見届け人
「えっ血塗られ刺激すると
不味そうだけど大丈夫だったの?
わ~クレメダンジュふわふわで
美味しい。」
目を瞑って味わう凛。
「チーズには拘ってるからね。
まぁアタシが九十九針で
隅に縫い付けたからね。
そっから動いてやしないよ。」
ニヤリと笑ったマダムの
銀歯がキラリと光る。
「マダム九十九針何て
出せるんだ!すご~い。
妖怪みたい。」
「舐めんじゃないよ!
だてに妖食やってやしないよ。」
「あの妖食って洋食の間違い
じゃ無かったんだ。」
「まぁ細かく言やそうなんだけどね。
だけど九十九針何かあれには
ちっとも効いちゃいないと
思うけどね。只の怪異じゃないね。」
キュッとタバコを灰皿に
押し付けるマダム。
「マダム~九十九針見たいな。」
目をキラキラさせる凛。
「ダメだね。やると頭が
痒くなるからね。」
「え~」
「・・もう!も~うっ!!
そ、そうやって2人して俺の事担いでっ
こう見えても八百丸の小松ちゃんの
肝っ玉は桜島大根より太いって
言われてるんだからねっ」
カタカタと震えていた小松ちゃんが
抗議の声を上げる。
「なら見てくりゃ良いじゃないか。
百聞は一見に如かずだよ。」
マダムが凛の食べ終わった
皿を片付けている。
「マダム私出勤してから
賄い食べただけだけど。」
流石に引け目を感じる凛。
「構やしないよ。
ど~せ客は居やしないんだ。
昼寝でもしといで。」
「さっき起きたばかりだけど
寝れるかな?
小松さん見に来る?」
プルプルしてる小松ちゃんが
自分の頬っぺたをパチパチと叩いた。
「よ~し、男小松しかと見届けてきますっ」