると

呼吸を整えた小松ちゃんが走り寄る。


「ああ、早くこの恐ろしい女の前から

ワタクシを連れ出して下さいまし!」


目にいっぱい涙を溜めて両手を広げる

フリディア姫。


小松は鬼の形相で一直線に駆け寄ると

自分より背の高いガラリアをヒョイっと

横抱きにして抱え上げた。


「え。」


無の表情になるフリディア姫を尻目に

驚いて声も出ないガラリアを

大事に抱えると一目散に走り去る

小松ちゃん。


フリディア姫は呆然としてその様子を

見送っていた。


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