黄金の虎
「上官どのっ。」
思わず駆け寄る凛と玉
かつてこれ程部下に慕われた事の無い
チェラッドはちょっと照れた。
グルルと唸り声を上げて前足で
床を掻きながらゾイアスに近付くアギフ。
「何だあ?下っ端の分際で
テメェ等迄俺様に逆らう気かっ!」
床に転がりながら無様に吠えるゾイアス。
「丁度いい!リザーノっ
アイツ等を連れて来いっ」
奥へ首を向けて怒鳴るゾイアスに
リザーノの返答はなかったが
ハッハッと複数の息遣いが響く。
現れたのは狼族で首には
服従の宝石が光っている。
「どうですか?この輝き、
ブリリアントカットでございますよ。
一つ一つ丁寧に研磨・・」
誇らしげに胸に手を当てる
リザーノの説明を遮り
かかれッ!とけしかけるゾイアス。
「お前達は逃げろ
ここは僕が防ぐ。」
凛達の前へ躍り出るチェラッド
の前へ更に玉がズイッと出る。
「ほわちゃあ~」
次世代もろこしの髭を持ち
ヌンチャクの如く振り回す玉。
ヒュンヒュン唸るのを
身体の周りで器用に操り
脇へ挟んで手を前に片足を上げて
ビシッとポーズを決める玉。
気迫で玉の背後に黄金の虎が見える。
「ハイーッ」
一斉に飛び掛かって来る狼族を
もろこしをぶん回して
次々ぶっ叩く玉。
自身の体験を思いだして
思わず尻尾を脚の間に入れるアギフ。
「ハイッハイッハイッハイッー!」
光る宝石に狙いを定めて
次世代もろこしで叩き割る玉。
くるくると空中で回転し床や壁を蹴り
もろこしをぶん回して突進する玉に
目を見張るチェラッド。
「何という体術の達人だっ。」
感嘆するチェラッドに
服従の宝石を割られた狼族は
キューンキューンと伏せている。
「もう悪さすんじゃないよッ!」
その様子を鼻水を垂らしながら
顔面蒼白で見つめるゾイアスと
アワアワと口を開くリザーノ。
「せ、正確には悪さする前でしたが~
ああ~ッ!私の輝く宝石が~
一つ一つ夜なべして丁寧に磨き上げ・・」
「すっスケルトン兵だ
精鋭のスケルトン部隊を呼べッ!」
リザーノの言葉を遮り叫ぶゾイアス。




