対価
フェキリオが鎮座する謁見の間は
恐ろしい瘴気に満ちていた。
「もう一度言ってみろゾイアス!」
フェキリオが手を上に差し出し
ぐっと拳を握ると肩から
大きく伸びた影の手が
ゾイアスの首を締め上げる。
「グゥッ!お、お許しを
フ、フェキリオ様っ・・」
掴めない影の手を振り払おうと
必死に踠くゾイアス。
その様子をあらあらまぁまぁと
フリディア姫が多少心配そうに見つめる。
「フェキリオ様?
その様に締め上げては
言いたくても言えませんわ?」
白魚の様な手を顎に当てて
小首を傾げるフリディア姫。
フンッと忌々しそうに
影の手を消し去ると
咳をしながら苦し気に
手を着くゾイアス。
「ガ、ガラリア様は怪しげな
者達と行動を共にされっ
いきなり攻撃して来たのですっ。」
ガラリアに付けられた
爪痕をフェキリオに見せる。
「まだ言うかッ!」
フェキリオは拳を振り上げる。
「御待ちになって下さいまし。
フェキリオ様、ガラリア様の作戦かも
しれませんわ?」
そそと手を差し出し止めるフリディア姫。
「そうか、そうだな。
ガラリアは隠密行動が得意だっ
奴らの目的を探っているのだろう。」
パッツン前髪を揺らして
拳を下ろすフェキリオ。
「きっとそうですわ?
ガラリア様の為にも
戦力を整えておきませんと。」
そこでワタクシが捕らえた
この狼族!とフェキリオに
見せ付けるフリディア姫。
「流石に気が利くな。
対価は宝石で良いのか?」
「そんな対価などワタクシは
望みませんわ、でも折角ですので
有り難く頂戴しますわ。」
ドレスの裾を上げて
愛らしく微笑むフリディア姫。
「聞けば影兵10体を消し去り
ゼムも寝返ったという、
侮り難い相手の様だな。
ガラリアの為にも万全の体制を
整えるとしよう。」
立ち上がるとくるりと背を向けて
謁見の間から立ち去るフェキリオ。
「ええ、ガラリア様の為にも。」
鈴のような声で言いながら下を向き
チィッ!っと顔を歪めるフリディア姫。




