一生懸命
「マダム!どうしてここにいるの?」
マダムに撫でられながら
凛が不思議そうに見ると
後ろからひょこっと小松ちゃんが顔を出す。
「ばあちゃん大丈夫!?凛ちゃんも!」
返事の代わりにウィ~と手を上げる玉。
驚く凛に説明する小松ちゃん。
「家がね動いたんだよ!
どういう仕組みか分からないけど
窓の外の景色が変わって。」
流し台の壁の染みが急に消えて
血塗られが外に飛び出したと小松ちゃん。
「アタシらはね
崖の辺りで往生していたんだよ。」
マダムが眉間を揉みながらため息をつく。
「凛さん此方へ。」
アキラが手を伸ばし凛から玉を預かる。
「そしたらですね
何処かの自称勇者がですね、
いざ行かん!とかって
崖から飛び降りた訳ですよ。」
玉を抱えながら笑いを堪え切れないアキラ。
玉がじっと見つめる。
奥の部屋から何やら抗議の声がする。
「ゼムが足を挫いちまってね
どうしようか思案していたら
急にドアが開いたのさ。」
無事で何よりだよと背中を撫でるマダム。
凛も嬉しそうにしていたが
ハッとして狼族に声を掛ける。
「アギフーっ。しっかり!
皆を起こして家の中へ入って!」
アギフはウォーンと吠えると
仲間を誘導する。
チェラッドの元へ駆け寄り
固まっているのをワシャワシャする凛。
「チェラッド上官どの!
一緒に行きますよ!」
「い、嫌。僕は仮にも悪魔軍の兵士で。」
言いながら嬉しそうに尻尾を振っている。
其れを見たアギフが羨ましそうに
腹を見せてアピールし出した。
「アギフ王子・・?」
仲間に見られてギクッとするアギフ。
小松ちゃんが凛の元へ駆け寄る。
「凛ちゃん、赤い髪の女の人
見なかった?」
小松ちゃんが心配そうに尋ねると
凛は地下牢の大扉の向こうを指指した。
「あの綺麗な人ならあっちに
飛び出して行ったよ。」
凛が言うと小松ちゃんは探してくると
止めるのも聞かず一生懸命走って行った。




