男装の麗人
「で、兵士に応募したいと言うのは
貴様らか?」
猪顔は訝しげにジロッと見る。
「・・どう思う?
俺には人間の婆さんと女に
見えるんだが。」
隣のトカゲ頭にボソボソ尋ねる。
「・・さあ?俺も人間は
余り見慣れてないが
ヒョロヒョロでこんなもんじゃないか?」
小声で話し合う悪魔軍の面接官の前へ
玉がズイッと躍り出る。
「小松玉吉っ兵士志望じゃ
青春真っ盛り!」
ビシッと敬礼を決める玉の眉毛には
凛の持っていた海苔巻き揚げせんの
海苔が貼ってある。
「天野凛太っ兵士志望だぜ
こっちはペットのポチ太郎です。」
凛が大きくて抱えきれない狼姿の
アギフをバンザイ状態で面接官へ向ける。
「くっクゥーン。」
凛とアギフの眉にも海苔が貼ってある。
「・・まあ良いんじゃないか?
どうせ応募者も居ない事だし。」
トカゲ頭はボンボンと書類らしきものに
印を押していく。
「・・あの狼はゾイアス様が
乗っていたのに似てないか?」
更に怪しむ猪顔の背中をバンバンと
トカゲ頭が叩く。
「ゾイアス様の狼はあんな眉
してないだろ?
え~婆さん、爺さんか?」
トカゲ頭の問いに
玉がムキーッとなる。
「青春真っ盛りじゃ!」
じたばたする玉を片手で押さえる凛。
「そうかそうか。
採用だぞ?兵服の支給があるから
全員奥の兵舎へ取りに行け。」
さらりと採用したトカゲ頭に
猪顔が詰め寄る。
「オイッ!ペット迄採用か?」
「どうせ応募者は来ないし
兵舎は空いてるだろう?
それにコイツらはアイツに
押し付ければ良いんだよ。」
トカゲ頭の言葉に猪顔の表情が
パッと明るくなる。
「なるほどな。
オイッ貴様らしっかり働けよ?」
シシシッと笑う猪顔。
「は~い。」
凛が手を伸ばすと「ん。」
と玉が手を握りその後ろを
アギフがトコトコ着いて行く。




