あの世側
これはそうだなぁ
パッと見にはきっと
血塗られの方が恐ろしく見える
だろうな。
見た目が怪異だし
まるっきりあの世側だし。
凄い動きで自分の目では
全然追えない。
黒い何かがヒュッとして
ザッとして消えていく。
狼族はさっきの血塗られの雄叫びで
卒倒しているしチェラッド上官どのは
すっかり固まってしまっている。
赤い髪の綺麗な女の人は
髪の毛を逆立てて姿を消してしまった。
前髪パッツンの男の人は
必死の形相で影の手や兵士を
出しまくっているが瞬殺されて
「何故だどうして」
と半泣きで呻いている。
凛はぼんやりそんな事を考えて
ハッと我に返った。
「どうして血塗られがここにいるの?」
凛の疑問も御構い無しに
世の理を超えた攻撃をフェキリオ目掛けて
叩き込み続ける血塗られ。
「血塗られ?血~塗~ら~れ~っ。」
凛はホッホッと玉を背負ったまま
野菜体操の動きをする。
暫くすると血塗られも
凛の動きを真似しだして
肩を上下し始めた。
ひいぃひいぃと虫の息なフェキリオ。
ヒョコヒョコと凛の傍へ歩み寄る血塗られ。
チャンスとばかりにフェキリオが
新たな影を出すと血塗られが
黒い刃で瞬時に霧散させ
フェキリオの眼前に迫り
ギロリと目を開いた。
フェキリオはもう泡を吹いて
倒れそうだった。
こんなに圧倒的な力の差を
見せ付けられた事は無く
何故どうしてあんな娘が
これ程の者を呼び出せるのだと
動転していた。
「ああ良かったよ!凛!
玉さんも無事で!」
突然現れたマダムが凛を抱き締めた。




